冬野つぐみは思う
ここから。
この人物から逃げ出す方法。
それを考えながらつぐみは奥戸へと笑顔を向ける。
隙をついて逃げるのは難しい。
今は自分の意志で体は動くようだ。
だがこの店にいる間は、急に体の自由がきかなくなる可能性が高い。
つぐみの頭に浮かぶ対策は二つ。
一つ目はどうにかして店の扉に近づいて、そこから一気に逃げ出す。
二つ目はなるべく時間を引き延ばして、品子達が助けに来てくれるのを待つこと。
さらに言えばシヤの聴く力がまだ繋がっていると信じて、なるべく相手から話をさせる。
少しでも情報を品子達に聞いてもらうことも続けていくのだ。
正直、どれも厳しい条件だ。
でもやらなければ結局、このままつぐみも行方不明者になるだけだ。
やるしかない。
そのためには、相手が自分をどれだけ把握しているかを知ること。
そして相手の油断を見つけて、そこから相手に情報を話させることが大切だろう。
つぐみは考える。
どうしたら自分が生き残れるか。
どうしたら相手の情報を引き出すことが出来るか。
今、頼れるのは自分だけなのだ。
――はじめよう。
自分は必ず皆の所に帰るのだから。
お読みいただきありがとうございます。
そろそろ終盤に向かいつつあります。
つぐみたちと一緒にドキドキして頂けるように頑張っていきます!




