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第五話 封印

全40話ですが、ナカナカアップ出来ていません

少しずつアップさせて頂きますので、宜しくお願い致します


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 よろしくお願い致します!

 ある日の朝食時に、ティナがもじもじとした仕草で俺にとある告白をしてきたのだった。


「カイト、何でバトルの時あたしが加勢したり、カイトの代わりにバトルしないのか?って思ってない?」

「それは思ったことあったけど、俺の経験の為に敢えてそうしてくれてるのかなって思ってたよ。」

「そう思ってくれてたんだ。ありがと。でもね、ホントのこと言うね・・・あたしたちのDNAが共鳴したあの日からあたしの能力は封印されちゃったんだ。正確には身体硬化と不老不死以外の能力はカイトの成長に応じて封印解除になっていくって感じ。封印っていうか、カイトとあたしのスピード、パワー、スキルが共有されちゃってるんだよ。あたしには負荷がかかっていないのと経験値や感性でカイトよりかは強いケドね。こうなるのは解っていたんだけど、今まで黙っててごめんね。」

 俺はそれを聴いてめっちゃ衝撃を受けた。今までしてきた魔獣とのバトル。マジかっ!?不老不死だから、死なないにしても何て無謀な修行してきたんだろう。へなちょこだった時はまさに奇跡的にバトルに勝ってきたんだな。って思わず冷や汗をかいてしまった。

 もう一つ衝撃と感じたのは、ティナがそれを承知で俺とDNAの共鳴を選んでくれたこと。

破壊竜で負け知らずの彼女が強さへのプライドを捨ててまで俺の武闘家としての成長を共に歩んでくれたのだ。思わず目がウルっときてしまった。気が付いたらティナを抱きしめていた。

「カ・カイト?どうしたの?」

 頬を赤らめて恥ずかしそうにしているティナ・・・

「ありがとう。俺の為に・・・そこまでの決心覚悟で俺と一緒に歩んでくれていたんだね。俺、もっと努力するよ!そしてティナの封印された能力を全開にしてみせる。その時に俺への負荷を解除して全力で組み手をしてほしい。それがティナへの俺の全ての気持ちだから。」

 それを聴いたティナは涙目になって、黙って頷く。今までの組み手は俺への負荷があった分、ティナに全く歯が立たなかったんだなと納得する俺。じゃあ、ティナがブレス内にいない状態で二人して攻撃したら攻撃力は二倍になるんじゃないのか?って思ったが、どうやら二人の攻撃力の合算が俺自身の一人分の攻撃力らしい。

 だから、ティナがブレス内にいようがいまいがトータルの攻撃力は一緒なのだ。

 これでより一層、一日一日を大切にしていかなければと思ったのは言うまでもない。


 ちなみに今まで魔獣とのバトルでゲットした魔石は全て宝石屋で売って生活費にしてきた。

魔石は宝石としての価値もそこそこあり、生計を立てるのに丁度良かったのだ。現在、俺のブレスにはティナである破壊竜の魔石が一つのみ輝いている。何でも今までゲットしてきた魔石はブレスにハメるまでものない能力だからというティナの判断である。

 毒蛇や火炎モグラなど俺からしたら、どの魔獣の能力も魅力的だったけど、それらを超越した魔石を俺にゲットしてもらいたいのだそうだ。毒耐性や火炎耐性なんかはティナの潜在能力でリカバー出来るそうで、敢えて能力の上乗せをするのは意味ないとのこと。

