006.自己紹介とこれからのこと
少女を召喚して、服を与えた。そこまではいい。名前を決めなければいけなくなってしまった。
いままで、名前を決めることなんて昔飼っていたハムスターにつけたぐらいで、人につけるなんて考えたことがなかった。それほど強い結婚願望もなく、流れに身を任せて過ごしてきていたので、将来の子供の名前などもふざけてでも、全く考えたことがなかったぐらいだ。
「名前、ね…。君は魔人なんだよね?どんな魔法を使うんだ?」
「はい、創造主様に造られし魔人でございます。そのため、種族等はございませんが召喚魔人であり、主に闇魔法の『吸収』を得意としております」
「吸収?」
「はい、私の能力は、敵味方関係なく相手の能力などを吸収し、自分に反映することができます。例えば…」
急に話をやめて、近づいてくる。
「失礼いたします」
そう言い、頬に手をあてがう。綺麗な顔が目の前に来たので内心ドキドキしてしまう。
すると急に、彼女の髪が伸び体身体全体を覆い尽くし、繭のような形になった。と、思った瞬間に繭が解ける。
出てきた人物に驚いた。
「こういう形で姿を真似する事や、能力をコピー、または奪う事も出来ます。」
そう、姿形が自分そっくりなのだ。
見た目や身長などももちろん、今隼人が着ている服すらも同じであった。側から見たら、同じ服と顔をした男が見つめ合っているのはとてもシュールであろう。
「わ、わかった。元に戻ってくれ。これか
君の名前はシオンだ。よろしく頼むよ」
「ありがとうございます。誠心誠意尽くさせていただきます」
こうして、やたらと美人な話し相手が出来た。
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さて、どうしたものか。
現在残りポイント数 : 2380pt
シオンの召喚と洋服、それに部屋作成ですこしポイントが減りすぎてしまった。
あれからシオンと話し合い、好きなように「変更」でケチりながらも可愛らしい部屋を作ってみた。久し振りの人との会話だったので、話し合いの時間が楽しかった気もする。
「ハヤト様、ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか?」
さすがに創造主様に抵抗があったため、呼び方を変えてもらった。最初は「御主人様」になりそうだったのだが、逆に創造主様よりも歯がゆいものがあったので拒否した。
無論、隼人と呼んでとお願いしたけれど、それはシオンが恐れ多いと言い、この呼び方に定着した。
「なんだ?」
「このダンジョンは、いつミエラルディアとお繋ぎいたしますか?主に私のために、ポイントがだいぶ減ってしまっております。ポイントを稼ぎつつ、広くしていってもいいかと思われます」
そう、シオンは俺の能力を吸収した際に、モニターを見れるようになっていた。事実、ダンジョンマスターとしてのすべてのコピーはできなかったらしい。何故だかはわからないが。
なので、モニターの操作等までは出来ないみたいが、現状のダンジョンの情報は隼人と同じくらい理解していることになる。
「確かにそうだな…収入源がないと何もできないし、今あるポイントで少しダンジョンを広げて、軽く罠を仕掛けて安易に誰かが入れないようにしてから、繋げてみようか」
そうして、自室以外のダンジョン作成を本格的に始めることにした。
「まずは魔物がいないとどうにもならないよな。」
モニターにある『召喚』の魔物の欄を見てみる。
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「スライム」5pt
「ゴブリン」10pt
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え?この二つだけ?
別のページにも乗ってないか確認するが、二種類の魔物しか書かれていない。なんなんだこの心許ない魔物達は…
ただ、スライムとゴブリンは繁殖能力が異様に高いと聞く。最初の段階ではポイントも少ないので、上手く繁殖させて数を増やすのもアリかもしれない。
「とりあえず、スライムを5体。ゴブリンは3体。繁殖能力に期待して、部屋を二つ作って繁殖部屋にして様子を見てみようと思う。」
「よろしいのではないでしょうか。スライムに関しては、必要な量の水分を与えておけば2日で分裂すると思われます。ゴブリンもメスとオスを一緒に入れておけば、その日のうちに繁殖行為をしはじめます」
「そうか。じゃあ、部屋を作り終わったら召喚しよう」
隼人はモニターに集中して部屋を作成しだした。
明日はおやすみします。