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day1.説明してくれる神

「この世界では邪悪なる魔王という存在が恐ろしいモンスターたちを率いていて、最近そいつらの勢力が勢いを増していて我々人類が危ないのですよ」


「神のような説明だね」


「すみません、私は神ではありません。不敬なのでやめてください」


 シスターは真顔でそう返してくる。


 鳴きながら体にまとわり付いて来る猫の群れから森の中を逃げてきて、しばらく歩くと草原の上に出た。景色の向こうに町が見え、俺はほっと息を吐く。見えた町まで歩き、町の中に入っていくと奇異な視線を向けられる。居心地悪く歩いていると、俺の中の常識でいうところの“教会”を見つけ、どうにか助けてくれないかと中に入った。


 教会の中は空いており、一人のシスターが俺を出迎える。教会の奥のステンドグラスには、あの神、に似てるような似てないような神の像が描かれてあった。俺はイチかバチか、俺の今の状況を包み隠さずそのシスターに話した。シスターは多少驚きつつも、俺にこの世界のことを教えてくれる。


「それで、あなたはこことは異なる世界からやって来たっていうんですね」


「うん……到底信じられないかもしれないけど、本当のことなんだ」


「いえ、信じますよ。この世界には度々異なる世界から迷い込んでくる“転生者”なる存在が見られますし、他ならぬ我が主神が遣わされた“勇者”なる人たちも、歴史的には存在しています。あなたの格好は珍奇ちんきですしね」


 人の格好を珍奇って言うな。ただの上下黒ジャージだろ。


「へぇ、じゃあ君たちの神様も猫語で喋るの?」


「いいえ、喋りません。神違いですね」


 じゃあ誰なんだよあの神。まぁステンドグラスの絵と俺が出会った神とでは、服装以外はいろいろと違っていたから、そんな気はしてた。


「しかし邪悪な魔王は私たち人類の敵、それを倒さんとするあなたは魔王の敵。敵の敵は味方です」


「もうちょっと近道して味方認定はしてくれないの?」


「魔王を倒す気なら私は協力しますよ」


 と、ちらほらと教会の入り口から人が入ってくる。ここの信者さんたちだろうか、街を歩いている時と同じように、その信者さんたちも俺を珍しいものを見る目で見てくる。


「すみません、礼拝が始まるのでいったん裏で待っていてもらえますか? 終わったらまた、話の続きをしましょう」


「あぁいえ、お忙しいところすみません」


 俺は教会の裏手に出てきた。そこには井戸があり、柵を挟んで向こうには牧場が広がっており、宇宙人が一週間前にちらっと見た牛を記憶だけで描いたような生物がそこを歩いている。その謎牛たちは、口を開け地面すれすれまで近づけて、まるで草刈り機のように地面の草を這い回って食べている。風邪引いたときの夢かな。


 しばらく待っていると、裏口からさっきのシスターが出てきた。


「それでは、話の続きを伺いましょうか」




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