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天と地と狭間の世界 イェラティアム  作者: 夜々里 春
一章【並び立つ剣】
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◆第四話『真実』

 トレスティング邸。


 今夜の夕食は、いつになく静かに終わった。

 原因はわかっている。

 帰宅して早々、ベルリオットがメルザリッテに放った、ある言葉のためだ。

 知っていることを、すべて教えて欲しい、と。

 そう言ったのだ。


 メルザリッテが赤のアウラ使いであったこと、

 誰も知らないシグルについて詳しかったこと。

 それらから察するに、メルザリッテの持つ情報は底が知れない感じがあった。


 グラトリオが起こした事件の折、メルザリッテはこう言った。

 終わったらすべてを話します、と。

 しかし事が終わってからも、メルザリッテは自ら話そうとはしなかった。

 ベルリオットもまた、自分から訊こうとしなかった。


 なぜなら怖かったからだ。

 知ってしまうことで、なにかが変わってしまう、と直感的に思ったのだ。

 そうした不安が付きまとっていたせいで、今の今まで訊くことが出来ずにいた。

 だが、このままではどれだけ時間が経っても前には進めない。


 ようやく決意したベルリオットは、今日、“すべてを話してもらう”ことにしたのだ。

 そして、長い話になるので先に夕食を済ませてしまいましょう、というメルザリッテの提案が持ち出され、今に至る。


 ベルリオットはそのままリビングに居座っていた。

 茶を飲みながら、メルザリッテが食器を洗い終わるのを待つ。

 食器の触れ合う音が部屋内によくひびいた。

 それがまた静謐な空気を助長させる。

 やがて食器を洗い終わったメルザリッテが、ベルリオットの向かい側の席についた。


「お待たせしました」

「いや、いつも悪いな」

「いえ。ベル様に仕える身として当然のことですから」

「今日も美味かったよ」

「ありがとうございます。そう言っていただけてわたくしも嬉しいです」


 いつもならもっと全身で喜びを表現するメルザリッテだが、今日に限っては淑やかな女性のそれであった。

 さて、とメルザリッテが話を切り出す。


「なにから話しましょうか。なにしろ話さなければならないことがあまりに多いので」

「メルザが話しやすいようにしてくれればいい」

「そうですね……では順を追って説明していきましょうか。ベル様は浮遊大陸の起源をどのように把握していますか?」

「えっと、地底に住んでいたシグルたちからの侵攻を受けて、人は地上を追われた。けど神から《運命の輪》を与えられて、空へと逃げ延びることができた、って感じだ」

「おおむねその通りです。ただ幾つか補足があります。ベル様は、人が言う神とはなにを指しているかご存知ですか?」

「天上にいるアムールのこと、だよな」

「はい。ですがアムールは決して神などではありません。もちろん人から崇められる対象すべてを神と呼称するならば、その限りではありませんが」

「じゃあ、なんでアムールが神として崇められてるんだ?」

「それはまだ人が地上にいた時代、シグルからの侵攻を受けたときにアムールが人に加勢したからです」

「てことは《運命の輪》を人に与えたのは、アムールじゃない別のなにか?」

「はい。《運命の輪》を造り出し、人に与えたのは、この世界を創った神……創造主といっても差し支えないでしょう」

「創造主……」


 明らかにされた事実が予想の範疇を遥かに上回っていた。

 ベルリオットの口は否応にも縫い付けられた。

 押し黙ったベルリオットを見てか、メルザリッテが話を続ける。


「少し話を戻します。《運命の輪》は、その創造主から人間に与えられましたが、このときある条件が課せられました」

「条件?」

「はい。《運命の輪》が動くのは二千年、と」


 創造主とやらは、なにを持って二千年としたのか。

 またなぜ条件を課したのか。

 疑問は多いが、それよりもベルリオットには気になることがあった。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。それが本当なら、今が千七百三十五年だから……あと二百六十五年しか残ってないってことになるぞ?」

「ベル様、それは七大王暦で、ですね。七大王暦が始まったのは大陸が浮遊してから七大陸の王が初めて会合した日であって、大陸が浮遊した日ではありません」


 そうだった。

 七大王暦が制定される前から大陸は浮遊しているのだ。

 歴史では、《天才芸術家》ベッチェ・ラヴィエーナの手によって飛空船が発明された翌年、七大陸の王が初めて会合。その日より、七大王暦が始まったとされている。

 一週を構成するのは、リーヴェ(日曜日)、ファル(月曜日)、ロンド(火曜日)、ティーグ(水曜日)、ガラト(木曜日)、シェト(金曜日)、ディーザ(土曜日)の計七日間。この呼称は、該当日が《安息日》である大陸名から由来している。

