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EP11 ボス・トーク

 なぜこんなことになったのやら。

 テツトとカセイは何変哲もないカフェで向き合い、コーヒーを啜っていた。

「まさか、お前とここでコーヒーを飲むことになろうとはな」

「たまにはいいでしょう?」

「悪いとは思わんさ」

 ガセイは軽く一口コーヒーカップからコーヒーを摂取し、話を続ける。

「君はこの世の中をどう思いますか?」

「お世辞にも素晴らしいとは言わん。だが、現実どうしようもないのだろう。といったところか」

「ご尤もですね。世の中は不公平だ。僕はたまたま金持ちの家に生まれて来たけど、平凡以下の環境に生まれていたら、屈辱だっただろう。敗北と言う経験を日常茶飯事に経験するだろう。想像するだけでゾッとする……」

「では、お前は今の環境に満足しているのか?」

 ガセイは涼しい顔で首を左右へ振った。

「いいえ。比較的マシな環境だとは思いますが、満足はしていません。エリートで居続けるために英才教育を仕込まれ、自由時間を奪われますから……。だけど、そうでもしないと安全圏に暮らし続ける事が出来ない」

「庶民からしてみれば嫌味にしかならんぞ」

「でしょうね。どうしても、恵まれた環境課で結果を出した人間は卑怯に見えますから。否定はしません。僕も逆の立場なら、糾弾しますよ。多分ね……」

「本当か?」

 皮肉めいた言い回しで、テツトは軽く問う。

「想像にお任せします。さて、ではこのどんな環境に生まれても地獄という現実を打破する手段はあると思いますか?」

「現状は難しいが、手段は全くないワケでもないかもな」

「と、いうと?」

「人間が苦しむのは無力ゆえ。報われるかどうかも分からない努力をしなくてはならない暗中模索の人生。それを撃破するには……。個々に圧倒的な力を与える事かもしれんな。恵まれずとも、努力せずとも元々個人に一人で生きていける力があれば……あるいは」

「国民すべてに超能力やロボットでも与えろ。とでも?」

「実現はほぼ無理。俺の絵空事だ。笑うがいい」

「ええ笑いますとも。そんなことが実現出来ない無能な社会がね……」

「フッ。そう来たか」

「僕らの本当の敵って他人ではなく、社会そのもの――かもしれませんね」

「実体のない、倒すのが困難な敵だな……」

「まったくです……」

 呆れ笑いをテツト浮かべ、再びコーヒーカップを手に取るのであった。













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