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第5話 関係悪化

 日本とニシル国との関係悪化――――これはもはや当然とも呼べる結果であった。

 なぜならば、不運なことに日本が生産していた工業生産物などの種類がことごとく被っていたからだ。それもニシル国のものよりも20年以上進んだ技術で作られていたのだ。彼らからしたらまさに悪夢のような出来事であったのは間違いなかった。


 それもそのはずで、日本が登場してその余りある国力をもって一気にシェアを奪い取っていった結果、ニシル国内では失業によって多数の職にあぶれた失業者が大量に国に溢れかえったからだ。


 日本からしてみれば、別にほかの産業で勝負すればいいじゃないか――――そういった意見も出てはいたが、それだけのことができるのは日本を含めてこの世界には数ヶ国しかいなかった。当然ニシル国はその数ヶ国には入っていない。


 これにはどちらが悪いのか、それは「どちらでもない」だ。日本からすればただ自国の生存のため、そして繁栄のためにやっているに過ぎなかったし、ニシル国からしてみればただ運が悪かったのだ。


 ただ、この運が悪いということを理由にできるほど彼らには精神的な余裕はなかった。

 もともと、とある理由から国民のストレスがたまっていたニシル国はこの出来事が原因で、ことあるごとに日本国を国際的な場で批判し、国民も自分たちの仕事を奪い去った日本人を過剰に恨んでいったとされる。

 それは年を追うごとにだんだんと加速してゆき、日本製品の不買運動が起こったりした。時にはニシル国を訪れていた日本人観光客を襲撃する事件にまで発展したほどだ。


 もちろん、日本もこれを黙って見過ごすことはなかった。そもそも貿易摩擦による関係悪化など日本にはとうに過ぎた道であったからだ。日本人は巧みに文化の輸出などを行って日本に対する感情を少しでも和らげようと奮闘することとなる。

 

 一応は日本側の努力によって国民との間ではそれなりの関係を築くことはできたが、労働者はそうはいかなかった。

 

 ニシル国側では、実のところ日本との関係の悪化はあまり好ましくないと思っている一部の勢力はあった。それは日本の詳細な軍事情報を収集していた諜報機関とそれらから報告を受けていた政府であった。特に政府にとって日本との関係悪化、ひいては敵対などということは絶対に考えたくなかった。


 軽く入ってくる情報だけでも日本は常備11個師団を擁し、先進国との装甲車両同士での正面戦闘に耐えられるだけの装備を保有した機甲師団が2つもあるのだ。さらには日本には上陸戦闘に特化し、幾度となく戦争で活躍した第5師団なる海兵師団が存在するらしく、これがでてきたら自分たちに対処できるか不安だった。


 海軍の情報だけでも充分胸焼けした。戦闘艦だけで100隻近く、補助艦を含めると相当数あるのだ。中でも恐ろしいのはこの【蒼龍型】を含む6隻もいる航空母艦の存在であろう。見たところでは、艦載機はステルス戦闘機のようであるし、これを分析したシンクタンクによるとファーストストライクなどを意識した結果ではないか、と言われている。


 また、これは推測でしかないがもしかしたら日本海軍の戦闘機部隊はいわゆる航空阻止攻撃――――ディープストライク――――戦争継続能力を削ぐために発電所や通信指揮施設、飛行場、軍港、駐屯地、兵器工場、また補給路を断絶するために橋梁の破壊、鉄道や高速道路等の寸断等、重要施設に対して爆撃を行なうミッションを行うのではないだろうか。

 ……この推測はまさに大正解であった。日本海軍は有事の際には海軍航空隊にそういった任務を行えるように日頃から訓練しているし、艦載機もどちらかというと対地ミッションを行えるような装備がそろっていたからだ。むろん、万が一の際にはこれら戦闘機部隊が【核兵器】、ないしは【電子励起爆弾】を抱えて国土を焼き払うミッションも想定されているが、これが彼らにとって知らないのは幸いであろう。


 では潜水艦についてはどうであろうか――――これも日本は相当力を入れているようであった。

 日本は第2次大戦中、ドイツ軍による魚雷攻撃によって空母を一隻撃沈させられるなど潜水艦には一種のトラウマを植え付けられていた。それゆえに第2次大戦が過ぎて80年以上たった今でも日本は対潜能力に関しては何より力を入れていた。それもあってか日本の対潜部隊は各国の潜水艦部隊にとってはまさに死神のように恐れられていた。


 潜水艦自身も攻撃型原子力潜水艦や史実の【そうりゅう型】や【29SS型】に匹敵するような高性能な通常動力型潜水艦を何隻も保有していた。さすがに報復核攻撃を行えるような戦略型原子力潜水艦はコスト面からみて諦めたために保有はしていなかったが、それでも相当な戦力であることは間違いなかった。



 空軍に関してはもはや何も言うことはなかった。非ステルス戦闘機はもはやその姿を徐々に消し始めており、地方の基地にすらステルス戦闘機を配備している時点でもはやどうしようもなかった。


 我々でも生産数がようやく2桁に達した第5世代戦闘機を日本は220機も保有していたし、我々では想像もつかないようなテクノロジーを持つであろう第6世代戦闘機――――【F-10A】と呼ばれる機体を160機も保有しており今なお増えているのである。


 爆撃機も【B-1J】と呼ばれるリージョナルボマーや、【B-4】ステルス戦略爆撃機などもはや何と戦うつもりであったのかとすら言われるような装備が大量に日本にひしめき合っていた。


 軍事力は到底敵わない、かといって国力の差は年々広まるばかり。一部の国民はそういった事実に気が付いており、世論の過激化に警鐘を鳴らしていた。政府もこれに同調し、事態の収拾化に努めていた。

 だが、そういった努力も虚しく大多数の国民は自国の産業を壊滅させた「憎き日本」への感情が先行し、さらに加速してゆくことになる。


 このことにニシル国の政府は頭を痛めるのであった。だが事態はとある出来事によって急加速することとなる。





何と戦うって?そりゃアメリカかな。冗談はさておき、実はアメリカとは史実と違いそんなに仲良くはありません。

日本のドクトリンは基本的に攻勢防御です、具体的にはいざというときには大陸に上陸して敵の侵攻能力を粉砕しに行ったりします。自衛隊のように防御思考じゃありません、日本は縦深がなさ過ぎるからですね。

ナショナリズムが過熱してちょっとした拍子に爆発、あるあるだと思います。


F-10に関しては突貫工事で仕上げました

http://ncode.syosetu.com/n6466di/9/

感想待ってマース

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