 一年十二ヶ月。一月が二十八日……四週間で構成された暦である。


「二百六十三年」

「え?」

「それが大陸が浮遊してから七大王暦が作られるまでにかかった年月です」


 七大王暦が千七百三十五年と九ヶ月。

 それ以前が二百六十三年。


「……冗談じゃない。あと一年ぐらいしか残ってないじゃないか」

「ですが真実です。そしてすでに《運命の輪》に異変は起こり始めています。その兆候として、ディザイドリウムの平均高度が下がっていることが挙げられます」

「いや、それはディザイドリウムの常循環アウラが多いせいだろ?」

「常循環アウラの説は間違いではありません。ですがそれでも本来の《飛翔核》が発生させるアウラの量は、常循環アウラをものともしないほどに膨大です」

「じゃあ、どうしてディザイドリウムだけに影響が出てるんだ? 常循環アウラ以外で説明がつかなくないか?」

「詳しい仕組みはわかりませんが、恐らく《運命の輪》もアウラを補充していて、その補充する時期というのが、ディザイドリウムを過ぎたあと……つまりリヴェティアの前だとわたくしは推測しています。そして補充出来る量が徐々にではありますが減っているために、最後に供給されるディザイドリウムが影響を受けている、ということになります」

「もしディザイドリウムが落ちたら……」

「わたくしの考えが正しければ、次はシェトゥーラ。その次はガスペラント、と《運命の輪》が回る順番とは逆回りに落ちていくでしょう」


 そして最後に残ったリヴェティアすらも。


 落ちる。


 ディザイドリウムや他大陸が落ちる、と聞いてもどこか他人事のような気がしていた。

 だが幼い頃から自分がずっと立っていたリヴェティアの大地が落ちる瞬間を想像した途端、ベルリオットは戦慄を覚えた。

 言葉が出ない。

 縋るような想いでメルザリッテを見やると、そこにはベルリオット以上に不安をたたえた瞳があった。


「信じられませんか……?」

「いや、お前のことは誰よりも信頼してるんだ。だから、お前が言うことは信じる。信じるが、こうも色々と突きつけられるとな……」


 メルザリッテが知っていることをすべて話してもらう。

 そうすることで知りたい情報を得られると思っていた。

 だが実際に箱を開けてみれば、とんでもないことがわんさかと飛び出てきた。

 あまりに規模が壮大だったために、かなり頭が混乱している。

 脳内がごちゃごちゃになっている中、ずっと激しく自己主張してくる疑問があった。

 それはここ最近、ベルリオットの胸中を支配し続けているものだった。


「一つ……いや、二つか。本当はこっちが訊きたいことだったんだが」


 メルザリッテが話してくれた内容とはまったく関係がないかもしれない。

 だが直感的に繋がっているとベルリオットは確信していた。


「一つはメルザリッテ、お前のことだ。今、話してくれたことや、赤のアウラを使えることとか……色々」


 メルザリッテが知っている情報は、人間の知り得る域を超えているとしか言いようが無い。

 赤のアウラにしたってそうだ。

 今までその力を隠していたことには疑問が残る。


「そしてもう一つは……」


 自然と目が泳いでしまった。

 これほどまでに勇気がいるとは思わなかった。

 だが訊かなければ前に進めない。

 どんな事実が待っていようとも、それを知らなければ、ベルリオットは自分が自分でいられないような気がしていた。

 搾り出すように言葉を紡ぐ。


「俺は、人間なのか」


 胸がすっきりした。

 だが同時に、恐怖という名の感情が一気に押し寄せてくる。


「先にお答えさせていただきますが」


 心臓が跳ね上がる。


「ベル様は、人間ではありません」


 頭が真っ白になった。

 なんの躊躇いもなく告げられた事実に全身の力が抜ける。

 椅子に座っていなかったら、崩れ落ちていたに違いない。

 けれど、なぜだろうか。

 やっぱり、という気持ちが強かった。


「ベル様……」

「いや、いいんだ。俺だってそこまで馬鹿じゃない。アウラを使えなかったり、使えたと思ったらおかしいぐらい強い力が出たり。自分が普通じゃないってことは薄々気づいてたんだ。けど、いざこうして人間じゃないってわかると、結構くるものがあるな」


 俺は大丈夫だ、とメルザリッテに伝えるためにも笑みを浮かべるが、無意識的に頬が引きつってしまう。

 だが、人間ではないと言うのなら。


「教えてくれ。俺は一体、なんなんだ?」


 聞くのが怖い、という感情はもうない。

 自分の正体を知りたい。

 ただそれだけだった。

 メルザリッテが目を伏せ、静かに語り始める。


「およそ二千年前。シグルとの大戦の折、人は己の利権を優先する余り、勢力ごとに協力し合うことが困難となっていました。アムールと人が共闘してもシグルに打ち勝つことが出来なかったのは、それが原因です」


