その2
二日目も空は元気です
窓際の台の上に置いたカバンを、自分の机の上に移動させる。そこから筆箱だけ取り出して、机の脇にかけた。教科書やノートはすべて置き勉状態で、もらってからまだ一度も持って帰ったことがない。宿題は、すべて放課後の時間つぶしになっているわけだし。
腕を組んで机の上に突っ伏した。コーティングがはがれかけているのか、木の匂いが強い。でもまたそれが心地よい。どんどん眠気が押し寄せてきた。
ガラリ
教室の引き戸が開く音がした。誰か来たのだろう。さて、挨拶するべきか否か?体勢的にはもう眠っているので、別に無視したとは思われないだろう。いいや、近くに来たら今起きた風に挨拶をしよう。それくらいの演技力はあるはずだ。
足音がこちらに近づいてくる。もしかして吉田?吉田だったら、昨日のソラちゃんの話の続きをちょっと伺いたい。あの子の情報はあるにこしたことはない気がするからだ。
しかし、なかなかカバンを置く音がしない。違うやつか。
「あれ?紫合君、寝てるの?」
思わず勢いよく顔をあげてしまった。昨日頭の中をぐるぐると旋回した、子猫のようなかわいらしい声だ。目の前にあるのは、あの美少女の顔。驚いた顔をしているが、すぐに朗らかに笑った。
「あ、おはよ!起しちゃった?」
ゆ、夢じゃなかった。少しがっかりする。しかし彼女は寝起きだと思っている割に本気で話し出した。
「あのね、昨日の話なんだけど」
「断るっていったよね?」
「うん。でもね、やらず嫌いはダメだと思うの」
食わず嫌いとは違うんだよ!食う前からダメだし食らうんだって!
「だからさ、今日の放課後、実際にやってみない?」
「やらない」
「放課後一緒に駅近くの喫茶店で、どう?」
…馬鹿だと笑ってくれ。ただ俺は、彼女みたいな未来の天女のような美少女と、放課後のティータイムというのに魅力を感じてしまったんだ。協力するとは言ってない。っていうか、たぶん言わなくてもいい。一言こう言えばいいんだ。
「…け、検討する」
後ろ向きに。
本心も知らずに、ソラちゃんはニコニコと笑みを浮かべた。ま、まぶしい…!
パタパタと扉のほうへ走っていくと、最後にくるりと振り返った。
「じゃあ、放課後また迎えに来るね!」
え?
聞き直す前に、彼女は扉を開けて教室を飛び出していく。
今、放課後来るって言ってなかったか…?
流されてますね、主人公。
変換ミスだけ訂正しました。なんであんなミスが起きたのか…、失礼いたしました。




