№ 4 合流
№ 4 合流
【2日目】
パトカーの中で音楽を聴きモニターを見ながら橋の反対側の道路を監視してる00:00を回った頃、此方に一台のピックアップが近づいて来る。 パトカーの後ろに止まると中から人が降りて来て近づいて来た。
ドア ミラーで確認すると黒の4WD(Jeep Cherokee XJ)に2台に分乗して来た女性4人組の1人だ、手に袋と飲み物を持っている
窓を開け「どうした。」と声を掛けると「差し入れよ」とコークとハンバーガー、ポテトを貰った。
「寒いだろ中に入ったらどうだ」助手席を勧める「ありがとう、ショー」、「ハンバーガーもポテトも温かいな」、「材料があったから勝手にキッチンを使わせて貰ったわ」と微笑む
「クレアよ!」「そう言えばまだ名前聞いて無かったな、ショーだ!宜しくな、クレア」と握手する
「ショー貴方、昨日この町に着たのよね」「あぁ、そうだ、こんな事になってしまったが…」(苦笑)
「それにしては随分町の皆と馴染んでいるわね」「自分でもそう思う、何故だろう居心地もいいしな」少し俯いて何かを決意して話しかけるクレア
「実は私達、東の町から逃げて来たの」「東ってすぐ隣(人口5~6千人)のか?」
「その隣りのガニソン(一万数千人規模の街)から…」
不味いな…状況は思ってたより深刻なのか…そうなるとその隣りのフィルモア(数万人規模の街)やその隣りメルン(十数万人規模の街)にも、もしかしたら感染者が拡散してる可能性が高い
「それと西の町にも感染者が発生したって衛星放送のニュースで観たわ」西の街は、ここから百km以上も離れている暫くは安全だろう、それに明日の午後には封鎖するから問題無い筈だ、「この話をあの二組の家族にしたのか?」頷くクレア「そうか…」
ふと頭を過った事があった『ノアの方舟か…』軍が鎮圧するにしても下手したら一週間以上かかりあそうだな
「ありがとう、クレア話してくれて!」、「私達、ガニソンの自警団だったの軍の経験もあるし仕事の合間に毎日トレーニングして体も鍛え週に一度は射撃の訓練もしていたわ、それで油断していたのよね…ゾンビなんか退治してやるってね、市民から有志を募って戦いを挑んだの、最初は有利に戦えたけどいつの間にか分断されバラバラになって数で圧倒されちゃって気が付いたら仲間達と守るべき市民も見捨て逃げ出して来たの…、それに比べて僅か数名で”奴等”鎮圧して町を取り戻したショー達が眩しかった…」
「運だな」、「えっ」、「運だよ、俺がその町にいても大して役に立たなかっただろう、言い換えればこの町ならクレア達でも活躍出来たって事だ、それにクレア達は導かれこの街に辿り着いたかもしれないな」、「何の為に」
「これから起こる戦いの為にだよ、早ければ明日の夕方か遅くても明後日には大勢の”奴等”がこの街に押し寄せて来る、それを防ぎ軍が来るまで俺達でこのメイベルの町を守らないとな」微笑む、「分ったわ、帰ったら皆に話しておくわ、話聞いてくれてありがとうショー」、「帰り気を付けるんだぞ」、「分ってる、護身用の銃は持ってるわ」と微笑むクレア
それから色々な事を考えてると腹が満たされた為か いつの間にか寝てしまった。
周りが明るくなり目が覚めた腕時計を見ると06:35あと1時間程で交代の時間だな、モニターをチャックすると橋の向こう側、1km程先に大型トレーラーが止まっていて、その手前を三体の”奴等”が此方に向かって歩いていた。「思っていたより到着が早いな」ここにトレーラーで逃げて来たが同乗者かドライバーが噛まれていたのだろう
ポリスカーのトランクから狙撃用ライフル(レミントン:M24 SWS)を取出し橋の欄干から反対側にあるコンテナの上に登り砂袋に委託して”奴等”を狙う、ズーム式スコープ(3~10倍)を調整し”奴等”が近づくのを待って射撃を開始した。
サプレッサー付を取付け目標が600ヤードを切った「パーン」「パーン」「パーン」と少し籠った射撃音が鉄橋に響き渡る発射音と共に次々とゾンビの頭に命中し崩れ落ちる。
「終了」と独り言を言いパトカーまで戻ると交代のスティーブが到着した所だった。スティーブが焦った様子で「パトカーに姿が見えないし射撃音がしたからビックリしたよ」と言われ「すまん、スティーブ『パトカーを離れる時には連絡する』だったな」すかっり忘れていた。
