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閑話 日本という国

ところどころカタカナで書いてある部分がありますが、これは目線が日本人でないためです。読みづらいかもしれませんがご了承ください。

 日本、という国はいったいどんな国なのだろうか――――日本を観光するためにランカー連邦国から訪れようとしていたとある若者達、そのうちの1人であるアイラは日本が誇る超音速旅客機である【J-1】をみてふと物思いにふけっていた。


 地球と呼ばれる星から日本という国がワープしてきたらしいぞ――――彼女が働いていた会社で同僚たちがそう興奮しながら話しているのを聞いて、とても驚いたものだ。

 『国家がワープしてきた』?そんなことありえない、何かのガセだろうと当時の彼女は相当いぶかしんでいた。それもそうだろう、普通はそんなこと今どきの小説ですらなかなか無いような設定だ。


 だが、彼女は会社の社員食堂に設置してあるテレビから流れてくる特番でこれがガセではない、と知った。これには彼女も自分は何かの夢を見ているんだろうと現実逃避していたが、そのあとそれに見かねた仲のいい同僚に頭をたたかれたことでそれが現実であると知った。


 実は彼女がこれに意識を奪われていた理由――――それははかなりの旅行好きであったからだ。なにせ会社の休暇を利用して様々なところへ出掛けるくらいだ。そしてその彼女は自分の心の中にある感情に何かが猛烈に訴えかけてきていた。


 ――――日本に行ってみたい、と。


 よし、日本に旅行しよう。そう決めた彼女の行動は非常に鮮やかであった。まずは日本という国について調べることにした。特に日本国内の治安だ。……どうやらワープによって若干の混乱状態ではあったが、もともとかなりこの国に似た国民性らしくとても穏やからしい。第一条件はクリアであった。


 次に彼女が調べたのはこの国の衛生状況だ。なにせ日本は異星の国、どんな未知のウイルスがあるのかわからない。また彼らにとって平気な食べ物であっても、自分たちにとって猛毒かもしれない。そんなことで危険になるなど御免であったからだ。


 そしてそれもいとも簡単にクリアした。実は、なんと転移する1年ほど前からこのワープ現象について日本は把握しており、この国とコンタクトを取っていたらしいのだ。そこで衛生環境に関してかなり慎重に情報交換していたようで日本が現れてからすぐに国家公認の安全宣言がなされていた。この国はかなり優柔不断な国であったはずなのだが、これに関しては間違った行動をとっていなかったようで何よりである。


 最後に旅行するプランである、これも実にあっさりと解決した。日本の旅行会社が比較的安いプランで日本観光ツアーを広告していたからだ。どうやらこれには【J-1】と呼ばれる日本の超音速旅客機でランカー連邦国-日本国ですでに便が就航していたので、それに乗って日本に行けるらしい。なんとも豪勢なことだ。

 本来ならこの【J-1】は乗るのにはものすごくお金がかかるらしいのだが、実はこの観光プランには観光事業を誘致したい日本政府が補助金を出しているために比較的安く済んでいるのだそうだ。そう、プランの安全性も日本政府お墨付きということだ。


 これには彼女も大喜びし、さっそくこの日本観光ツアーの申し込みをするのであった――――。


 そして彼女は同僚たちを誘い、次の会社の長期休暇を利用して日本で存分に遊ぶつもりであった。


 「……ねえ、ねえ!アイラさん?ちょっと聞いてるの?」


 「あ、ああごめん。……それでなんの話だっけ?」


 「……話聞いてなかったな、このおばか。それより見てよあれ、あれがあたしたちが乗る日本の飛行機なんだって、さっき同僚のアハト君が教えてくれたんだよ。なんでも音速の3倍で飛ぶ飛行機だとか、普通はこんなの絶対に乗れないんだぞーって、かなり興奮しながら話してきたよ。正直引いたね、あれは。」


 「へえ、すごいじゃない。……そろそろ搭乗時間じゃない?早くいこ?」


 「露骨に話をそらしたな……。まあいっか、ってもうそんな時間だったの?じゃあすぐ行かないとね。」


 彼女たちは話をやめると、今回乗る日本の飛行機――――【J-1】に早速乗り込むのであった。


 数時間後、彼女たちはついに日本に到着した。そしてその先で見たものはまさに驚くべきことばかりであったのだ。まずは、彼女たちは日本の国際空港である東京国際空港――――事前に調べた通り、かなり先進的な空港であった。――――に就いてからは、今回の日本ツアーの観光ガイドを早速探すのであった。


 「ねぇねぇアイラ、なんかこの空港、魚醤?そんな感じの匂いがしない?。……へえ、日本だとこれは【醤油】っていう調味料の匂いなんだって、なんかいい匂いだね。」


 「そうかな?私はあんまり得意じゃないかなこういう匂いは……日本って醤油を使った料理がたくさん出るのかな?」


 「たぶんそうじゃない?私たちんとこだって空気のおいしいにおいがするって言われたりするじゃん。どこも似たようなもんだよ。それより、あれじゃない?今回の観光ガイドさん。ウェルカムボード掲げてるし。」


 「本当だ、待たせるのも悪いし早くいこっか。」


 空港を降り立った彼女たちを待っていたのは、2人の男女であった。彼らは、この日本観光ツアーでのガイドであり、彼らは転移後あらたに設置された通訳ガイドの国家資格に合格し、ランカー連邦国を始めとした各国言語をマスターしたエリート中のエリートなのだ。


 「皆さま、ようこそ日本へ!私たち日本は皆様の訪問を歓迎いたします。」


 「あ、はいありがとうございます。それではよろしくお願いします(なんか普通に私たちの言葉ぺらぺら喋ってる凄い)。」


 「それでは皆様、こちらのバスにお乗りください。お荷物はこちらでお預かりします。」


 私たちはさっそく、このやたらランカー語にペラペラなガイドに従い荷物を預け、バスに乗り込むのであった。バスが出発してからしばらくして、ガイドの一人であった日本人の女性がマイクを片手にこう切り出した――――。


