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3 ドッキリ並みに驚いた

クリスが一人で話しているのがしばらく続きます。この国の世界観とかクリスの考え方とかの説明的なものだと思ってください。

さて、かつて騎士団長をしていた私、クリス・ハイドンが、貴族家の女子―今世での名はクリスティーナというらしい―として生まれ変わってから、はや数か月。私は今世の母であるアンナ嬢の腕に抱かれながら今までのことを頭の中で整理していた。



ちなみになぜ母親に対してアンナ嬢などと他人行儀な呼び方をしているのかというと、前世の私の職業が今までに何度も言っているように騎士であり、そして私自身三十路手前の男であったからだ。いくら今の私が赤ん坊だとはいえども、一見前世の私よりも年下に見えるアンナ嬢を母上などと呼べるはずがなく、だからといって呼び捨てにするわけにもいかない。そのため、長年の騎士生活ですっかり馴染んでしまった“~嬢”という呼び方をしている。いずれ喋れるようになるまでは、この呼び方で勘弁してもらおう。



すやすやと眠る年下の母を横目で見ながら、改めて私の今までの人生を振り返ってみる。



カルディナール王国に第一王子が誕生したその年の冬、王都で生まれ落ちた。剣の腕を磨き、剣術大会で優勝して、8歳で王立騎士団に入団。見習いを経て、騎士として経験を積み、第一王子の護衛として学び舎に入ったのがそれからわずか2年後の10歳のこと。



そのまま護衛として学園に入学し、そしてそこで私の相棒、光の精霊王ルーチェと初めて出会い、契約を行った。平民出身の者が精霊王との契約、それも今まで一度も姿を見せたことのないと言われる光の精霊王との契約に成功、これがかなりの大事だったようで、私はある公爵家に母と一緒に引き取られることになった。そしてそこで私と同じく精霊王を連れている少年と出会い、何故だか知らないが懐かれ、彼を義弟とすることとなった。これらはすべて15歳の時のこと。



そしてなんやかんやあって学園を卒業し、なんやかんやあって義弟の後見人となり、なんやかんやあって弟子を育て、なんやかんやあって騎士団長に就任した―“なんやかんや”のところは回想すると長くなるのと、当時の疲れや怒りを思い出すので省く―時にハイドン子爵の名を授けられた。



そして、28歳の時。アンナ嬢が私に語ったよう、シュバルツ伯爵の謀反が起きた。私は王族を守るため城に結界を張り、王都の住民を助けるため戦い―そして、死んた。さらに言うと、生まれ変わった。




そして今、どこかの貴族家で、アンナ嬢の娘クリスティーナとして、ここにいる。




...今思い返してみると、私はかなり特殊というか数奇な運命というか、まあいろいろ波乱に満ちた人生を送っていたようだ。いや、送っているのだろう。特に15歳の時と死んだ時がすごい。死んだ時なんて、いわば戦場とも呼べる状況で、目を閉じて、そして再び目を開けたら、アンナ嬢と産婆とメイドたちの歓声に包まれていたのだから。あの時は本当にびっくりした。以前学園で仕掛けられた、“ドッキリ”というもの並みに衝撃的なことだった。

誤字脱字あったら教えてもらえると嬉しいです。

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