№ 1 始まり
№ 1 始まり
【1日目】
給油が終わり支払を済ませ愛車(クライスラー:ターバイン)のエンジンを始動させる、キーンと甲高い変わったエンジン音が響く俺の愛車、燃費が悪いのが悩みの種だが、この地域は天然ガス田がありガスの価格がとてもお手頃で後部座席を潰してCNG用のタンクを載せガスと液体燃料(軽油、灯油、アルコール)両方が使える様に改造している。
給油所から車を出して国道をヨタヨタと歩く不審者(酔っ払い?ジャンキー?)の傍を通り過ぎようとすると此方に近づいて来て愛車に飛び掛かろうとしたが辛うじて避ける事が出来た。
「あぶねぇ奴だな! もう少しで事故になる所だった。あのヤロー薬中なのか?」そのまま通り過ぎて数分後町中に入ると路上で車やバスが放置され、街中の至る所で先程のあの酔っ払い(薬中)みたいな”奴等”が道路や歩道を徘徊していて車同士が激突したり電柱に突っ込んだりしたりしている
「きゃ!やめて!」「や、やめろ!」「く、来るな!」悲鳴や叫び声が聞こえて来た。
一体この街に何が起こっている、暫く車を進めると保安官事務所が見つかった。保安官事務所前の駐車場に駐車しているポリスカーの隣に愛車を駐車して事務所への階段を数段上りドアを開けて中へ入ると…もぬけの空?
「誰か居ませんか!」声を掛けて奥に進んで行くと例の酔っ払い風の不審者数名が奥の部屋の前でドアを叩いている その内の1体が俺に気付き此方にヨタヨタと歩き近寄って来た為、他の数体も此方に向かって来た。
「嘘だろ」何だか映画の【ゾンビ】みたいだが…射殺すると法律的に微妙だな、護身用の銃( ワルサー:P22)をジャケットの内側から取り出し後退りしながら撃つ事を躊躇っていると奥のドアが開き保安官らしき女性(二十代後半)がショットガン(レミントン:M11-87)を撃ち始めた。「うわ!不味い!」と慌てて物陰に隠れる
射撃音が収まり声を掛けた「今出るから撃たないでくれ!」銃をホルスターに収めIDと銃の所持許可証を手に持ち手を上げて出ると保安官の女性が近寄ってIDと銃の所持許可証を見て「貴方この街の人間じゃないわね」「あぁ、偶々この町に通りかかったらこんな状態だったんで保安官事務所へ寄ってみたんだが…」
「いいわ、手を降ろして、銃の所持許可もちゃんと持ってるし問題ないわ」「ありがとう」と彼女言い、IDと許可証をポケットにしって「銃と言っても護身用の22口径だけどな」とジャケットを捲りホルスターの銃を見せる「そんな可愛い銃じゃなくて男ならこれぐらい持たないと!」と彼女はホルスターからH&K USP 45を取出し見せてくれた。(苦笑い)
それから急ぎ正面出入り口の鉄格子を閉め、射殺死体を袋へ入れ台車で地下の安置所へ運ぶ作業を彼女と数回行い 作業が終わると事務所で彼女が淹れてくれたコーヒーを飲み一息つく「キャシーよ」と保安官が握手を求めて来た「ショー(翔)だ!」と握手する
「キャシー、一体この町は、どうなっている 応援は要請したのか?」「郡警察と州警察には連絡したわ それと応援を待ってる間に出来るだけ大勢を助けるつもりだったけど…いきなり現れた”奴等”の所為で部屋に缶詰状態だったの」
「そうか、良ければお手伝おうか?」「銃の扱いはどうなの?」
「ライフルや銃の射撃大会で何度か優勝した経験もある」「それなら問題無いわね」書類ケースの中を探して用紙を一枚取ると「この用紙に記載して此処にサインして」と用紙を渡された表紙には【保安官助手(臨時)】と…記載されている (しょうが無い人助けだ!暫く付き合うか)
「他の助手達はどうした?」「病院と教会へ行ってそれっきり連絡が取れないわ」病院か、
一番最初に”奴等”の被害に遭いそうな場所だな、それに”奴等”の数も多そうだ、教会は何かしらの原因で連絡が取れないか全滅したか微妙だな…
「ショー、出来るだけ早く学校に行って子供達の安全を確保したいの」「分った武器と弾薬が欲しい それともっと人手が要るな」
