その7
向かいの席に座ったクロウをじっと見る。
ソラちゃんは文句も言わずに、注文しにカウンターまで行ってくれた。「俺が行くよ」と申し出ても、さっさと断られてしまい、むすっとして座っている。
ソラちゃんが座っていた席の奥に、クロウが腰をかける。そこは、俺の真正面の席にあたる席だ。
「で?何の用かな?」
「…何の用でもない」
「いやん、呼び出しておいて冷たい」
気持ち悪い。こんな変な男に何を頼もうと思ったのだろうか。
目の下に自然に力が入った。眉の力が強まる。俗に言う、怪訝な顔ってやつだろうな。
すると、クロウが自分のサングラスを押さえながらにやりと笑った。やっぱりこの男は、予想通りニヒルに笑うようだ。
「ソラに聞かれたくない話なんでしょう?」
「……」
事情が解ると、彼がサングラスをかけているというだけで、能力を使っていないとわかる。神鷹に入るだけあって、頭が良いようだ。
悔しくて黙っていると、クロウが時計を確認する。常連のようだから、ソラちゃんが帰ってくる時間を推測しているのだろう。
「じゃあ、好きな質問してみなよ。今日はお面じゃないからさ、嘘発見器君?」
確かに、今日なら嘘をつくことはできないだろう。俺はその提案に乗ることにした。彼がどれだけ嘘つきなのか探ってやる。
「失神したら、病院連れてけよ」
「了解。でも誓うよ」
そういうと、両腕を体に沿ってぴんと張った。長さ的に、手は椅子の端を抑えているのだろう。
「失神はしないね」
根拠はわからないが、いやに自信満々だ。俺の能力をなめてるのか?情けない話だけど。
唐突な話の流れだったけど、幸い聞きたいことはたくさんあった。
「質問には全部『いいえ』で答えろ」
「ヒャハハッ、はぐらかせないねぇ」
嘘発見器とか言うからだ。
「じゃあ、こっちからも。同じ内容の質問は一回までね」
当然、すぐに了承した。同じ質問を、どうして何度も繰り返さなきゃいけないんだか。
彼が言うにはタイムリミットはあと三分。無いようで、意外とある時間だ。
俺はすぐに、クロウへ質問を開始した。




