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目覚めし者  作者: 蒼い人
9/12

№ 8  偵察

          № 8  偵察



【3日目】

出発して1時間程経つが、まだ”奴等”との接触は無い行きで逸れの”奴”と遭遇した場所を通過し鉄橋を渡っている最中2㎞程先に平行して掛けられた鉄橋(進行方向の右側(北側)の橋)を大勢の”奴等”が移動しているのを発見した。どうやら道路を進みメイベル方向へと向かっている様だ。


更に20分進んだ頃、1台の乗用車が線路脇に放置されていた。どうやら泥濘にタイヤを取られて放置したらしい

それから数分程進むと線路脇を進む10台程の乗用車の集団を見つけた。列車に気付き線路脇に車を止め降りて此方に手を振っている

列車を停車して辺りを警戒してると救出したメイベル出身の住民と車の避難民達が和気藹々と話し始めた。 

話を聞いた感じでは、乗用車の避難組はメイベルの出身者らしい そうと分れば「後方の客車が空いています!其方に乗込んで下さい!」空いてる客車へ避難民を誘導して急いで乗車する様指示する「かなり大所帯になっちまったな」10分程で自動車から荷物を客車へ載せ替えメイベルへと出発した。


途中何体かの”奴等”と遭遇したが放置してメイベルへと向かったのでかなり時間を短縮出来た。

17:30メイベルのバード基地へ無事到着、人数が多すぎて全員は町に泊れないのでバードの家(基地)の隊舎を何棟か借り宿泊して貰う事となった。

周辺の町から逃げて来て基地へ辿り着いた人達は、小さい頃この線路沿いで遊んでいた思い出が家族の命を繋いだ事に喜びあった。

だが彼彼女達は知らない…本当はもっと大勢の人間がメイベルの町を目指していた事実を… そして自動車で避難して来た彼ら彼女らが幹線道路から逸れ線路脇を進む決断をしなかったら… 悲惨な運命が待ち受けていた事を…。


メイベルを封鎖している東の橋から車で5分程の距離にある橋が車両事故で塞がり通過出来ず千数百人の避難民が”奴等”に襲われていた事を…、一つの判断が運命を大きく変えた事実を…


 メイベルに向け基地を出発する前に連絡を入れたので今夜は追悼式パーティー兼救出成功パーティーが催されるそうだ メイベルでは準備も整っているらしい…、辛い事だけでは人の心は持たない、お祭り騒ぎ好きのアメリカ人の気質と言うのかとても前向きだよな…

 水、電気、ガス等のライフ・ライン、それに当面の食糧には不自由していので何だか世界と切り離されてもこの町だけで生活出来そうだ、バードの基地から軍用トラックで救出した人達を町へと送りイベントが始まった。

町長や町の有力者、保安官キャシーの挨拶の後、町のホール脇の広場を使いパーティーやライブが始まった。

 集会場(体育館)のホールの壁には無くなった13人の生前の写真と生死が不明な町の出身者達の写真が貼られていた。

 

そんなイベントが始める少し前、俺は橋を越えた西側を偵察する事を決めた。 夕方で周辺も暗くなるので土地勘のある看護師のカーラと共に行くことにした。 

何故彼女に決めたかは彼女が休みの日に1人で森の中を散策したりオフロード用自転車に乗って森や山をツーリングしている事が決め手となった。

 メイベルがどの程度安全なのか?脅威はどこまで迫っているのか?確認する為にどうしても必要な行為だった。 

キャシーは反対したが「戦闘するつもりは無い、只の偵察行為だから」と無理やり納得してもらった。

 町を封鎖している西の橋のコンテナを越え自転車と荷物を降ろしヘルメットに肘当てや膝当てを装着、バックパックとHK94を背負いオフロード用自転車で出発、道路に設置したワイヤーを避ける為、森の中、木々の間を進で行く20分程進むみ丘の上に到着、すると遠目に橋が見えた。 

リュックから双眼鏡を取り出して橋を観察する 対岸には”奴等”が大勢居るが橋の中央付近でトラックがひっくり返り橋を塞いでいる!

どうりで”奴等”がメイベル付近に現れない訳だ…南側に移動している”奴等”も居る様だが線路に向かっているのだろうか…

「カーラ、”奴等”の一部が南に向かっている様だが、このままだと線路に到達しないか?」

「大丈夫よ、このまま南に行ってもこの先には十メートルから数十メートルの絶壁が谷間から延々と西に向かって二十キロ以上続いているの、南へ行くには一度西の町近くまで戻らないと南には行けないわ、只南へ向かうだけではメイベルには辿り付けないの」

「そうかそれなら問題ないな」カーラの助言を聞いて一安心したので町へ戻る事にした「ちょっと待って」もしかしたら…、カーラが双眼鏡で南の丘の上に在る送電用鉄塔を見ている俺も双眼鏡で覗くと鉄塔の金網で囲まれた敷地内に十数人の人間が寄添う様に避難していた。

「避難民か…それで奴等南に流れていたのか」どうする橋は使えないし、橋の向こう側には数百、いや千体以上の”奴等”が居るとてもじゃないが渡れない

カーラが指で合図する丘の下に十体近い”奴等”が居る 場所を移動してHK94を構えカーラと2人で近づく”奴等”を一体ずつ頭部に狙を定め射撃を開始する。

サプレッサーを装着している為「パン、パン」「パシ、パシ」と籠った発砲音と共に白人の恰幅のいい中年の男女の額が撃ち抜かれるカーラの「パン、パン」と鳴る射撃で小学生ぐらいの男女の子供が額を撃ち抜かれ動きを止める(家族で町から逃げて来たんだろうな…残念だったな成仏してくれ)


電力用鉄塔に避難していた人達が此方に気付いたのか手を振ってる「カーラどうする?」「電力用の鉄塔下からこちらの丘の下まで吊り橋があるの、吊り橋といってもワイヤーを数本張っているだけだけど…」双眼鏡で確かめると確かに吊り橋があるが…底板もないワイヤーだけの正しく吊り橋だ!