「武器は武器庫と押収品保管庫よ、武器は兎も角、弾薬なら腐るほどあるわ」武器庫にはM4A1、AR18S、H&K G41K、M24 SWS、M11-87、M870、H&K MP5SD5、M92、H&K USP 45、SIG SAUER P220とP226が各数丁保管されての弾薬は拳銃弾の.45口径用、40口径用、357口径用、9mm、ライフル用の7.62mm×63(30-06)、7.62mm×51(NATO)、7.62mm×39、5.56mm×45(NATO)、ショットガンの12番ゲージ等が其々数百発など地方の田舎町にしては充実している
『1990年代、重犯罪対策用に警察へ自動小銃(M16A2)が導入されたが銃身が長く屋内で扱いし難いと不評で銃身が短いタイプへ逐次変更された。
だがM16系は度々動作不良を起こしそれが原因で警官が事件現場で発砲が遅れ犯人に撃たれ負傷する事件が多々起こった。 それでM16やM4系のAR10やAR15系の武器は地元や近隣の3州では排斥運動が起こりより信頼性の高い銃器へと変更された。』
武器庫にお目当ての銃と弾薬が無かったので押収品保管庫に向かう中に入ると思わず口笛を吹いてしまった。 銃の押収品が倉庫を埋め尽くしているのだ!暫く探して漸く目当ての銃と弾薬が見つかった。
キャリコ:M-100 数丁に、H&K:HK94(MP5をセミオートにした民間向けモデル) 、S&W:M&P15-22が棚に十数丁箱入りが保管されており、その中からHK94と記載された樹脂製ケースから銃を取出した。
「こいつは良い、銃身をショートバレルに改造して弾薬を22LRへ コンバージョンしたモデルでサプレッサーも付属している コイツは掘出物だ!」
「ショーは本当に22口径が好きなのね、この銃は検問引っかかった積荷だけどコッチの方がいいじゃない」とハンナがM4A1に近い韓国製のK2Cやイスラエル製のGalil SARとMAR樹脂ケースに記載されたアサルトライフルを取出し差し出した。
「人間相手ならその銃の方がいいが ”奴等” 相手なら22LRで十分だ、それにフルオートで射撃しても弾をバラ撒いてるだけで”奴等”の頭に当たらない限り無駄弾だからな」
「そうなの?」「あぁ、それにこの22LRの銃は射撃音が小さいから”奴等”に気付かれにくい、それにサプレッサーまで付属している」、M4を扱いなれてるキャシーにはM4に似たS&WのM&P15-22のサプレッサー付を渡し保管庫の奥に進むと数千発入り各種弾薬ケースや50発入り100発入り小箱の弾薬が山積みされていた。 俺が口笛を吹く
「キャシー、どうしたんだ、こんなに沢山の弾薬、戦争でも始める気か?」「先月、殺人事件の検問中に無許可で大量の銃と弾薬を輸送しているトラックを捕まえてね、その押収品で保管庫がこの状態なのよ」(微笑)、これなら数千人の敵(奴等)相手に戦える
それから何丁かの銃と数万発の弾薬を台車で保安官事務所の待合室に移動して保安官助手の制服に着替え暴徒鎮圧用の装備を着こむ(機動隊の防護服みたいな)人手は多い方がいいと教会へ向かう事を進言したらキャシーも同意してくれた。
駐車場のポリスカー(Jeep Liberty KJ)に乗り込み教会へと向かう、教会へ到着すると周りには駐車している車と沢山の乗り捨てられた車、それにポリスカー(Jeep Liberty KJ)が一台止まっていた。そして教会の周りには”奴等”が大勢集まっている
「この様子だと中に大勢の生残りが居る可能性が高いな」「そうね、一階の正面出入り口や勝手口も分厚い(4~5インチ程)木の扉でそれの一階には窓も無いから侵入出来ないと思うわ、だけど一端中に入られると厄介ね」「キャシー取敢えず正面の”奴等”を排除しよう!」俺は弾薬が入ったバックパックを背負い教会正面の右側の木に登り射撃体勢にキャシーを見ると反対側の木で射撃体勢に入ったので合図して2人撃ち始めた。