 じゃあ、どんな能力をティナは目指しているのか?それを聴く前に俺はこの間、新たな気付きをしてしまったことを思い出す。

 それは異質な力を感じる魔石と単なる魔石が存在するということ。

 それはティナの魔石と火炎モグラの魔石を見比べた時、明らかに違和感が感じられたのだ。

ティナの魔石からは何か特別な力を感じるが、火炎モグラの魔石からはそういったものは全く感じない。

 もしかして、こういった特殊な魔石をティナは求めているのか?と思いつつ、ティナの魔石から感じる波長パターンを俺なりに分析してみた。

 最初はナカナカ感じられなかったが、徐々にぼんやりと感じるものがあった。

 それは、天空の力・・・ティナは天空をも破壊することが可能なのか?俺は解らないままにはしたくないので、聴いてみる。

「ねぇティナ、君の魔石から天空の力を感じるんだけど、君は天空をも破壊できるの?」

「流石はカイト!あたしの魔石が天空の力持ちだってよく気付いたね!カイトが自分でそこに気づいたら教えようって思ってたよ。いきなり高いレベルのこと言っても訳わからんもんね。でも、ん~残念。惜しいけど、チョッと違うよ。あたしは天空の力を掌握してあたしの破壊力で敵を倒すのが得意。例えば、一直線上の複数の敵を一撃で倒したり、距離がある敵を見えない手で押さえつけ、もう片方の見えない手で攻撃したりするのがブレイク系の攻撃。要は横からの攻撃だよ。で、縦の攻撃は上空にいる敵には有効なんだけど、下から上に向かっての攻撃は当てにくて面倒だから、上から下に向けての攻撃クラッシュ系が有効だよ。」

 俺はあっけにとられたが、言葉の説明だけだとイメージが全くつかない攻撃方法だったので、ティナにそれを伝えた。ティナはそれもそうだなと思ったのか、俺のブレスに転移してこう言ってきた。

《カイト、今まであたしが戦ってきたメモリーがあるから観てみて!これから再生するよ。》

 そう言われると俺の頭の中に過去のティナのバトル映像が観えてきた。ス・スゴい!!スゴ過ぎて、俺のキャパを超えている。こんなスゴい能力、使いこなせるのか?という不安もあったのだが、ティナの俺に対する想いに応えなければ男じゃない!って思うから俺は決心覚悟をもって日々精進するのみである。

 あきらめたら絶対に出来ないし、為せば成る!・・・かもしれないと自分自身に思い込ませるのであった。

 チョッと待てよ!映像の中のティナ、人化してるのにフツウに飛んでるじゃん!魔剣をゲットした際にヴァンとゲンは魔剣から飛行能力を得ている。俺だけは魔剣の恩恵をうけることは無く、すっぱりと飛行能力のことは諦めていたのだが、ティナは人化していても飛べるのだ。

ティナの能力を全てゲットしている俺。当然、飛行能力も可能なハズ。天空の力を用いれば可能なのだろう。

 ティナは力を無意識で使っていたのだろうから、俺自身が飛行自体をマスターしなければならない。これは今後の最重要課題の一つである。飛べることで上部からの優位な攻撃も可能になるし、相手も飛行能力があれば対等に渡り合える。


 ここで俺はヴァンとゲンが魔剣をブレス内に収納し、試験飛行をしたことを思い出す。

「ヴァン、ゲン、魔剣の恩恵をうけたんだ。チョッと飛んでみてくれよ。カッコイイだろうなぁ~。」

 俺はワクワクしながら、二人に試験飛行を試みることを促す。

「分かったぜ。おいグリフォン、どうしたら飛べるようになるんだ。俺サマは初めてだから、よろしく頼むぜ。」

《ヴァン拙者の改名、改めて礼を申す。ありがとう。ギガヴァンという名前も悪くはなかったが、やはりグリフォンの方がしっくりくるな。飛行?普段当たり前に飛んでいたから、どんな風にとは考えたことがなかったが、行きたい方向に意識を向けてズバーンと気を発してみてくれ。さすれば結果は出てくるぞ。》

 そうグリフォンからの念波がヴァンに届く。念波は俺たちがドラゴンゾーンでゲットした念波のグループ化によって共有される。なるほど、これが念波かと俺たちは思いつつ、魔剣グリフォンに言われたようにヴァンは意識を高めてみる。