 一拍置いてから、言葉を継ぐ。


「《運命の輪》がその効力を無くし浮遊大陸が落ちれば、またシグルとの大戦が始まります。しかしそのときまた同じ過ちを繰り返せば、今度こそ人は滅びます。いえ、人間だけではありません。人を食らったシグルは、アムールへとその矛先を向け……世界は破滅の一途を辿るでしょう。そしてそのような未来にならぬよう、アムールの長であるベネフィリア様は、一つの希望を……自らの子を人の住まう狭間の世界へと送りました」


 伏せられていたメルザリッテの目が、ベルリオットを射抜く。


「そのお方こそが、ベルリオット様です」


 あまりに予想外な答えに、ベルリオットは唖然とするしかなかった。


 俺が、女神ベネフィリアの子だって……?


 自分の正体が、まさか神として崇められているアムールなどと、誰が予想できただろうか。

 しかもアムールの長、ベネフィリアの子だという。

 もうなにがなんだかわからなかった。


「願わくば、人の希望となり、導いてくれると信じて。またアムールと人の架け橋になってくれると信じて、あなた様を狭間の世界へとお送りになったのです。そしてわたくしは送られてくるベルオット様を受け取り、お守りするために、大陸が浮遊してから折、狭間の世界でずっと待ち続けていました」

「じゃあ、もしかしてメルザも……」

「はい。ベル様と同じ、アムールです。今まで隠していて申し訳ありません。ベル様がアムールの力に目覚めるまで、出来る限り手を出さないようにとのご命令でしたので……」


 ベルリオットの青い力。

 メルザリッテの赤い力。

 この強大な力を使えるのはアムールだから。

 そういうことなのだろう。

 そしてメルザリッテが傍を離れようとしなかったのはベルリオットを護るためだったからだという。

 思い返してみれば、なるほどと思い当たる節が幾つもある。

 次々に明かされていく真実の中、どうしても解せないことがあった。

 ベルリオットが人々を導くという話だ。

 無理だ、と思った。


「わざわざ俺がしなくても、その……大陸が落ちるのとか全部、誰かに教えたら解決できるんじゃないのか」

「神から与えられた《運命の輪》が壊れるなどと、人は誰も考えていません。恐らく、その身で実際に体験しなければ信じることはないでしょう」

「けど……だからって人の希望になれとか、導くとか。そんなこと俺には……。そもそもすべてを知ってるメルザの方がよっぽど適任だろ」


 滅びるのがわかっていて、足掻かないのはベルリオットの性分ではない。

 だが、先頭に立って導くとなると話は別だ。

 自分みたいな奴が、という気持ちがどうしても先立ってしまう。


「アムールとして生きてきたわたくしでは、人の気持ちを本当の意味で理解することは出来ません。そしてそんな者に人々を導く資格などありません。人に育てられ、人として生きてきたベル様だからこそ、可能なのです」


 そう信じて疑わないといった様子のメルザリッテに、ベルリオットは反論したくとも上手く言葉が出てこなかった。

 人に育てられ、人として生きてきた。

 その言葉に、ベルリオットの脳裏にある人物が浮かんだ。


「親父は、知ってたのか」

「はい。人間でもっとも強く、清らかな心を持っていたライジェル様に、すべてを話した上で、ベル様の親となっていただくようお願い致しました」

「そうか」


 だろうな、とは思っていたけれど。


 ずるいよな親父の奴。俺がアムールって知ってたら、そりゃ強くなるって自信満々に言えるだろうよ。


 ベルリオットは自分より強くなる、とライジェルが言っていたとリズアートから聞いたとき、嬉しいという気持ちが僅かにだが湧いたのだ。

 しかしその言葉には裏があったというわけだ。

 ただもう、親父だから仕方ないよな、と思えるほどにはベルリオットはライジェルのことを悪く思えなくなっていた。

 とにもかくにもメルザリッテから聞いた話に対して、自分は答えを出さなければならない。

 けれど――。


「正直、戸惑ってるってのが本音だ」

「ベル様……」

「だってついこの間まで《帯剣の騎士》なんて言われてたんだぞ。アウラすらも使えなくて、誰よりも弱くて……。そんな俺が、いきなり人を導く? なんの冗談かって思うよ」

「決して冗談などでは」

「わかってる。わかってるから、こうして戸惑ってるんだ」


 机に肘をつき、頭を抱えた。

 その行為が逃げでしかないこともわかっている。

 急かしているわけではないのだろうが、メルザリッテからさらなる材料が投下される。


「人間の強い怨念がシグルを浮遊大陸へと誘う材料となるようです。……グラトリオ様がそうでしたように。そしてディザイドリウムの平均高度が下がっていることで足場となり、シグルの動きが活発になってきました。呼応するように黒導教会も。先の事件の折、黒導教会が自らの肉体を媒体にして上位のシグルに成り代われたのも、また多くの下位シグルを呼び出せたのも、これが原因かと思われます」


