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事件A

 なんとはなしにパソコンを開く。

 なんか新しい楽曲落ちてねーかな……。


 お、MakotoPの新作あがってんじゃん。



 <<<再生>>>



 イントロ。


 エレクトロチューンの曲に乗って、ボーカライザー01『lu-rabbit(ルラビット)』が踊る。

 ステップに合せて頭部のメカ耳がスウィングする。


 KA・WA・I・I(か・わ・い・い)!!!



 Aメロに入る。


 あわせて、ビデオ内で踊っていたポップなオブジェクトが、部屋中に展開される。

 かつてはHMDヘッドマウントディスプレイを使わないとできない技術だったが、ほんの数年でプロジェクションマッピングが凄いことになって、ご家庭でもこんな表現がお手軽に再現できる時代になってしまった……。


 続いてlu-rabbitが視線をこちらに合わせながら歩いてくる。


 lu-rabbitたん……。


 画面の中で踊っていたlu-rabbitは、いま、僕の眼前で歌い踊っている。

 すげえ。すげえすよMakotoP!!


 そしてサビ。


 lu-rabbitは、僕の首に手を回し、せつない表情でサビのメロディーを歌い上げる。


 ……………………。



 ……間奏。


 lu-rabbitは僕の首に回した手を離さない。

 その表情はさらにせつなげだ。


 「ど、どしたん……?」


 僕は思わず、その電子の歌姫に語りかけた。

 まさか……、その電子の歌姫が僕の言葉に返事しようとは。


 『……あなたの欲しいものはなんですか?』


 え、えっ!?

 そ、そんな……、ぼくわ……。それ言うの!?


 lu-rabbitは、さっきよりも少し詰め寄ってくる。


 『あなたの、欲しいものはなんですか?』


 ぼ、ぼくわ……。



 そして、彼女は、僕の答えを待たずして、行動を起こした。

 僕の首に回したほっそりとした手。

 彼女はその手のひらで、僕の首を包むようにして……。

 僕の喉ぼとけに、両の親指をあてがい……。


 ぎゅっ、として。


 僕を……、両の足が宙を舞うくらい、高々と掲げた。

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