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空木空観察日記  作者: 環田 諷
第一話
2/56

その1

一人称でがんばります

 私立彩城(さいじょう)学院。関東圏内ではあるけれど、都市部から少し離れたところにある広い教育施設の名前だ。学校というのが早いか。小学校から大学まであり、今目下幼稚園まで校内に作ろうと、理事長がたくらんでいるとか。

 その中にある光塚(ひかりづか)高校が、俺の通う高校だ。

 入学から一カ月。それは新入生もある程度環境に慣れ、少し崩れ出す頃合いだと、個人的に思っている。

 おっと、紹介が遅れた。俺の名前は紫合祥平(ゆうだ しょうへい)、少し崩れ出した新入生の一人だ。

 今は授業中で、教室内には黒板の音がカツカツと響いている。それ以外の雑音がないのは、まじめな奴しか起きていないからだ。俺の隣の女の子はまじめにノートをとっているけど、そのさらに隣の男子は爆睡していた。寝方があからさま過ぎて、「気付かないふり」という教師の優しさを、第三者が感じ取れるくらいだ。

 かくいう俺は、起きてはいるものの、ノートが真っ白という特異なケースである。まじめに受ける気もないのに、寝る度胸はないという半端者だ。

 時計を見ると、そろそろ授業が終わりそうだった。思わず秒針に合わせてカウントダウンを始める。

 3・2・1…

 ピッタリのタイミングで校歌が流れた。持ち上がり組の話によると、この学校は小学校からずっと、あのメジャーな「キンコンカンコン」ではなく、校歌をチャイムとして利用しているという。そのためか、彼らの「一般的なチャイム」へのあこがれは半端なく、入学したての頃はその話を別々の人から何十回も聞かされた。

「今日の授業はここまで」

 無愛想な男性教師が、教科書を持って教室を出て行った。

「ユウ、ユウ!ちょっと!」

 後ろの席の吉野が、こそこそと話しかけてきた。

「なに?」

「知ってるか?隣のクラスの美少女!」

 入学後一カ月、新入生が隣のクラスまで制覇するには、ちょっと短い期間だろう。美少女なら確かに情報は得やすいだろうけど…

「内部生じゃないし、さすがに情報網はまだ狭いって」

 だいたいそんな情報を誰かれ構わず教えて回るのは、持ち上がりの中でも吉野くらいだ。

「いや、空木空(うつぎ そら)って言ってな…」

「ホームルーム始めるぞー」

 …後半が威勢のいい担任の声にかき消されてしまった。

「わり、今何て…」と聞き返そうとしたら、

「紫合ー、ちゃんと前向け」と注意されてしまった。

 仕方がないので、「また放課後教えて」とだけ言って、向きを戻す。

 俺だって男だし、美少女の話ってのは気になるんだよな。

美少女はもう少し先になります。パソコンを開いたときに更新するので、間が空いてしまうかもしれません

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