サプレッサーを取付けての射撃「パシ、パシ、パシ」、「プス、プス、プス」と抑えた射撃音が鳴る度に”奴等”が倒れる 数分程の射撃で30体以上の奴らを倒した。
木から降り、教会の正面出入り口扉の前で声を掛ける「保安官のキャシーよ!正面の”奴等”は排除したわ、扉を開けてちょうだい!」「分った今開ける」キャシーが先に中に入り俺が殿を務めながら中に入って扉を閉めた。
結構大勢居るな、すると一人の男が声を掛けて来た「おい、おまえ初めて見る顔だな」、「今日臨時で保安官助手になったショー(翔)だ!」と握手を求める「マイクだ!」、「皆に紹介するわね、彼はショー、数時間前この街を通過する時に今回に事件に巻き込まれて保安官事務所で私が”奴等”に追い詰められた時助けてくれたの!銃の扱いも出来るから今回臨時の保安官助手になって貰ったわ! それに彼は射撃大会で何度か優勝を経験した程の腕前だそうよ!とにかく戦力になるわ、正直彼が居なかったらこの場所に来る事は出来なかった。ショー自己紹介宜しく!」
「ショーだ!事件が解決するまでの短い間だが皆さんの力に成りたいと思って保安官助手を引き受けた。 力を合わせ出来るだけ早く“奴等”から街を取り戻そう! 神も試練を乗り越えようと努力を惜しまぬ者は、きっと祝福してくれるに違いない!」
大勢から拍手で迎えられた。 最後は教会だから神とかほざいたけど…「良かったわよ ショー」とキャシーがウィンクした。
それから保安官助手2人を紹介され握手した。 エミリーよ!挨拶良かったわ(金髪セミロング20代後半)、スティーブだ!(茶色ショート 30歳前後)、教会が電波を通しにくい事と前任者の神父がミサ中に携帯電話が鳴ることを嫌がり電波妨害装置を取付けた為、無線も携帯も使えなかったらしいオマケにスイッチは固定電話の有る部屋に在って中には感染して”奴等”になった者が数体居たので弾切れの彼らは、どうする事も出来なかったらしい
先ずは教会の安全を確保が最優先だな 持込んだ弾薬をエミリーとスティーブに渡し2人一組で手分けして部屋を1ヵ所ずつ周り、十分程で教会内全ての部屋の安全を確保する事が出来た。
「これから学校へ子供達を救助しに行くけど何人か応援お願いしようかしら」「キャシー、学校の応援を募るのは止めた方がいい 理由は彼ら彼女達の子供が”奴等”になってる可能性が高いからだ! 彼ら彼女らは、そんな”奴等”を撃てるだろうか? 住民達には教会前のメイン・ストリートに居る”奴等”の排除をお願いしたい。」「分ったわ、確かにショーの言う通りね、そうしましょう」
それから住民達には表通りの安全確保をお願いして自分らは小学校に向かう事にとなった。 正面出入り口の扉を開け、俺とキャシー、エミリー、スティーブで屋外へ出て”奴等”を排除した後、銃やライフル、ショットガンを持った住民7名とバットやゴルフクラブを持った5人が屋外に出て来た。
「それでは、皆さん通りの安全確保をお願いします。それと絶対に1人で行動しないで下さい!」
パトカー(Jeep Liberty KJ) 2台に分乗して学校へ出発すると突然無線が入って来た。「アンよ!今病院の屋上に居るの誰か助けに来て!」キャシーが無線を取る
「キャシーよ!アン無事なの?ラルフはどうしたの?」、「キャシー助けて!」、「アン、聞いてラルフはどうしの?」、「ラルフは”奴等”に噛まれて…うぅぅ、病院の中は携帯電話も無線も使えないから屋上に逃げて来たの…」「分ったわ!アン、今の場所は安全なの?」、「出入り口は1か所しかないし扉は手錠と鎖で封鎖しているわ」、
「今、教会の救助が終わった所よ これからエミリー達と迎えに行くから安心して」、「分った… だけど気を付けて此処には”奴等”が大勢いるの、それと病室や部屋に立て籠もってる人達も大勢居るから…」生残りは彼女だけではないのか… 良かった。