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空木空観察日記  作者: 環田 諷
第一話
8/56

その7

今回と次の話で、プロローグの意味が解っていただけるかなぁ…

 俺は首に手を当てて、頭を右に傾けた。首の筋がぴんと張るのを感じる。それから両手を挙げた。いわゆるホールドアップだ。

「降参だよ。俺にも、そういう変なのが見える」

 言うや否や、嬉しそうに俺の右手を両手でぎゅっと握ってきた。手が柔らかくて小さくて、爪もマニキュアを塗ったみたいにきれいな色をしてる。どこまで完璧な美少女なんだ、この子?

「何?何が見えるの?」

「ちょ…、手を、その…」

 女の子は大っ好きだ。可愛いし、俺に対してめったに嘘をつかないし。でも、ボディタッチとか、そういうのが平気なわけじゃないんだ。だから正直、めっちゃ恥ずかしいんだよ!

 でもそんなの、今まで俺の意見をほとんど聞きもしなかったこの空木空(うつぎ そら)が聞くわけなかった。全っ然開放する気がない。むしろぎゅっと力がこもったくらいだ。

「えっと…、その…」

「何?何なの?」

 せめて視線だけでも逃がそうと下を向くと、ダイレクトに彼女の胸元が見える。身長の割に大きな胸が、すごく目立つ。いや、やっぱだめだ。女好きと言いきれないのは、無駄に理性が高い所にあると思う。

 仕方なく、そこからさらに奥を見て、保健室の扉に目を向けた。人は誰もいない。万一、空木空が大声を出しても大丈夫だな。

 深呼吸で気持ちを整えてから、聞こえるか聞こえないかの小さな声で伝える。

「嘘が…見えるんだ」

「え?何?」

 外に人がいたらどうしようという警戒心が残っていた。でも、聞き返されたらそんなことどうでもよくなってしまった。もう面倒だ。

「見えるんだよ、嘘が」

「…嘘」

「君が言うかね」

「あ、ごめん」

 俺の手から離れた彼女の両手は、そろってその口元へ引っ込んだ。なんか、動作が可愛いというより、子供っぽい気がする。

「ほふひふふふひ…」

「や、何言ってのか分かんないから」

 口に手をあてたまましゃべろうとしちゃダメだろ。

「そっか、そうだよね」と手を下げると、椅子に座りなおしてこちらを見てきた。さっきはベッドに前のめりだったから気付かなかったけど、今の体勢だと彼女の上目遣いが真正面にあることになる。これはこれでいいアングルだけど、ちょっと恥ずかしい。

「どうやって見えるの?」

ソラはまだまともですねぇ

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