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第7話 最悪の出来事

 当然のことながら、日本から有利な条件を引き出すことはできなかった。それもそのはずで、日本にとって最大限譲歩した条件が共同開発だったからだ。


 そして大統領からの命令通り、彼らはこの一種の「緩衝地帯」に掘削船を強硬に潜り込ませ、無理やり天然ガスの採掘を行ったのだ。

 これには日本国民も激怒した。そもそも自分たちが譲歩してやったのにそれを無視し、自分たちだけで勝手に採掘しようとするなど許しがたいことであった。


 日本は、当然これを国連会議の場において名指しで非難した。だが、残念なことに国際世論としては日本は『何の実績も上げていない新参者』。かたや難民を保護するなど『実績を上げてきた優等生』であり、まるで勝負にならなかったのだ。

 日本はこのことには納得はいかなかったが、いちいち不和の種を持ち込んではならないとこれ以上の追及は行わなかった。その代わり、「行動」をもって示していったのであった。


 具体的にはこれに対抗して掘削船を多数「緩衝地帯」に乗りこませて、彼らが掘削し終える前に自分たちがすべて奪ってしまおう、という魂胆であった。

 ニシル国からしたらいくら強硬策をとったとはいえ、そのまんましっぺ返しを食らった形だ。批難したくても自分たちが同じことをやってきたのだからしたくてもできなかった。


 そうした日本とニシル国との間で起きた小競り合いであったが、日本としてもまたしても予想外なことが起こるのであった。


 それはなんと、彼らの掘削船が日本の領海に入り込んできた、というものだ。もっとも、なぜそんなことをしたのか、という疑問が残るがこれには日本側が数に物を言わせ大量の掘削船で採掘しているのを見て焦った、という分析が有力視されている。

 ただ、日本はこういった領海への不法侵入を事態をまるっきり想定していなかったわけではなく、万が一の為に巡視船を派遣していた。――――もし、この出来事に対して未来から警告できるならば、この領海侵犯は絶対にやめさせるべきであった。


 これが原因で後世からは日二戦争と呼ばれる愚かな戦争が始まる原因であったからだ。



☆☆☆☆☆ 



 『こちらは日本海洋警察である。貴船は現在日本国の領海を侵犯している、直ちに離脱しなさい――――繰り返す――――』


 「おい、ここはどうやら日本の領海らしいぞ!何をしてるんだとっとと離脱しろ!おい!聞いているのか?!」


 「う、うるさい!日本は我々の敵で、世界の敵なんだ。邪魔をするな!」


 男たちはそんな言い合いをしており、数人の船乗りたちはなにやら意味の分からないことを叫んでいた。

かれらはふと、「とある連中」から渡された非常に大きな筒――――対戦車ミサイルを取り出していた。


 「お、おいよせ!なんでお前がそんなもの持ってるんだ?それは軍用の奴だろうが!」


 「は、ははニシル国に栄光あれ!」


 そう言い放つと男はなぜかそれを操作し、日本の巡視船に向けなんと発射してしまうのであった。発射された対戦車ミサイル、それも大口径の最新鋭の対戦車ミサイルが寸分違わず巡視船の後部――――機関部に命中するのであった。400tほどの巡視船は対戦車ミサイルのHEAT-MPの直撃のより機関部が大破、そのまま燃料を巻き込んで炸薬ごと大爆発し、そこに居合わせていた数名の警察官は殉職してしまったのだ。

 幸い船体サイズが大きかったことと、むき出しのミサイルなどを積んだ戦闘艦でなかったことで沈没自体は免れた。だが、これには日本国民もついに我慢の限界を超えるのであった。



 この情報はすぐさま両国の政府に届けられることとなる。日本はニシル国に対し極めて遺憾の意を示すことによって怒りを表し、ニシル政府はこの失態に対し大統領の怒りが大爆発するなど反応はそれぞれ異なるものであった。


 これには国連会議の場でも会議が一時中断し、この件に関する言い訳を下手人であるニシルに聞き出すほど衝撃的な事件であった。


 そもそもなぜ、一船員が軍の対戦車ミサイルを持っていたのか――――そしてなぜ戦争を誘発するような危険行為をしたのか、などであった。

 だが、これらに対し彼らの大統領はまさかの「ノーコメント」であった。


 日本はついにこの横暴に対して堪忍袋の緒が切れた。我が国の領海に不法侵入をしたうえ、国民を不意打ちで爆殺したのだ。そのうえ、大統領が暗にこの件に関与しているとまで態度で示したのだ。


 政府もこの件は決してうやむやにせずにこの警察官を爆殺した掘削船の犯人を日本の司法の場に引きずり出すべく、ついに海軍の特殊部隊である第101特別陸戦隊――――いわゆるフロッグマンを投入しこれを制圧、見事犯人たちを捕らえるのであった。


 これにはニシル国もわが国民に対する主権の侵害である、と強硬に反対し日本との関係において深い溝が出来上がった。これらは更なる世論の過熱に繋がるのであった。




投稿ラッシュもこれにて一旦小休止。

この事件をきっかけに更に日本と彼らとの間で小競り合いが加速します。

そろそろ戦争です。


感想待ってマース

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