自称自分が大好きさん。
カメラを起動する。
「シスターの相談室へようこそ。
ここはあなたの相談に私がのるだけの場所です。
どんな相談でも受け付けていますよ。
おや、ちょうど今日のお客さんが来たようですね。
名前は…自分が大好きさんですね。」
シスターは席に着く。
「どうぞー、お入りください。」
カーテンをめくり、男子高校生くらいの人物が入ってきて席に着く。
自分が大好きさんは席に着くと、話始める。
「私は私の嫌いなところを幾らでもいうことができます。
性格が悪い。顔が不細工。努力ができない。自分勝手。
あげていけばきりがありません。
貴方の長所は?と聞かれて困ってしまうくらいには、私は他人に誇れる部分がありません。
私に点数をつけるなら100点満点中10点です。
それでも私は、私を愛しています。
昨日、路地裏でリンチされている男の人がいました。
しかし私はその人を助けませんでした。
私はその時、初めて私は私のことをすきなのを自覚しました。
私はとても醜い生き物です。
見た目だけでなく、性格もです。
私は私のことを嫌いですが、ほかの人よりも自分をゆうせんするようなごみ人間です。
その癖に、一丁前に怒り、人への悪口をSNSに書き込むような人間です。
私は私のこういうところが何よりも嫌いです。
かといって、私は自殺するような勇気も持ち合わせていません。
私は人の人生では背景のようなものだと思います。
誰の記憶にも大して残らないような人間です。
もしかしたら、悪い意味で記憶に残ることはあるかもしれませんが。
神様。どうかこのどうしようもないわたしをお救いください。
なんてことを考えている他力本願な人間です。
私はどうなればいいですか。
教えてください。」
彼はそう告白した。
「告白してくれてありがとうございます。
そうですね…。
貴方は自分が人より劣っていると感じていますよね。
しかし比較対象を下げれば、あなたより下の人間は幾らでもいます。
自分のことをすきになる努力をしてみてください。
他人に誇れなくてもいいんです。
貴方はあなたの人生の主人公で、ほかの人はすべて背景にすぎません。
背景なんて気にする必要はありません。
昨日の自分よりも、今日の自分は成長したな。
そう思えるような日々を積み重ねてください。
貴方が比べるべきなのは過去の自分です。
なんでもいいんです。
たとえばゲームをしたら、昨日よりもこのゲームが上手になったぞ!
これだけでいいんです。」
「ありがとうございました。」
彼はそういうと部屋を出ていく。
「神のご加護があらんことを」