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第31話 停戦


 日本軍によって使用された「核兵器」、たった1発だけ使用されたそれはニシルにとって痛恨の大打撃であった。


 当初、ニシル政府はこの核兵器を「自国でおこなった核実験である」として工作を図ろうとはしたものの、インターネット――――もといSNSの発展した世界ではそんな工作も無意味に等しいものであった。

 と、いうよりも投下された瞬間にはすでに日本軍のガンカメラによる生放送が全世界で公開されていたことがニシル政府が行おうとした工作に対してとどめを刺すこととなり、また日本が主張した「報復核攻撃」という言葉から自国内で防衛のために核爆弾を使用したことが明るみになり政府に対する信用はがた落ちした。


 それどころか戦争中とはいえ沖縄近海での巡航ミサイルによる「核攻撃」によって間接的とはいえ病院施設を攻撃し、民間人を死亡させてしまったことが明るみになったことで今度は国際社会でニシル国は非難の的となってしまった。

 あの「優等生」のニシル国がなぜ――――。そのような批判が相次ぐこととなった彼らはもはや国際社会の中での信用が失われたも同然だった。

 ただ、この世界における国連に相当する組織ではいまだ彼らは強い影響力を持っていたし、まだ加盟してから半世紀もたっていない「新参者」の日本の立場はまだ大きなものではなかった。それでも大国のはずだったニシルが新参者によって脱落寸前にまで追い込まれている状況とあっては徐々にニシルはその立場にも綻びが生じ始めていた。

 

 一方の日本はまだ終わってはいないものの今回の戦争で一方的な「勝者」として国際社会の中でも大きな注目を集めていた。新参者ではあったものの所謂『持てる国』であったし、なによりこの世界ではまず追随出来ないほどの強大な国力を持った超大国が現れ、優等生として注目の大きかったニシル国を下しつつあるとあっては国際社会も注目せざるを得なかった。

 その強大さは当初から脅威と見られていたし、実際のところあまりの快進撃を見せつける日本を見て排斥の案も一部の国からも意見として若干出てはいたものの、日本の国力と軍事力からしてそんなことをしたらどんな報復をされるかわからなくなるといった大多数の意見からそのような案は実行されることはなかった。(とあるシンクタンクの報告によると、日本の軍事力だけでも欧州のすべての国軍を合わせた分を凌駕しており、GDPは2032年の時点で世界全体でも約28%にまで達すると算出されていた。これは2位を大きく引き離しており、間違いなく日本は世界最強の座にあった。)



 そして、もはや戦力が完全に崩壊しすべてにおいて限界に達していたニシル国は2033年 2月21日をもってニシル政府より休戦宣言がなされ、日本はそれを受諾したのであった。

 通称「2月戦争」とも呼ばれる大国同士による正規戦は1週間程度の非常に短い期間ながら十数万人規模の軍人が死傷するほどのものであった。

 特にこの世界でもほとんど行われたことのないほどの大規模なリアルタイムなネットワーク戦闘は数多くの軍組織に注目されることとなり、今後数十年はこの戦争がネットワーク戦闘のお手本として各国の教本に刻まれることとなった。



☆☆☆☆☆



 2033.2.25

 国際連合本部 

 14:35


 「――――それでは、現時刻をもって日本国-ニシル国間における戦闘を停止し、平和条約を締結することをここに承認します。」


 ニシル国が休戦宣言をした4日後、ここ中立国にある国際連合本部では両間における停戦決議が執り行われ、いわゆる平和条約が締結されることとなった。

 取り急ぎニシル国内の日本軍は停戦の知らせを受けた時点で戦闘を一時停止しており、ニシル軍残存兵もこれに同調して戦闘を停止している。

 

 本来ならば、ニシルは完全に降伏するべき立場にあったのだが日本側の「温情」により停戦とされていた。(ただし停戦といってもこれは敗戦と同等であり、日本が世界に対し印象をアピールするために停戦としただけに過ぎない。)


 平和条約を締結するにあたって日本はニシル国に対しいくつかの条件を提示していた。

 それは表立ったものではニシル軍の実質的な解体と多額の賠償金、そして本戦争の引き金を引くことになった政府要人の引き渡しである。

 

 そして、さすがに荒れると思っていたこれらの条件であったがニシル側はこの条約に対してはすんなり承諾することとなる。これには日本側も驚いたが、ニシル国からしてみれば国体の解体が盛り込まれなかっただけでも幸いであったし、反発しても下手したら今度こそ完膚なきまで滅ぼされるとニシル国代表団は戦々恐々だったからともいわれているが真相は定かではない。


 ……だが、あっけなく終わった決議はある一連の事件をもって破綻することとなる。


 ニシル人とみられる男が、退席して車に乗り込もうとしていた日本国代表団に対して爆弾テロを敢行したからである。

 その男が体に巻き付けていた大量の軍用C4爆弾はそこにいた何十人もの関係者を巻き込み盛大に炸裂し、日本代表団十数名を即死させた上、ホスト国の警備やそこに居合わせたマスコミをなぎ倒したのだ。そして本来であれば停戦していたはずのローサル島でも同様の事件が発生し、日本軍下士官10数名とたまたまそこにいた将校2名が犠牲となった。

 さらには明らかに組織として編成された集団がパトロールとして巡回していた日本軍の車列を襲撃し、何名もの兵士が殉職したのだ。


 これには勝利に喜んでいた日本国民を一気に冷めさせ、再び激怒させるには充分であった。


 調査ののちに明らかになったことだが、この事件は当然のごとくニシル軍が関与していた。というより関与していたというよりも彼らが主犯そのものであった。

 そもそも最初の国際連合本部での爆弾テロからして大量かつ軍用の高性能爆薬を民間人が入手するのはほぼ不可能であったし、パトロール襲撃事件にしてもそんな組織的なことを民間人ができる訳がなかったから当然といえば当然なのだが。


 ただ、ニシル軍の司令部はこれには関知していなかった。一部部隊―――というよりはローサル島を担当していた方面軍による独断行動だったのだ。

 

 さらには日本軍の3個大隊をまるごと吹き飛ばした核攻撃もどうやらこの方面軍の独断行動だったらしく、これを知った日本のとある将校は何度も確認をとったらしいが定かではない。


 当然のことながら停戦はこの連続テロ事件をもって破棄されることとなった。停戦条約が結ばれてから24時間もたっていない間の出来事であった。




なかなか筆が進まない、しかもなんだこの内容は...戦闘シーンを書きたかったの!

つか内戦にするかさっさとケジメ付けさせて終わらせるか悩んでます(どっちにしろニシル君は死ぬ)


感想待ってマース

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