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リンネの口に……

「いやぁ、本当に美味しいですねぇ。このパンナコッタ。なんなら【女神リンネ御用達(ごようたし)】と、私自ら看板に書いてあげても良いくらいです!」


「偽者と思われて全く相手にされないか、真に受けて大騒ぎになるかの二択だから止めとけ。つーか、一体いくつ食べる気だよ」


買い置きしていたパンナコッタが凄い勢いでリンネに平らげられ、空になった器が山のように盛られていく。


見ていて気持ちの良い食べっぷりではあるけど、俺が食べているものを除けば、残りは一つ。


一応、俺、アイン、ミルクの3人でも、リンネを加えた4人でも割りきれるように12個ほど用意していたけど、一人で食いすぎだろ。


まぁ、ぶっちゃけ、コイツのために用意したものだから、別に良いんだけどさ。


「あれ? もう全部なくなっちゃいました?」


「って、最後の一つも消えてる!?」


ほんの少し目を離した隙に全てを食らい尽くした暴食魔神リンネ。


でも、どうせ、こんだけ食べてても神様だから太らないんだろうなぁ。


カロリーと戦う全国の女の子を敵に回しそうな体質だ。


「……チラッ、チラッ」


「なんだ、その擬音は。パンツでも見せてくれるのか?」


「違いますよぉ! まったく、白木さんは。胸といい、パンツといい、どれだけ私の体に興味津々なんですか!」


「えっ、なに。お前のパンツって、体の一部なの? 神様は変わった構造だな」


「ただの言葉の綾ですから! そんなことより、ほら、そのぉ、分かるでしょう?」


「う~ん? そんな物欲しそうな顔をされても、分からんなぁ? いったい何が欲しいのか、きちんと口に出してもらわんと」


「くっ、あくまでも私を辱しめようという事ですか、この鬼畜! 外道! 悪魔!」


まぁ、どうせ、パンナコッタなんだろうけどさ。


さっきから視線が釘付けだし。


というか、何だかんだ言いつつ、リンネもノリノリだな。


「いや、素直にパンナコッタくれって言えば済むだろ。何が、そんなに恥ずかしいんだ」


「だ、だって、はしたないじゃないですか。人が食べてるものを欲しがるとか」


頬を紅く染めてモジモジするリンネだけど、あんなに勢いよくバクバク食っておいて今更だろう。


それとも、これが乙女心という奴だろうか。


うむ、だったら俺には分からんな。


「仕方ない。ほらっ、食えよ。その代わり、いくつか質問に答えてくれ。ギブ&テイクなら、はしたなく無いだろ?」


「そ、そういう問題ではないような……。まぁ、良いでしょう。ありがたく頂戴します。では、あーんっ」


こちらに身を乗り出し、顔を寄せて、瞳を閉じたまま小さく口を開くリンネ。


まさか、キスでもするつもりかと、恥ずかしい勘違いが一瞬、頭をよぎり、思わず身構えたけど、すぐに‘‘食べさせろ’’という意味だと気付いた。


「なんで、わざわざ食べさせないといけないんだよ。勝手に食え」


「いやぁ、私、神様なので誰かに食べさせて貰った事がないんですよね。せっかくなので、経験してみたくって。それに、白木さんにとっても、ご褒美でしょう? なんせ、私の初体験の相手になれるんですから!」


「……はいはい、自意識過剰だぞっと!」


「むぐっ!?」


口煩いリンネの唇を塞ぐために、パンナコッタを載せたスプーンを勢いよく突っ込む。


まぁ、当然、喉を突かないように細心の注意は払ったけどさ。


俺の動きに驚いて目を見開いたリンネも、それが危険なものではないと気付くと、頬を緩めて大人しくパンナコッタの味を堪能している。


ついでに、ニヤニヤと、からかうような視線を向けてくるが、反応したら負けだ。


どうせ、‘‘もう、照れ屋さんですねぇ。白木さんは’’とか考えてるに違いない。


俺はリンネが余計な口を利けないように、その後もパンナコッタを突っ込み続けた。

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