 しばらくすると、何とヴァンの背中から鷲のようなデカイ翼が生えたのだ。それを観た俺たち五人。俺とゲンは思わず吹いてしまった。

「プッ、ワッハハハ!ヴァン、お前スゴイな。似合ってるぞ。」

「翼が生えるのか。しかも、それはブレスの影響も大きいようだね。まぁ、見慣れれば問題ないと思うよ。」

 俺とゲンが感想を素直に述べたが、当のヴァンは自らの背中に視線を送り思わず驚いた表情を見せた。

「なんじゃ、こりゃ~!俺サマの背中に翼が。しかも、薄いピンク色じゃねぇか。これもブレスの色と同調しているのか?」

 驚いたヴァンだが、背中の薄いピンク色のことは敢えて触れなかった。また、リンの怒りを買う恐れがあった為である。

 イケメンだが、いかついガタイに薄いピンク色の翼・・・何とも表現しがたい微妙な組み合わせだが、パートナーのリンだけは目をキラキラさせて喜んでいた。

「ヴァン、カッコええなぁ。やっぱ、色がいいわ。飛行練習してスピード感も上がれば言う事なしだな。」

 とお気楽にリンが感想を述べる。はっきり言って、こんなにデカイ翼は邪魔なだけである。

しかも、翼にもしものことがあれば即地上に落下することも予想された。要は見掛け倒しなのだ。

《ヴァン、安堵するが良い。その翼は必要無くなる状態になれば、翼為しでも飛行が可能になる。拙者がここまで飛来してきたようにな。はっきり言って、戦闘状態になれば翼は邪魔になるであろう?》

 グリフォンは俺たちが思っていた不安要素を払拭してくれるような一言をヴァンに伝える。

「そうなのか?良かったぜ。翼が無くなる可能性もあるんだな。どうしたら、そういった状態になれるんだ?」

 ヴァンはグリフォンにというよりかは作成者であるキャンティを見つめ質問する。

「何よ~。折角カッコいい翼なのに。まぁ、確かにバトルになったら、そのデカイ翼は邪魔になるよね。分かったわ、教えてあげる。ヴァン、その方法はあんたの波動力がグリフォンの魔力を凌駕すること。グリフォンの魔力をあんたの波動力が取り込み、その能力をコントロール出来るようになれば翼は出さなくても飛行能力を発動できる。そういう仕組みで魔剣を作ったからね。」

 それを聴いたヴァンはホッと胸を撫で下ろす。しかし、ブレス内に収納されたグリフォンの魔力は今のヴァンにとって、あまりにも強大過ぎることにも同時に気付いた。

「それを聴いて安心したぜ。でも、グリフォンの魔力は凄まじい。今すぐにどうこう出来ることじゃない。飛行練習はするけれども、実践では飛行しないでいこうと思う。今は俺サマの波動力を向上させる訓練に全力を注ぐぜ。」

 冷静にヴァンはそう答えるが、ヴァンの薄いピンク色のデカイ翼がお気に入りのリンは微妙な心情だ。でも、ヴァンがそう望むのならばウチも協力するわ。という気持ちで話を黙って聴いていた。

「ハルさん、ボクも翼が生えるの?ヴァンと同じようにしたら良いのかな?」

 ゲンはハルさんに念波を送り、その答えを待つ。

《初めまして、ゲンさん。素敵な名前をありがとう。おっしゃる通り、ゲンさんも飛行する際には翼が生えます。試しに行きたい方向に意識を向けて気を発してみてください。》

 ゲンはハルさんに言われたように意識を高めて集中した。次の瞬間、ゲンの背中からも薄い黄色の翼が生えてきた。ヴァンと異なりゲンの翼はそれほど違和感なく、むしろゲンのルックス、体格、雰囲気にマッチしていた。

「ゲン、お前結構翼があってもイケてるんじゃないか?」

 俺は真っ先にゲンに感想を伝えた。

「カイト~、でも翼があったらバトルの時はやっぱ邪魔だよ。」

 ティナにそう言われた俺は確かにと頷いた。

「キャンティ、この翼の仕組みを詳しく知りたいので教えてよ。ヴァンの時に言っていたこと以外で。何やらこの翼の中には特殊な気を感じるんだよね・・・。」

 それを聴いたヴァンは少し驚いた表情を見せた。俺たちはヴァンの奴はその特殊な気とやらに関しては気付いていなかったんだなと確信した瞬間であった。

 また、キャンティもそのゲンの発言に驚きを隠せないでいた。

「チョッと何で人間のあんたが魔気を感じることが出来るのさ~。フツウは有り得ないんだけど。魔気は魔族特有の気である特殊の生命体のみが持っているものなの。グリフォンやハルピュイアは伝説の魔獣でそれを持っているのよね。翼は魔力で構成していて、翼の中に魔気が対流して動く仕組みよ。」

 それを黙って聴いているゲンは論理的に考えるというよりかは感覚的に捉えるタイプなので、まずは情報の把握に努めた。

「翼は剛と柔の二通りのやり方で翼ナシでも飛行が可能よ。剛はさっきヴァンに伝えた方法で魔力を同類の波動力で制御する感じ。柔は翼の中で動力になっている魔気をコントロールする方法。だけど、あんたたち二人はまだまだ波動力が翼の魔力に対して格段に劣っているし、魔気に関してヴァンはその存在にすら気付いていない。ゲンは魔気に気付いているけれども、そのコントロールなんてムリムリ。魔気のコントロールは魔人クラスじゃないと出来ないからさ。」

