<第二章>一話
こんな結末になるのなら、やめておくべきだったんだ。
足はちょっと前からもう動かなくなった。仰向けで横たわっているせいで、ちゃんと繋がっているのか、そもそも足の原型をとどめているのかどうかすら分からない。感覚がない。
足音がすぐそこまで来て止まる。
「***には、期待していた。」
それが最後に聞いた言葉だった。
その意味を理解する間もなく、そいつの剣は俺の胸を刺した。
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<GAME OVER>
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「・・・あの〜、ここはどこですか・・・・・。」
「・・・はぁ?あなた何を言ってるの。ここは私たちのギルドハウスでしょ。」
「はい?」
僕の目の前にはひとりの少女がいた。
中世風のロングドレスを着て青い目をしているのに前髪パッツン黒髪ストレートで洋なのか和なのかよく分からない見た目をしている。彼女が言うにはここはギルドハウスという場所らしいが、男臭い酒場のような場所だと理解した。
なぜか呆れている彼女の話は続く。
「私たち、たった今、ククル村のゴムリン討伐から帰ってきたところじゃない!」
「あの・・・これコスプレのイベントとか?なんかそーゆう設定とかフラれてもノったりできない・・・ごめん。」
「こすぷれ?って何。もぉ、リズさーん、ちょっとこっち来てくれない?」
バーカウンターの奥からチカチカと何かが飛んできた。
「はいはーい。リズさん呼ばれましたー。」
「え?」
小人だ。僕の手の大きさと同じくらい小さい。
「ちがいますー。フェアリーでーすよ。ってハジメくんは知ってるでしょー。」
「僕、口に出てた!?・・・ってなんで知ってるの?名前?」
「だってー、あなたは、このギルドのメンバーでしょー。」
ギルドメンバーの名簿を見せてもらう。書かれている文字はご丁寧に日本語。
僕の名前があった。そして、黒髪中世ドレスの彼女とは他数名のメンバーとモンスターの討伐に行っていたことが分かった。
「どうなってんだ・・・整理できない。」
立ち上がり、ギルドハウスを出る。
「ちょっと、どこ行くの!・・・待って!」
レンガ造りの建物、とびきりパッションな色をした見たことのない作物を売る市、街を歩く獣人、エルフ、冒険者たち。
外に出て、確信した。
「いきなり外に出たと思ったら、急に立ち止まって、なんか変だよ?」
ここは、異世界だ。
「あの、信じてもらえないとは思うんだけど、たぶん僕は、こことは違う世かァ***」
感覚がない。
右足が、とれた。
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2020年7月30日
僕は異世界転生した。
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「・・・ここはどこだ。」
「えっとー・・・あなたの所属事務所の演藤プロダクションよ?はじめくん。」
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