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009.誘惑と戦闘





初めての魔物退治から3日後、順調にポイントを稼ぎながら隼人は悩んでいた。


なかなか、ダンジョンの中に魔物が入ってきてくれないのだ。



「外で魔物を見つけて、戦いながらダンジョン内に誘導することは可能なんだけどな。それだと効率が悪すぎるし、毎回シオンに頼むのも申し訳ないしな」


今、このダンジョンにお願いをして理解してくれる理性のある者はシオンのみ。ゴブリンもスライムも数は多けれど、理性は無いので目の前の敵のみ倒そうとする。故に、ダンジョンの外に出て、誘導しながら倒すことは不可能だ。


まあ、試したから言えることなんだけども。




なにかいい案はないか…と、フリーマーケットを見てみる。



=================


【装備品】

・銅の指輪 250pt

・銀の指輪 500pt

・銀の指輪 750pt

・布のマント 300pt

・普通の帽子 50pt

・鋼の盾 1000pt

・ミスリルの盾 2500pt


=================



マーケットに置いてあるものを見ながらふと気がつく。もしかしてこれって、ダンジョン報酬とやらに使えるか?



よくあるゲームには、ダンジョンを攻略していくうちに様々な場所に宝箱があり、その中の報酬を得ながら進んでいったはずだ。


このダンジョンには核があるから、それを狙いに来るはずだと思っていたが、よくよく考えると何があるかもわからないダンジョンの最深部にやすやすと入る者も少ないはずだ。



「そうか、こういうものを目立つところの節々に置いて、狙われやすいように調整していけばいいのか」



安易だが、理性もない魔物程度なら入口の目の前にエサを置いておけば釣られてくるだろう。


最初は警戒されるかもしれないが、最初はエサをタダで与えておき、それをみた他の魔物たちがエサがあることを理解し、ダンジョンに向かってくる。


地道だが、それしか方法がない気がする。



「となると、魔物が喜びそうなエサはなんだろうか…」


再び、フリーマーケットに目を通してみると、気になるものがあった。



=================


・低級誘惑草 200pt

効能:低位の魔物に対し、それぞれの好物の匂いを醸し出す花。


・中級誘惑草 800pt

効能:低位〜中位の魔物に対し、それぞれの好物の匂いを醸し出す花。


・高級誘惑草 2500pt

効能:魔物全体に対し、それぞれの好物の匂いを醸し出す他、一部の人間に対し興味を抱かせる幻覚作用を持つ花。


=================



これはベストな代物だった。

地道に貯めたDPは現在4890pt。贅沢しなければ少しはやりくりできるだろう。したがって、高級誘惑草はまだ少し考えなくてはならない額だった。



「今はまだレベルも低いし、味方も少ないがシオンはなかなかに強い。地道に貯めるためには中級誘惑草ぐらいが妥当か」


そして、隼人は低級誘惑草と中級誘惑草をひとつずつ購入した。




「シオン、すこしついてきてくれ。」


「かしこまりました」



最近気づいたことなんだが、シオンはその場にいなくても呼ぶとすぐに現れる。この仕組みは一切わからないが、今の所便利なので何も聞かずにいる。

今度、聞いてみるのもありかもな。



そんなことを思いつつダンジョンの外に出た。外の日差しはすこし薄暗くなっていた。明るさからして、前の世界でおよそ18時ぐらいだろう。


ダンジョンの入り口に先ほど購入した中級誘惑草を植える。そして、低級誘惑草はダンジョンからすこし離れた場所に植えた。


その間に近寄ってきた魔物はシオンに倒して貰っている。



「これで少し離れたところにいる効能外の魔物もダンジョンに気付きやすくなるということですね」



と、汗ひとつかかずに戻ってきたシオンが関心しながら話しかけてくる。


最近少しずつだが、俺が声をかけなくても向こうから話してくることが増えてきた。本当に少しずつだが。



「俺にはこうやって考えることしかできないしな。あとは様子を見るだけだ。この花が効けば、シオンがわざわざ外に出て魔物を連れてくる手間も減るだろうし、いつもありがとな」



そういうと、シオンは目を見開き、次に顔を真っ赤にしながら、にやけた顔を無理に戻すような顔で


「そっ、そんなこと、ハヤト様のためなら微塵も苦にならないことでっ、えっと、その、もっと大変な事も行いますし、キツくしごいてくれても…!!ってあれ?違うんです!そういうわけじゃなくて、あれれ?」



