苦戦
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炎に包まれて倒れたゴブリン。
これは、俺の魔法なのか…?
炎に包まれたゴブリンは、バタッと倒れる。
俺は、冷や汗を掻いていた。
正直、もうダメかと思っていた。
で、でも、さっきは、俺、どうやって魔法を発動したんだ…?
気が付くと、村人の一人が、手に持った杖を俺の方にかざしている。
「怪我はないか?クルトくん」
その杖の先は、少し炎を纏っていた。
それを見て、俺は察した…
どうやら、この村人が、魔法で俺を助けてくれたらしい。
「はい、大丈夫です…すみません」
俺は、反射的に謝っていた。
魔術師である筈の俺が、魔法を使えないのだ。
「もしかしたら、クルトくんは、魔法が封印されているのかもしれないな」
村人は、俺の状況を、好意的に解釈してくれたらしい。
俺は、心の中で、呟いていた。
違うんです、本当は、俺は…。
しかし、グダグダと考えている余裕は無いようだった。
ゴブリンたちは、街の中へ侵入して、あちこちで戦いが繰り広げられている。
妹の方へ目をやると、なんと、一気に3匹のゴブリンを相手にしている。
そして、俺は慌てて、自分の周囲に目をやった。
少し離れたところで、何人かの村人とゴブリンたちが戦っているが、
俺の方に向かって攻めて来る様子は無かった。
どうやら、完全に雑魚と見なされたのか、後回しで良いと判断されたようである。
さきほどの村人の方を見ると、近付いて来たゴブリンに対して、杖を振るっている。
その杖の動きに合わせて、ゴブリンたちが炎に包まれる。
見たところ、どうやら、かなり、戦闘にも、魔法を使うことにも、慣れているようだった。
俺は、正直、今すぐにその村人に弟子入りしたいと思った!
そう思ったが、今は、そういう暢気なことを言える状況ではないのだ…。
俺は、一旦、家の中に入り、武器になりそうなものを探した。
すると、壁に立て掛けてあった、少し大きめの槍が目に入った。
俺は、すかさず、その槍を手に取り、慌てて、家の外へと飛び出す。
外に出てみると、壮絶な状況が目に入った。
村人の何人かは、深手を負って、倒れてしまっている。
妹と、さきほど、魔法で助けてくれた村人と、小剣を手に持ち戦っている村人…
その3名を、多数のゴブリンたちが、取り囲んでいた。
どうやら、ゴブリンたちには、あまり知性はないらしく、
とりあえず、強敵そうなその3名を、寄って集って倒そうという戦略らしい。
小剣の村人は、なかなか頑張ってはいたが、あちこちに小傷があるようだった。
妹は…ゴブリンの攻撃を上手に受け流し、善戦していた。
魔術師の村人は…そろそろ魔法を使う精神力も無くなってきたのか、
ゴブリンたちを牽制しながら、睨み合いを続けている。
俺は、誰に加勢するか、迷った…。
が、一番、苦戦していそうな、小剣の村人に加勢することにした。
とはいえ、俺は、心臓がバクバクしていた。
武器を取って戦った経験など、一度も無いのだ。
手に持った槍は、先が鋭く尖っていて、攻撃力がありそうだったが、
その槍をどう使いこなせばいいのかも、正直、よく分からなかったのだ。
だが、小剣の村人は、ゴブリンに押され始めたようだった。
最早、一刻の猶予もならない。
俺は…槍を突き出して、一番近いゴブリンに向かって行った!
その時は、とにかく、ガムシャラだった。
俺は、ゴブリンの腹に目掛けて、槍を突き出した!
手応えがあった…槍は、ゴブリンに命中したのである!!
しかし、その一撃は…ゴブリンたちを怒らせてしまったのだ…!!!
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