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空木空観察日記  作者: 環田 諷
第五話
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その10

 俺の隣を通り過ぎたクロウが、そのまま女の子たちの前へ行く。そして、何かを取るような動作をした。とたん、バランスを失った。

「おいっ!」

 慌てて彼を支える。が、力が抜けてだらりとしており、異常に重い。支えられないほどじゃないけど。

 突然出てきた男がわけのわからないことをしてぶっ倒れるという、可哀想な光景に合った女の子たちは、さっさと逃げてしまった。

「ちょ、どうすんの?ソラちゃん!」

「待って!あと三十秒だから」

「は?」

 ぽかんとするものの、このままクロウを放置しておくわけにはいかない。ソラちゃんには支えられないだろうし。

 仕方ない。保健室に連れてくか。

「状況はよくわからないけど、保健室行こう」

 クロウを背負い、昇降口のほうへ向かう。彼が細身でほんとよかった。ここで背負えなかったらカッコ悪かったし。

 ソラちゃんは何か言いかけたが、すぐに追いかけてきてくれた。

 脱靴場で靴を履き換えたころ、もぞっと後ろが動いた。クロウが目を覚ましたのだ。

「んにゃ…、って、ここどこ?」

「目ェ覚ましたか!」

「うちの学校の脱靴場だよ。それよりクロウ、当たった?」

「まぁね。主犯は教室だよ。たぶん今頃、ここから一番遠い階段にいる」

「は?どういうこと?」

 クロウを下す前にソラちゃんが走り出す。

「クロウ!お前走れる?」

「走るのは無理、置いてっていいよ」

 …知らない学校で、学祭でもないのに一人になるのは、俺だったら絶対に嫌だ。

「文句は言うなよ!」

 幸い、体力には自信がある。クロウを背負ったまま、ソラちゃんを追って駆けだした。

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