 キャンティは得意気にそう語ると、俺たち六人の様子を伺った。皆がきっと尊敬の眼差しで自分のことを観てくれると思っていたキャンティ。確かにブレスといい魔剣といい、これほどまでの仕組みを自ら考え、たった一人で完成までもってくる彼女は天才と誰しもが認めるであろう。

 しかしゲンだけは一人異なり目を閉じて、ほくそ笑んでいた。こんな素晴らしい剣に巡り合えたことに感謝し、人間ではムリだと断言されたことにチャレンジ出来る至高の喜び。薄い黄色の翼をもったゲンが極限まで気を集中し、その魔気にアクセスしようとしていた。翼内に存在する光の対流がしばらくすると止まり、逆流が始まった。

 

 次の瞬間、翼は消失したがゲンの体は宙を浮いていたのだ。

「チョッと!有り得ないんだけど!あんた、魔気をコントロール出来たってわけ?人間が魔人クラスの能力を持っているっていうの?」

「ゲンさん、素敵です。私、感動しちゃいました!」

「ヴァン、あんたにもあれ位出来るでしょ!ウチにも見せてや!」

「バカ言うなよ。ゲンは天才というか特別器用な奴なんだ。マジであいつはスゴイぜ。」

「カイト~、スゴイね。魔気のコントロールって難しんよ。ゲン、完全に人のレベルを超えてるね。」

「ゲン、スゴイな。俺たち、完全に先を越されたって感じだな。俺も努力するよ。」

思い思いのことを口にする俺たち。

 ゲンは少し照れているようで、頭をポリポリかいている。

《ゲンさん、スゴイです。いきなり私の魔気をコントロール出来るなんて、思いもよりませんでした。これからも宜しくお願いしますね。》

 ハルさんにとっても想定外の出来事で嬉しい誤算だったようだ。

「あのな、正直驚いたケド認めるわ。あと言い忘れたけど、剛と柔ではその性能が違うんよ。剛は言わば無理やり感が強いやり方で意思決定した飛び方はある程度出来る。だけど、微妙なタイムラグが発生して僅かに飛行能力のズレが生じる。分かりやすく言うと、急発進急停車してその反動がくる感じ。柔は動力そのものを手中にしているので、飛行能力は思いのまま。ただし、そのスピードなんかは努力次第でいくらでも変わることが出来るよ。まぁ、二人ともこれからやね。頑張ってや。」


《カイ、お前がつけた我の名ゼロ。気にいったぞ。我だけは半人半獣の精霊。故に飛行能力は無いが、魔獣との同化は可能であるぞ。》

 二本の剣の恩恵で得た翼で盛り上がっていた俺たちだが、突然俺の魔剣ゼロが念波を送ってきたのだ。えっ?魔獣との同化って。半人半獣だから可能なのか?

 じゃあ、緊急の場合魔獣との同化でパワーアップも可能なんだ。ブレス内は色んなものが収納可能みたいだから、魔獣にはここにいてもらってもいいかも。などと考えていたが、確認の意味でゼロに問いかける。

「ゼロ、同化出来るのは魔獣のみ一体なのか?その他の生命体はムリなのか?」

《カイ、同化出来るのは一体のみで魔族ならば何でもOKだ!魔獣、魔人、魔王、あとは星獣、異次元獣などだ。どうだ!すごいだろ。》

「えっ?獣以外でも魔族なら同化出来るのか?魔王って、何か同化したら意識乗っ取られそうなんだケド。まぁ、そもそも魔王に遭遇することなんてないか。」

 俺は不安になったので、ゼロに問いかける。

《カイ、大丈夫だ。ベースはあくまでお前なのだから、意識はお前のままだ。魔獣や星獣の能力とお前の能力を統合したスキルが発動可能になるぞ。攻撃力や防御力も統合したものになるし、体もお前+同化者で強化されるから、体がついていかないなんてことはない。素晴らしいだろ。》

 これって飛行能力がメインだったグリフォンやハルさんの能力を軽く凌駕しているんじゃないのか?俺は棚から牡丹餅的な魔剣の能力に感謝しつつ、他のことも考えていかなければならない。

 そうそう忘れちゃいけないのが、俺たちの竜水晶・・・ヴァンからは体重が周囲に影響しないっていう役目があることは聴いた。

 だけど、竜水晶には更に驚愕する重要な役目があったということを俺たちは後々知ることになる。


 俺は座禅をしていて思った。このままじゃいけない・・・と。

「ティナ、今までの生活なんだけど、もうやめよう。」

 唐突に俺が言ったので、ティナは目も見開いた。

「カイト~、あたしの料理に飽きちゃった?

