EP 12 悪とは何だ?
帰り道。テツトは単独でのんびりと街中を歩く。
「敵……。本当の敵とはなんだろうな。金持ち生まれ・権力者か? 違うとは言い難いが、こいつらを潰したところで足の引っ張り合いをするだけだ。金コネ持っていない人間が豊かになるワケでもないし、なったとしてもそれは持続しないだろう。それよりも、人類すべてが金持ちになることが有意義なハズだ」
ここでふと、杖を着きながら歩く老婆とテツトは発見する。
「上の世代か……。俺たち若者にとっては大して益はなく、むしろ邪魔な存在と言えなくもない……。消えてくれた方が正直助かる。しかし、正義を気取った虐殺をするべきか? 結局、泥をかぶって犯罪者扱いされるだけか」
溜息を吐き捨て、夕焼けを見上げる。
「やはり、ヒーローになろうとすることは損なことだな。結局、その正義に賛否もあったりする……。だから、誰もやろうとしない。更にタチの悪いことに批判もする……」
歯噛みし、拳を握る。
「……だが、今のまま社会人になったとしても、長時間低賃金労働しか待っていない。エリートであろうがそうでなかろうがだ……」
端末機を取り出し、その画面をテツトは凝視する。そして、己の顔を見るや否や自虐気味に笑う。
「フッ、我ながら下らない御託の多い男だ。本音はこうだ。自分にとって都合の悪い世界を破壊したい。それだけなんだ……。正義感もしょせんは自己満足。ヒーローゴッコをして楽しんでいたのもまた事実さ」
端末機をポケットへ仕舞い、テツトは再び歩き出す。
「さてと。皆にも話すだけ話してみるか……。我慢と欲望、どちらを選ぶかをな……」