プロローグ_名の無い世界
僕は死んだ。そう、人に教えられた。僕が居るこの場所は、死者の国らしい。名前は知らない。虫も、動物も、人も、あっちで死ぬとこっちに来るそうだ。こっちで死ぬとどうなるか、という問いには、いずれ嫌でも分かると教えられた。
足元には薄い黄色の砂が、何処までも続いている。触れると肌の水分を奪う事無く、サラサラと手から落ちていく。見上げれば白い空に、琥珀色の太陽がぽつんと浮かんでいる。ほぼ黄色い世界が、ここの全てだ。
何も無い。何も無い筈だった、この世界に、争いが生まれた。たった一羽の鳥が、この世界を変えた。不死鳥だ。
本来、死んでは蘇りを繰り返す、炎を纏った──いや、炎を食った?...忘れちゃった。兎に角、あっちで死なない筈の不死鳥が、死んでこっちに現れた。あっちでは、不死鳥の血を飲むと不老不死になるという。では、こっちでは?
不死鳥の血を飲めば、蘇る。誰が言い出したかも分からない、根も葉もない噂話に、死者たちは舞い踊った。
個々の暴力による奪い合いから始まり、集団同士の戦争に発展。徒党を組んでは裏切り、裏切られ、血を血で洗うしかない、終わることの無い喧騒。どんなに傷つけられ、どれ程の血を流そうとも、僕らは死なないし、死ねない。
不死鳥を巡る争いが激化した頃、僕は思った。ここは、この世界は、地獄と呼ばれるだろうと。
こんなの書きたいな、を置いておきます。