それとも他に不満でもあるの?」

 不安げにティナが小声で聴いてくる。

「イヤ、ティナの料理はいつもサイコーだし、この日常にも満足している。でもね、これじゃダメなんだよ。このぬるい生活から脱していかないと。」

 この生活がぬるいっていうのが正しい表現かどうかは疑問だったが、ストレートに想いを言葉にしたのだ。

「人は満たされるとそこに甘んじてしまう。これが当たり前になっちゃうと成長もそれなりになっちゃうんだよ。家があって、規則正しい生活、何不自由なく過ごせている環境、修行もしていない訳じゃないケド・・・それなりって感じ。もっと自分を追い詰めていかないと。ヴァンやゲンならきっとそうしていると思うよ。」

「あ~ビックリした。そうよね~、あたしの料理は絶品ばかりでしょ?で、カイトはどんな環境だったら、もっと自分が成長出来ると思うの?あたしの負荷をもっとかけて三百kgにするとか?」

「うん、そろそろ三百kgの負荷にしてもいい頃かな。大分二百kgの負荷にも慣れてきたから。でもね、俺は仮に負荷がMAXの二十万トンになったとしてもそれが全てじゃないと思ってる。確かに筋力が上がることは必要だよ。だけど、筋力ばかりが上がってもパワー重視型じゃあダメなんだよ。一番大事なのはスピードだよ。どんな攻撃でも当たらなければ意味がない。パワーがなくても攻撃力が上がる方法はあるしね。」

「じゃあ、目指すは細マッチョだね!スピードは確かに大事。スピードを上げるのにはどうしたら良いと思うの?」

「うん、俺なりに考えていることはあるよ。でもね、俺はまだまだ色んな意味で経験不足だ。考えを具現化出来るだけの想像力がまだない。だからね、今の環境をやめて旅に出ようと思うんだ。旅先でもっと色んな人と出会って話をし、新たなるものを観ていき、実際に触れてみる。想像していたものと実際に触れてみたものとは、その差が生じる。俺はもっと学びたい、折角不老不死になったんだ。いつか訪れるかもしれない世界崩壊に向けてもっと時間を有効に使っていくよ。旅に出たら外食や宿での食事になるから、ティナの手料理が食べられなくなるのはチョッと残念だけどさ。」

 俺はティナに想いを伝える。

「そっか、そうだよね。あたしもそう思うよ。カイトの言う通りだよ。旅に出たら、温泉とかも入れるし嬉しいなっ。ねぇ、あたしの浴衣姿観てみたい?」

 やっぱ女の子だよな。温泉とかって女の子は好きだし、俺もティナの浴衣姿は観てみたい。

間違っても他の女の子の浴衣姿に目がいかないようにしなければならないけどね。あと温泉といえば卓球だよな。

 ティナと卓球するのも楽しそうだけど、あれって球に回転かけたりするのが難しいんよな。とか思っていたが、そういえば最近気になることがある。

 それは音についてである。イヤ、音というか以前までには感じなかった新たなる異音。ティナと組み手をしていると最近はティナの移動音を感じるようになった。手足を動かす音、呼吸する音、しゃがんだりジャンプしたりする音・・・

 以前までの俺には実際は音としては感じない。でも、最近は移動した時に感じる違和感が新たなる異音として感じるようになったのだ。

ティナからは天空を通じての状況把握や体内に酸素を循環させることによる真空状態での行動可能なんか出来るよ~とは聴いていた。


 これは後程わかったことだが、この異音。これに気付くことになったのは、俺が天空の力をマスターしつつある状態になった為のようだ。そんな成長期の俺だが、密かに究極の防御方法を考えているのだ。まだ俺のイメージだけで実際に出来るかどうかも定かではないし、俺のレベルもそこまで達していない。

