プロローグ2
ギィイィィ…と音を立てて少女が扉を開ける
中は不思議な程に綺麗…なのだが、辺りからは
『一体どれほどの人間を取り込んで殺したんでしょうね……凄い血のニオイです』
少女は小首を傾げて独り言を洩らしながら辺りに目を向ける
今は少女が立つ歩みを進める広々とした…しかし血のニオイがするエントランス、人は居ない筈なのに点いているシャンデリアの禍々しい血の赤を含んだ灯り、執事やメイドが本来居るであろう部屋らしき間隔に配置された血塗れのドア、本来なら手が込んでフワフワだったであろう血に染まった赤黒い絨毯、血が手すりにこびり付いた大きな階段、階段先に有るコチラを観ていない筈なのに視ている気がする家族の絵画
『…絵画ですか…』
少女は絵画を見つめる、絵画には三人の姿が描かれている……整えられた黒髪、立派な口髭とピッシリとした黒いタキシードに身を包み、威厳に満ち、どこか優しさを含んだ眼差しの父親、そんな父親に寄り添う様に、腰まである金の髪と優しさと母性溢れる気品に白いドレスに身を包む母親
そして、そんな親に挟まれる様に母親の大部分を受け継いだかの様な金髪の見た目10~12歳の天使の様な少女、しかし…
『何でしょうか…怨みの念を感じます…』
その少女の絵の部分から、紫色の、どんよりとしたオーラの様なモノが放たれている
『…大丈夫ですけど、普通の人が此処に来たら…発狂しますね』
そう、そのオーラの様なモノは、純粋な殺意と、絶望と憤怒の折り混ざった怨恨の念で…
〔お姉さん、だぁれ?〕
と、不意に後ろから声をかけられて
『…さぁ、誰でしょうね?』
少し茶目っ気を含ませながら
『貴女を退治しに来たお姉さん、かも知れませんね?』
少し腕を広げて振り返ると、ソコには…
〔…そう…〕
絵画と瓜二つな少女が宙に浮いてコチラを見ていた
〔じゃあ…ワタシの敵なノね?〕
しかし、所々と違ったのは、全身が青白く、前髪に隠れて見えないが、左目は潰れ、真っ白だったであろうワンピースが血の色に染まりきり、所々が破けてたりしていた
〔敵なら…死んで…?〕
そんな少女が青白い手をコチラに向けると、ドコからか出てきた紫色のモヤが少女を囲む
『………』
少女は囲まれたモヤを見て……