途中から自分が訳のわからないことを口走ってる事に気付いて、慌てて一人で百面相をしている。始めてここまで表情が変わるシオンを見た気がする。



「しごいてほしいって……シオンってドM?」


と、つい子供心が出てきてからかってしまったのが間違いだった。



「っ!!!……ハヤト様の、ばかーーー!」




シオンは顔は真っ赤のまま涙目で走り去ってしまった。少しやり過ぎたかな…と、申し訳ない気持ちになったが、慌てない。


忠誠心は本物だろう。一瞬遠くまで行ったかと思ったが、もう既にすぐ後ろの木陰にシオンの気配がある。俺を心配してくれているのかなんなのか。その可愛らしさに満足しながら、ダンジョンに戻っていった。




––––––––––––––––––––––––––––––––––





朝、騒がしさに目をさました。

ダンジョン内の映像を脳内に映し出す。

ダンジョンマスターの特権で、この間気がついた事だ。


するとダンジョンの中に、最初に戦ったブルーラビットと、ポイントを貯めている間に何度か見つけたコボルトがキョロキョロしながら入ってきていた。




道中、自然繁殖させていたスライムが一匹のブルーウサギの背後から飛びかかり、特有のスライム状で絡みつき身動きが取れなくなっていた。そこにもう一匹のスライムが覆いかぶさり、息ができずに絶命した。



なかなかグロいのね、スライムって。



しかし、コボルトはスライムなど物ともせず突っ切ってくる。そこに、ゴブリンが登場する。それがなかなか強かった。


召喚しているからなのか、そこら辺に自然発生した魔物よりかは少しだけ意思が垣間見えた。


コボルトの隙をつき、ゴブリン同士が連携して倒していった。



そんな様子を見つつ、隼人も入口付近に向かっていった。



そう、昨日の夜、花を仕掛けたあとに自分の戦闘力も高めなければと思い、武器を買っていたのだ。シオンには最初から手を出さないように伝えてある。



「粗末な剣と盾だが、無いよりかはマシだよな。」



と、自分に言い聞かせつつ、初めての戦場へと赴いた。そこで、初めて魔物と対面した気持ちを一言で言い表すならば「気持ちが悪い」だった。



遠くで離れていた時にはわからなかったが、思ったよりコボルトは体がしっかりしていて、身長こそ膝丈より少し上ぐらいだが、見た目もTHE魔物という感じ。


自分で召喚したゴブリン達もまともにみてこなかった仇がここで帰ってきた。



そんなことを考えてると、残った最後のコボルトが隼人に気付き襲い掛かってきた。

咄嗟に右に倒れこむように動く。



すると、そのままの勢いで壁に激突する。


「え?え?」


混乱する隼人を無視して、そのままコボルトが走って近づいてくる。


「ちょまっ!!」



慌てて、今度はゴブリンの左脇にそれるように飛び込む。


またありえないぐらいに飛んでいく。

そのまますっ転んだが、十分にコボルトから距離を取っている状態で隼人は考える。



(体が軽い。どういうことだ?)



普段は気がつかなかったが、いつもより体が軽く、少し飛んだだけで想像してたよりも動いていた。


(どうなってんだ俺の体は…)



人外離れした身体能力に驚きつつも既にこちらに向かってきているコボルトに視線を写す。



「まあいい、この際気にしてられるか!」



自分の体の調子を確かめるようにコボルトの周りをうろちょろと動く。そして、コボルトが混乱してきた頃を狙い一気に畳み掛け、心臓に一刺しした。


緑色の返り血を浴び、気分が悪くなった。



すると脳内に軽快な音が流れて、レベル5になった。ちょっとレベルあがりすぎじゃない?


いきなり5レベルもあがったことに驚いたが、そんなことより、コボルトが相手といっても初めての戦闘でかなりの疲労感が襲ってきた。



「さすがです、ハヤト様。本日はお休みにいたしますか?」


すかさずシオンが横に来て、体を支えてくれる。


「ああ、ありがとう。体の節々も痛いし、少し休憩することにするよ」



といいながら、ハヤトの意識はブラックアウした。

あれ、いつもより字数が多い。

書きたいことが少しずつ増えてきました。流れが出来てきたのかな。

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