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005.喋り相手





ダンジョンに転生してから3時間。あれからしばらく、説明書に集中して目を通し、覚えられる範囲で頭に詰め込んでいった。


「ダンジョンとして本格的に機能させるには、ダンジョンの名前を決める必要があるってことだな」



説明書を見てわかったことだが、ダンジョンの名前を決めることで転移が作動し、ランダムでこの世界のどこかにダンジョンが設置されることになるらしい。よくある「急にダンジョンが現れた」というのは、あながちこういう理由なのかもしれない。


現世にある本の世界の話なので事実性はないが。



隼人は内心、最初に勢いで名前を決めてなくてよかったと安堵した。そして、初めの段階から少し気になってたことを解決することにした。



「この独り言、気を紛らわせるけどやっぱり寂しいんだよなあ」



そう、先ほどからちょいちょい喋ってはいるが、寂しさのあまりそれを誤魔化すためなのを隼人は気付いていた。


「説明書には……『召喚した魔人は人と同じ自我を持ち、高い知能と創造主に対して絶対的な忠誠心を持つ』…と。これって、話し相手になる…よな?」


安易な考えだった。しかし、魔人召喚には欠点があった。それは、創造主の血肉が必要なことだ。



「この、血肉っていうのはどうしよう。ありがちに手を切って血を垂らす…?まさか、腕を切って与えるとかそういうのじゃないよな?」



もともと異世界の人間である隼人は、血や怪我に対してどうしても抵抗感が出てきてしまう。しかし、このまま一人でこんなところに篭っていてもいつかは発狂してしまう気がする。



「仕方ない、か」


そう呟き、岩からナイフもどきをイメージして作り出す。魔人召喚は2500ptと5000ptがある。まずは最初だ。ちゃんとしたやつが出てきてほしいので5000ptを迷わず選択した。


すると、目の前に魔法陣が展開される。



「あーこわい。うん、絶対痛い」


完全にチキン発言をしながら、ナイフを腕にあててグッと押し込む。


ぷつっ、と刃がのめり込み血が魔法陣にポトッと落ちる。






その瞬間、目を開けていられない程青白く光り、手で目を隠した。





––––––––––プシュウウゥゥゥ




光も収まり、煙の出る音が聞こえたので目を開ける。




するとそこには、腰まであるサラサラした黒髪ストレートの少女が裸で膝を立てるように俯いて座っていた。


お互いに沈黙だ。



「………あの」



隼人はおずおずと声をかける。すると、その少女が顔を上げる。衝撃が走った。


少女の顔はいままでに見たことないほど美しかった。透き通るような白い肌。目はくっきり二重、透き通った薄い茶色の瞳で優しげな印象の目を持ち、スッとした鼻に薄すぎない厚さの綺麗なピンク色の唇。


その唇が微かに動いた。



「我が主から頂いたこの命。尽きるまで、遠慮せずお使いくださいませ」



そういってまた、頭を下げた。



「ちょ、ちょっと待って。そんな畏まらなくていいから!!とりあえず顔をあげてこっちを向いてくれ」


「かしこまりました」



そして、そのまま立ち上がる。

綺麗な身体が丸見えだった。頭が沸騰寸前だ。



「やっぱ!座って!ごめん!!」


そう慌てて言い、モニターを開く。『マーケット』に洋服などが売っていたはずだ。


後ろを向き、急いで女性用の洋服に目を通していると、様々な種類の服があることに気がついた。「メイド服」「巫女服」「制服」「水着」…っておい!


コスプレみたいな服をスルーしながら、見つけたのは純白のワンピースだ。とりあえずこれを選ぼう。1200ptだ。高すぎないか?


背に腹は変えられない、そのまま購入して、少女に渡す。



「これを着てくれ。ありあわせで急いで選んだものだから、気に入らなかったらすまない。」


「ありがたき幸せ。死んでも肌身離さず大切にさせていただきます」


「いや、そこまでしなくても…」





ワンピースを着た彼女は、本当に美しかった。


真っ白の足首まであるロングのワンピース。上は、丸襟がついており胸元に大きいリボンが添えられていて、細いくびれが強調されるようなシンプルなデザイン、くびれに合わせてさりげなく広がるスカート。


我ながらいい買い物をした気分になった。



「それで、君の名前は?」


「まだ名前はございません。創造主様のお好きなようにお呼びくださいませ」



……まじ?難易度高くない?




ギリギリセーフ!

遊んでると時間が過ぎるのが早いですね。

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