 『それでは、わたくしサトウが案内役となって進めさせていただきます。それではまず、皆さんが降り立ったここトウキョウは……』


 ミス・佐藤が言うには、ここ東京はなんと1000万人もの人間がひしめき合う超大都市であるそうだ。そのおかげでこの国のGDP――――国内総生産というらしい――――の1割がこの首都に集約されているそうだ。また、地方都市も大都市が連なっており、その国家全体のGDPはなんと約9.2兆ドル(1ドル=120円)にも及ぶそうだ。


 他にも日本は大変歴史のある国らしく、なんとわかっているだけでも1600年近く前に建国されたらしい。

私たちの国も1000年近い歴史があるが、日本はそれ以上でありまさに驚くべき国であったのだ。


 ガイドによる日本の紹介も徐々に終わりを見せ、本日最後の案内として今回私たちが1泊する日本の帝都ホテルについての説明が入るのであった。



☆☆☆☆☆




 「ねえ、これ美味しいね。」


 「うん、これがガイドのミス・サトウが言っていた『フランス料理』なんだね。……なんだかえらく格式高いね。」


 「パンフレットによると、これが日本の洋式ホテルにおけるディナーの定番なんだって。……ただし、すんごく高いところの、ネ。」


 「確かに高そうだもんね……今日はフランス料理だけど、明日からはこの国独自の日本料理を食べられるらしいよ、楽しみだね。」


 「苦手な醤油が入ってなければいいなー……。」


 「ガイドさんに言ってみたら?この手のガイドってそういうのいろいろ手配してくれそうだよ?」


 「そうだね、この後言ってみるよ。……まさか、ここにきて苦手なものが出てくるとは思わなかったわ。」


 ――――2日目、3日目は東京の各地を詳しく説明しながら観光することになっており、アイラ達は存分に楽しんだ。4日目からは日本の【新幹線】という高速鉄道に乗り込み、キョウトと呼ばれているなんと1200年前から存在する日本最古の都市で遊んだのであった。

 金閣寺という金箔で塗られた寺院をはじめとする様々な木造建築物を見て回った。


 彼女たちにとって特に印象に残ったのは、ナラにある世界最古の木造建築物である法隆寺という名前の塔(?)だ。なんと1400年以上も前に建てられた建物であり、しかもそれを建てた会社がいまだ残っているというのだ。

 改めて日本の凄さを思い知る彼女たちであった。


 6日目と、最終日はオオサカという都市で観光を楽しんだ。なんでもオオサカはかつての日本の経済における中心地であったらしく、いまもトウキョウとならんで比較されるほどの大都市であるそうだ。

 そこではなんと日本の皇帝――――日本は天皇陛下と呼び親しんでいるらしい――――が一時期ここに暮らしていたそうだ。


 ――――アイラはこの天皇陛下について、数日前のとある出来事を思い出していた。それは日本に来てから2日目のことであった。


 彼女たちを乗せた観光バスは、とある場所へと向かっていた。それは何でも日本が有史以来、一度も途切れることのなかった天皇と呼ばれる皇帝の一家が住む城、宮城へと向かっていた。

 宮城、またの名を江戸城は日本が江戸時代と言われる時代に政府のトップが政庁として使用していた城であるらしい。そしてある時、時の政権が天皇陛下の暮らす宮城として決めた以来、そこからずっと変わっていないそうだ。


 そして私たちは、これからその宮城へと向かって天皇陛下とお会いするらしい――――らしい、といっても今日はどうやらその天皇陛下の誕生日らしく、それを祝って宮城に集まった民衆たちの前にベランダから

その姿を見せるそうだ。いったいどんな姿なんだろうか?


 ――――私たちは一種の神々しさ、といえばいいのだろうか。そのようなものをこの「1人の老人」の姿を見たとたん、感じたのであった。

 日本はこの天皇とともに歴史を歩み、ここまで来たそうだ。日本人にとってはもはや一種の象徴らしく、彼らを見たとたん泣き出す者もいた。

 ……私たちにもかつて皇帝がいた。時代の流れには逆らえず、ついにはその血が途絶えてしまったが、もし現代にこうした皇帝が象徴だけでもこうして残っていたなら、はたしてこれぐらい感慨深くさせられるのだろうか。そう思わざるを得ない、非常に濃厚な時間であった。


 こうして、私たちの7日間にもわたる日本の観光は終わり、名残惜しみながら国へと帰るのであった。


 日本は、こうした国家を挙げた観光事業を推進し莫大な金をそこへつぎ込んだ。当初はこれを予算の無駄ではないか、と批判の声も上がったのだ。だが、それを政府はすべて無視し、これに取り組んだ。

 そして日本はそれほどにまで行いたかったアピールはその甲斐あってか大成功を収めることとなる。


 日本という国は素晴らしい国であると各国の市民たちに刷り込ませることに見事成功したからだ。


 これにより日本には連日、大量の観光客が来日。日本の経済に確かな貢献を果たすのであった。




長いです(自分なりに)。しかも会話が鬼門でした、自然な風に女性の会話を書くのって大変ですね。

やっぱり戦闘シーンもこういった小説には必須だけど、日常のお話もないと殺伐としちゃいますからなんとか書きました。


なおこの話は綺麗ごとしか含まれていません。(今後の観光業界の未来がここにかかっていますからね。)

そしてこの観光には日本の負の歴史、特に戦争など血を流す事柄などは一切登場してきません。なんか北朝鮮的なアトモスフィアを感じますが仕方ないね。


感想待ってマース

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