「ティナ、何で君が三竜姫の中でも最強って言われてるの?ヴァンに聴いたらリンは自然界の力をMAXに引き出せるっていうから、未知なるパワーが出せるだろうし、キールは異次元や亜空間に行けるくらいだから、器用なタイプだと思うし。」

 俺が素朴な疑問を投げかけた。魔人キャンティ、リン、キールの三人が最強はティナと認めているからだ。

「あたしは魔力を意識しては使っていないんだ。無意識では使っているのかもしれないケド、そこん所はよくわかんない。でね、あたしはバトルの時、相手の次の行動がわかるんだ。その理由は、あたしにはわかんない。だから、相手の次の攻撃が事前にわかるから回避出来るし、相手の防御も事前にわかるからより有効な攻撃が出来る。それに加えてあたしの破壊竜としてのパワー。正に無敵でしょ?」

 ドヤ顔でティナがそう言うと、俺には俺の未来がめっちゃ明るく見えてきた。だって飛行も出来るし、攻守ともに相手の攻撃が事前にわかるのだ。フツウに考えたら無敵じゃん?って思うケド、俺自身の戦闘力がまだまだ低いので、そこのレベルアップは必要なんだけどね。

 以前から考えていた究極の防御。それはティナが言っていた相手の次の攻撃が事前にわかるということにも繋がる。

 ティナとの組み手で攻撃がどの位置からどの位置に目がけて向かってくる攻撃ラインが把握できるようになってきたのは、波動力を攻撃が当たりそうな所に集中させるとわずかな空気の乱れが感じられたことから得たことだ。

 物体が移動するとその周囲の空気も移動するということを意味するのだが、これを進化させた訓練を今行っている。


 天空の力は偉大だ。天空上の移動が全て感じられる能力。人やほとんどの魔獣は、空気から酸素を得る為に呼吸をしている。

 そして、脳から神経を通じて筋肉やその他の臓器に情報が伝わって行動している。

 極々当たり前の生命体の基本であるが、天空の力を駆使すれば脳から神経を通じて筋肉を動かすほんの微妙な筋肉の初動を感知出来るハズだ。大気に接している相手をロックオンする。

 そのロックオンした相手の体内を大気から感知する。

 そして、相手の行動が事前に把握出来る。

 ネックなのが、その微妙な初動のパターンを全て掌握しなければならないかもしれないということだ。これには経験の積み重ねと勘、俺自身の動体視力+反射神経に磨きをかけることが必要じゃないかと予測する。

 俺一人ではこの防御方法を考え付くことは不可能であった。ここまではティナからの情報のお蔭で考えついた。後は俺自身の特訓次第なのだが、俺はこれだけでは終わらない。

 もう一つの防御法も考えていたのだ。それは俺自身の周囲の空気をバリアにすること。俺自身、ティナの身体硬化の効果でかなりの防御力なのだが、この先どんな破壊力をもった相手と遭遇するか分からない。

 その為の事前準備なのだ。ハッキリ言ってフツウの攻撃でない攻撃、例えば特殊レーザー砲なんかがもし登場したら、身体硬化だけでは防御に自信がもてない。

 不老不死とはいえ、痛みを伴う攻撃を受けるのはなるべくならば避けたい。やっぱり、痛いのは勘弁してほしいのだ。

 俺の周囲の大気を超高速で対流させ、鋭い大気カッターのようにする。それに身体硬化の防御を組み合わせたら、三段階での防御が可能になる。

 本来ならば、最初の微妙な筋肉の初動パターンの読み取りが完璧になれば問題ないのだが、これはナカナカ難しいと予想される。

 後の大気バリアと身体硬化は保険的な感じで俺は考えている。これが俺の考えた究極の防御方法である。どうも言いにくいので、微妙な筋肉の初動パターンの読み取りは筋肉がブレるので、キンブレ。

 大気バリアはエアバリと言おう・・・

 いやいや、俺ってネーミングのセンスねぇ~。キンブレはフツウにサーチでいいし、エアバリはガードにしよう。

 そう、ネーミングはシンプルが一番なのだ。

サーチとガードはまだまだ練習中で実践にて使うというレベルではない。特にサーチは大事なのだが、高い波動力も必要と思えるので波動力のアップも必須なのだ。


 俺の次のステップは身体強化の継続、天空の力実践活用を行うと共に異質な力のある魔石ゲットの為の情報収集に決まった!

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