「橋の反対側に”奴等”が現れてな、と言っても600ヤード以上も先に居たから仕留める為ポリスカーを離れてコンテナの上に居たんだ。 それとスティーブ、仕留めた場所にトレーラーが止まっていて、その荷物が色々使えそうでな」
「その荷物って何なんなんだ?」「ワイヤーだよ、道路を横切る様に木に括り付けて”奴等”の進路妨害に使えないかと思ってね」
「分った人員を募って午後から作業に取り組もう!ショー帰って休んでいいぞ」
「了解そうさせて貰うよ」
パトカーを運転して保安官事務所へ戻ると丁度アンも到着したところだった。
「よぉ、アンお疲れ様」「ショーもお疲れ様」中に入るとキャシーが「お疲れ様、ショー、アン」、「キャシー、ちょっといいか相談があるんだが…」「なに?この場でいい?」「あぁ構わない実はトラックの休憩所に居る人達に住む場所とちょっとした仕事を手配して欲しい それと東の橋から1km程先に乗捨てられてるトレーラーの資材を使って午後から東の橋向こうの防衛を強化する作業を行いたい 具体的言うと荷台に積んでるワイヤーで道路を挟んだ木々を結び簡単には進めない様にして敵の進攻速度を妨害して遅くしたい!」
「障害物で”奴等”の進攻速度を遅くするのね」
「あぁ、運が良ければ”奴等”の何㌫かはワイヤーで自滅する筈だ」
「分ったわ、保安官事務者の斜め向かいのアパートと一ブロック先に空いてる家が何軒かある筈だから、それを使って貰えばいいわ、私は、これから町の会合があるからその時に皆に話してみるわね 人手が足りないし問題無い筈よ」
それからシャワーを浴びて着替え昨日、食事をしたダイナー【ルイストン】へと向かった。 店に入ると昨日と同じ様に皆が「ショー、夜勤お疲れ様」声を掛けて労を労ってくれた。
今日もお薦めを頂いた…それにしても幾ら美味しくても朝からこの量は止めて欲しい…でも頑張って全部平らげた。
「おぉ~スゲーなショーがあのスペシャルメニューを全部平らげたぜ」、「掛けは俺の勝ちだな」と聞こえたが聞かなかった事にした。
食事を済ませ店の客や従業員に話しかけた。「皆さん、後からキャシーから話があると思うが町外れのトラック休息所に数組の家族とドライバー達が避難している その内2家族と女性の四人組が町に止まる事を望んでいる その彼ら彼女らの当面の住居と働き先の面倒をお願いしたい、この時期、街に居るのも何かの縁だ、是非町に受け入れて欲しい」
「分った、後は俺らで何とかするからショーは休んでろ!」、叔父ちゃん良い事言う
「そうよ、ショー休んでいて後は私達で良いようにするから」恰幅のいい叔母ちゃん
「ありがとう皆、マスターごちそうさま美味しかったと」と店を出て保安官事務所へ向かう
一階でキャシーに合図して保安官事務所の二階にある宿直室のベットに横になる。お昼には起きるか、腕時計のタイマーを正午にセットして目を閉じる
疲れが溜まっていたのか直ぐに眠りに落ちた「ピピ、ピピ」と腕時計のタイマー音で目が覚める「もうお昼か」タイマーを止め、軽くストレッチしながら服を整え1階に降りるとキャシーが出かける準備をしていた。
「ショー、留守番お願い、これから慰霊祭があるの」、「分った」キャシーを見送って暫くするとクレアが保安官事務所を訪ねて来た。
保安官事務所に入り中を見渡すクレア、部屋の中央に山積みされた弾薬を見て驚いてる
「どうしたクレア何か用か?」「地方の保安官事務所にしては凄い弾薬の量ね」と笑った。
そして俺を見つめて「ショーにお礼をね、町の人達の依頼でこれから西に在る病院の後片づけの手伝いをするの それと家族連れは教会やお店の後片付けを手伝ってるわ、あとアパートを無料で貸してくれたの」
「そうか良かったな」「それも全部ショーの御かげよ、ありがとう」、「無理はするなよ クレア達は銃と弾薬はあるか?病院に行くなら昨日撃ち漏らした”奴等”が森の中にまだ潜んで居るかもしれないからな、気を付けろよ」
「大丈夫、銃も弾薬もこの部屋に在る量と同じ位持ってるわ」
「クレア油断するな、駐車場の出入り口に1人は見張りを立てた方がいい」「分ったわ」と言って笑顔で保安官事務所を後にした。