 そして呪いともとれるその言葉を紡ぐ。


「滅びのときは、すでに始まっています」


 突きつけられた事実は、確かな意図を持ってベルリオットの心の奥底に突き刺さった。


「少し……時間が欲しい。本当はそんな悠長なこと言ってられないんだろうけど、でもやっぱりまだ頭が混乱してて、考えが上手くまとまらない」

「申し訳ありません……」

「なんでメルザが謝るんだよ」

「このような……ベル様に全てを背負わせるようなことを」

「別にそれはメルザのせいじゃないだろ。もし誰かのせいってなら、俺の……母親なんじゃないのか?」

「そ、そのようなことは決してありません!」


 慌てて否定するメルザリッテに、ベルリオットは目を丸くした。

 メルザリッテがそこまで狼狽えるとは思いもしなかったのだ。

 少しだけ興味がわいた。


「人間が崇めてる神が母親とか、まったく実感わかないんだが……その、どんな人なんだ?」

「聡明で、とてもお優しいお方ですよ。お顔も、ベル様とよく似ておられます」

「そうか」


 滅びのときが迫っているとか。

 誰かを導くとか。

 そういう問題など関係なしに、素直に母親の姿を一目見てみたいと思った。

 そして文句の一つでも言ってやろうか、と考えたところで、徐々に心に余裕が出来てきた。


「メルザ。話してくれてありがとうな」

「いえ」

「辛かっただろ」

「え?」

「その……俺が生まれるずっと前から、俺を待っててくれたんだろ」

「いいえ。全然、辛くありませんでした。将来仕えることになるだろうベル様のことを毎日考えていたら、あっという間でした」


 言いながら、メルザリッテは目を瞑り、胸の前に両手を置いた。

 過ぎ去った時間を偲んでいるのだろうか。

 とても温かな空気を纏った彼女にあてられてか、


「ありがとう」


 驚くほど自然に、ベルリオットはその言葉を口に出していた。

 意表をついてしまったらしい。

 メルザリッテが何度も目を瞬かせていた。

 やがて目尻に涙が溜まっていき、こぼれる。

 同時、弾けるような笑みを浮かべた。


「……はいっ」


 あまりにも無垢な笑顔を向けられ、ベルリオットは恥ずかしくなって頬をかいてしまった。

 だが、おかげで心がいつもの落ち着きを取り戻していた。

 やっぱりメルザリッテは笑顔でいるのが一番良い、と思った。


「とにかく今日は話を聞いてよかったって思うよ。知らなくちゃこうやって悩んで選ぶことも出来ないしな」

「ベル様……」

「それに一つだけすっきりしたことがあるし」

「すっきりしたこと、ですか?」

「いや、メルザって俺が子どもの頃からずっと若いままだったろ? それがずっと引っかかっててさ。でも人間じゃなくてアムールだからだったんだなって。ってか、アムールってかなりの長命だよな。少なくとも大陸が浮遊してからってことは、二千年ぐらい生きてることになるんだし。なあ、メルザって――」

「ベ・ル・さ・ま? 今、なにを言おうとしていましたか?」


 本当は何歳なんだ。

 なんて訊いていたら、いくらメルザリッテにとって主であるベルリオットもただでは済まされない、そう思わされるほどの迫力があった。


「あ、い、いや。ほら、メルザってなんでそんなに綺麗で可愛いんだろうな、って言おうとしただけだ。あー、俺は幸せだなー、メルザみたいなメイドに仕えてもらって」


 棒読みだ。

 それでもメルザリッテには関係なかったらしい。

 瞬く間に怒りの形相からだらしない笑みへと変貌する。


「も、もーっ、ベル様ったら! 恥ずかしいじゃないですか~っ。メルザのことをいつもそんな風に思ってくれていたのですね。はぁ、メルザは今、嬉しすぎて胸が破裂しそうです。ベル様、この想いを確固たるものにするためにも、今すぐに熱い抱擁をっ」


 机を飛び越えてきたメルザリッテを、ベルリオットは立ち上がり難なく避けた。


「よ、避けました! 今、ベル様避けましたね! 嘘つきです! 卑怯です! 接吻の刑です!」

「嘘つきって。誰も抱擁まで許した覚えはないぞ。あとさり気なく接吻を求めるな」

「ばれちゃいました」

「たくっ……」


 床に座り込み、可愛らしく舌を出すメルザリッテを見て、ベルリオットは思わず口元が緩んだ。

 いつまでもこうして笑い合っていられたらいいな、と。


 そう思ってしまった自分は、すでに滅びのときを意識し始めているのだろう。



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