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第二章からのファンタジー  作者: 生きてる涼華
2/2

<第二章>二話

 ソファーに仰向けで寝転がっている。知らない部屋だ。透明なガラスで囲われた部屋だ。起き上がり、腰をかけ直す。

 ガラス越しに部屋の外のベンチに腰をかけていた女性と目が合う。長い黒髪を後ろで束ねた女性。室内なのに薄く青みがかった遮光レンズの眼鏡をかけている。

 彼女が、スライドドアを開け、部屋に入ってくる。

 冷たい声で話しかけられる。


「おはよう、ちょっと有名になり始めたからって態度が大きいんじゃないの。」


「・・・。」


 これまでの記憶が(おぼろ)げで、彼女の発した短い言葉すら理解できない。


「ちょっと・・・大丈夫?もう出発だけど。」


「・・・ここはどこだ。」


「えっとー・・・あなたの所属事務所の演藤(えんどう)プロダクションよ?()()()くん。」


 ()()()・・・。これは俺のことか?

 所属事務所・・・。彼女の言っていることが理解できない。

 なぜか呆れている彼女の話は続く。


「ったく、今から明日のCM撮影の前乗りでしょ。そんなに急いで出なくてもいいけど道混んでるから。」


「・・・。」


 少し熱い声がとんでくる。


「聞いてんの?!!」


 彼女に目をあわす。


「あの・・・俺、何が何だか。わからない。覚えてないんです。あなたが誰かも、どうしてここにいるのかも。・・・自分が誰かも。」


 彼女の表情は変わらない。


「あぁ・・・そう。それは大変ね・・・。まぁそんなのはどうでもいいの。案件こなしてくれればなんでもいいから。いくよ。」


 彼女の声は冷たいままだった。



 彼女と建物を出た。


 初めての景色だった。

 誰がどのように建てたのだろうか。巨大な建造物が地面から無数に生えている。あたりを見回しても、視線はその建造物たちに遮られ、この世界がどのくらいの広さなのか伺うことができない。車輪が四つ付いた箱は、列をなして規則正しく動く。見るもの全てを自分の脳内で照らし合わせようとするが、皆目、記憶にない。この景色に恐怖すら感じる。



 ここは、渋谷。






 __________






 2020年7月29日

<報告>

 国木田はじめ。記憶喪失を訴える。

 経過を観察しつつ、変化があれば報告する。

 今後慎重に**********。






 __________






「・・・ハジメ・・・・・おきて。」



読んでいただきありがとうございます。


レビュー、ブックマーク、励みになります。


次回投稿は不定期です。

コメントでのご意見なんでもお待ちしております。

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