「アレを使うのか?」、「それしか方法が無いわね、命綱用のワイヤーが上に二本張られてるから安全帯(ハーネス)をしていれば落ちる心配はないわ」「安全帯(ハーネス)は向こう側とこっちの小屋合わせて10組ずつ合計20組は置いてるから数は問題無い筈よ」こっちの安全帯は全部持って行った方がいいな


吊り橋を観察すると吊り橋の両サイドに二組の太いワイヤーが張られている、一方は向こう側が高くもう一方はこちらが高い、これはもしかして…

「カーラ、この吊り橋の両サイドに在る二組のワイヤーってどちらか片方に傾いてる様だがこのワイヤーで滑走出来るんじゃないか?」

「そうね、以前電力会社のメンテナンスが荷物を吊って速度調整用ロープを結んで材料を移動させていたわ それを使えば吊り橋を歩いて渡るより早そうね」

 鉄塔脇にある小屋の鍵を俺がピッキングで開けるとカーラがニヤニヤしている、後で色々聞かれるな…、中から安全帯(ハーネス)を取出し体に装着するしっかりした作りだ!本格的だな、まぁ業務用だから当然か重量制限は130kgこれなら最悪子供や女性を抱いて降りても大丈夫だな 吊り橋の上に在るワイヤーに安全帯から伸びてる小型の滑車とフックをそれぞれ引掛ける。

 

「カーラ先に行くぞ、加速して滑り出す」100m程の距離を10秒程で谷向こうの砂地に両足と尻を着け到着、砂地から立ち上がり滑車とフックをワイヤーから外し邪魔にならに位置でカーラを待つ、カーラが綺麗な姿勢で到着、滑車とフックを外し安全帯(ハーネス)の腰に取付ける 様になっている…慣れているな

 俺とカーラが背負って来た安全帯(ハーネス)を肩に背負い直し、鉄塔下に在る小屋へ続く階段を上って行くと小屋の周辺に居た憔悴した人達が保安官姿の俺を見て「助けに来てくれたのか」と言い俺の所に集まって来た。

「俺達はメイベルからこの周辺の偵察をしに来ていて偶々皆さんを発見したので救出に来たのですがこの通り人数が2人しか居ません、取敢えずこれを食べて腹ごしらえして下さい」バックパックから非常食を取り出し皆に分け与えた。水は水道が在ったので何とかなったが相当飢えてた様だ、ガツガツ食べている携帯コンロでお湯を沸かしコーヒーやココアを与え休息した後「必要最低限の荷物だけを持ってこの鉄塔脇の砂地へ移動して下さい」と皆に伝えた。

「待ってくれ谷の反対側にもゾンビが居たぞ」と痩せた30歳前後の白人男性「大丈夫、あちら側の鉄橋付近のゾンビは殲滅したから」とカーラ「皆さん、この安全帯(ハーネス)を装着して下さい」装着を指導して俺が最初に渡り子供達を最初に此方に送り大人達が後に続いた。

子供達の中には「もう一度したい」と言い出す子も居たので宥めて「ゾンビが居なくなったらまたしようね」とか言いなんとか収めた。


 暗くなった森の中を鼻歌混じりで40分程歩くと漸く橋が見えて来た。橋の手前コンテナ周辺には灯光器の明りで満たされてる ペンライトで合図を送ると向こうからも合図が帰って来た。

「皆さん、お疲れ様もう少しで町に着きます先に無線で連絡入れてたのでシャワーと温かい食事、それに寝る場所を提供出来ます。」


コンテナには梯子が掛けられ、それを上り降りして橋の反対側へ漸く到着した。バスを使いトラック休憩所へと救出した人達を送ってくれた。 休憩所の食堂食で彼彼女らと夕食をしながら雑談しながら身元を確認してカーラとパトカーへ乗り保安官事務所へと引き上げた。

「お疲れ様カーラ、付き合ってくれて ありがとう家まで送ろうか?」「お願い助かるわ」カーラに案内され自宅へと到着、木造二階建ての住宅だった。「コーヒーでも飲んでく?」

「早くシャワーに入りたいからまた誘ってくれ」「お疲れ様」と言いカーラはバックを肩から背負い自宅の階段を上がって行った。

 保安官事務所に入るとキャシーが後ろから抱きついて来た。「おかえりショー」「ただいま キャシー」振り返り頬にキスをした。

「毎回ショーには驚かされるわ、只の偵察任務の筈が町出身の家族を救出したらしいわね」ニヤけるキャシー「悪かった、無茶はしない約束だったな」

「2人とも無事だったし人助けもしたから今回は許してあげるわ」「キャシー報告がまだだったな」椅子に添わるとコーヒーを貰った。

「封鎖している橋のもう一つ先に橋があるだろ、そこに大型トラックが横転し橋が塞がれている事が原因で”奴等”は、まだ此方側に来て居ない。橋の対岸には千体以上の”奴等”が居るが渡れずに橋の周辺を徘徊している。事故を起こしたトラックの運転手には申し訳ないが暫くは東からの侵入は無い筈だ、明日は西側も調べた方がいいな」

「明日は私が付いて行くわ!町の西側なら実家の近くだし子供の頃からの遊び場だったから任せてね」「分った明日は2人で行こう!キャシー自転車は乗れるのか?」「自転車でもバイクでも任せて」笑顔で自信満々のキャシー


 祭りもまだ続いているし顔でも出して来るか…「キャシー、会場に行くが一緒に行くか?」「勿論行くわ」微笑むキャシー















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