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空木空観察日記  作者: 環田 諷
第一話
9/56

その8

主人公の秘密完全解禁と、空の告白内容が解ります

「泡だよ」

「泡?」

 伝わりやすいと思ってたんだけど、どうも勘違いだったらしい。さて、どう説明しようか。

 彼女の反応を見ながら話し始める。

「ソラちゃんさ、水の中で目ェ開けたことある?」

 空木空(うつぎ そら)改めソラちゃんは、こくりとうなずいた。まあ、水泳ゴーグルが一般的な時代だしね。

「あの時、口をあけるとブクブクっと泡が出てくるでしょ?あの感じ」

 おかげでいつも水の中にいるみたいだ。世の中は思っているより、ずっと嘘が多いのである。

 ちゃんと理解を得られたようだ。ぽかんと、些か間抜けにも見える表情をして固まっている。

 次の瞬間、彼女が勢いよく立ち上がった。どのくらいの勢いかというと、座っていたパイプ椅子が盛大な音を立てて倒れたくらいだ。がちゃんという激しい音が、耳に響く。

「すごい!すごいね、それ!すっごい魅力的!」

 …え?ここで告白?っていうか、すごいのは俺?見えるってこと?

 目を丸くする俺の手をソラちゃんががっしりと掴んだ。恥ずかしいって言うより、ただ吃驚する。

「ねぇ!協力して!」

 何にだよ。そういう感情が、表情から駄々漏れだったようだ。慌てて付け足してくる。

「あのね!あたし、この力を使って人助けがしたいの!」

 人助け。その言葉を受けて、なんだかがっかりした。そんなことを知るはずもないソラちゃんは、まだ熱を入れて語っている。

「今はまだあたしとクロウだけなんだけど、紫合(ゆうだ)君も一緒にやろう!」

「へぇ、人助けって何やるの?」

 完全に、意地悪な気持ちから来た質問だった。たぶん、今そうとう悪辣な顔をしてるんだろう。もしくは皮肉気か。

 手を離して、可愛い顔に満面の笑みを浮かべる。純粋なことで。

「あたしは人の傷が見えるし、その傷に触れれば何が傷になってるのかわかるの」

 そして思い出すように、嬉しそうに話す。

「クロウはね、物が持ってる情報が見えるんだって!鳥や木とも話せるのよ」

 …嫌な能力だな。

「いろんなものがラッピングされてて嫌なんだって」

 意味がわからないけど、まあ、ソラちゃんに説明を求めても無駄だろうな。

挿絵(By みてみん)

一応、三月の間は日々更新するために頑張ります


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