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くらいへやで7 (Sノオモイ)
静かな静かなくらい部屋。
沙十美は一つの結論にたどり着く。
考えた、考えた、たくさん、たくさん、考えた。
だけど、どうしても自分自身が助かる術は思いつかない。
自分に出来る事。
それは、もう一つしか思いつかない。
そしてそれが叶う可能性はとても低いのを、沙十美は十分に理解していた。
だが沙十美は諦めない。
奥戸からの言葉がそのきっかけだ。
沙十美の渇望の力はとても強いと。
いずれ奥戸達の糧になり一部になると。
この言葉に沙十美は賭けることにした。
こんな自分だけど、つぐみを助けたい。
守りたい。
その強い願いを。
念いを込めて。
今からそれを試してみることにする。
沙十美は小さくある言葉を呟き始める。
その呟きは。
その念いはいつまでも、いつまでも続いていく。
自分が消えてなくなるまで。
――この黒い水になってしまうまで。




