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第五十七会「クリスマスパーティー!2(冬休み②)」

初めて書いたので拙いと思いますが、これから成長していければと考えていますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。

 

 紡木さんに案内された部屋は、空き部屋らしい。

 紡木さんの部屋は狭すぎるのでリビングでという話だったらしいが、紡木さんが別の部屋にしてくれと言ったそうだ。


「クリスマスパ―ティー、スタート!!!」

 火恋さんの音頭でクリスマスパーティーがスタートする。

 パーティーを開始してからすぐ、机に料理が運ばれてきた。

 チキンやピザ、お皿に盛られたビーフシチューなんかが置かれる。


「みんな、どんどん食べてちょうだいね〜」

「すみません、ありがとうございます」

「つむちゃんママさん!このビーフシチュー美味しすぎます!!!」

「それは良かったわ〜」


 俺たちも火恋さんに続いて味の感想を伝える。

 このビーフシチュー、ほんとに美味しいな。

「遠慮しないで、どんどん食べてね〜。おかわりほしくなったら、いつでも来てちょうだい〜。リビングにいるから〜」

 そう言い残して紡木さんのお母さんは部屋を後にした。


「紡木ちゃん、ほんとにありがとね」

「いえ!土門くんも、計画とか予約とか、ありがとうございます」

「ま、その予約ができてなかったんだけどなー」

 土門はそう言って皿に盛られたビーフシチューをかきこんだ。


「月くん、食べてる?」

「もちろん。ビーフシチューもおいしいけど、ピザもおいしいね。俺、ピザ初めて食べたよ」

「そ、そうなの!?」

「うん、こういう風にクリスマスにみんなで集まったのも初めてだな」


 俺は家でクリスマスパーティーのようなものはしたことが無い。

 母さんと二人で、特に変わらない日を過ごすのが当たり前になっていた。

 ちょっと豪華なものといえば、小学生の時にどうしても食べたくて買ってもらったケーキ。

 食べたくて泣きそうになった俺にサプライズで買ってきてくれたんだよな…。


 そういえば、今日は母さんどうしてるんだろう。

 俺もいないし、何か普段食べないようなものでも食べてるかな。

 それこそ、今の俺みたいにピザとか…。


「月くん!」

「は、はい!」

「どんどん食べてね!ほんとに、全部食べちゃっていいからね」

 紡木さんが目に涙を浮かべながら料理が乗った皿を渡してきた。


「あ、ありがと…」

「今日は楽しもう!」

「うん」

 きっと俺を気遣ってくれたのだろう。それは素直に嬉しいし、今日は楽しむつもりだ。


 いつもと変わらない表情で黙々と食べ続けている日早片さん、どんどん口に放り込んでいく土門。

 野菜を寄せて食べないようにする金美さんに、それを注意する火恋さん。

 そして俺を気遣ってさらに料理を渡してこようとする紡木さん。

 俺は目の前に増え続ける料理をどうやって減らしていこうか考えながら、ピザの耳にかじりついた。


 ―――――――――――――――――――――――


 みんなで話しながら小一時間ほどが経過した。

「月くん、もう大丈夫?」

「ちょ、ちょっと休憩かな…。お腹いっぱい」

「そ、そっか」

 腹がはちきれそうだ。何とか食べきったが、これ以上入りそうにない。


 その時、何か動く影がドアの方に見えた。

 何だ…?

「つむちゃん。あれって…」

 火恋さんも気づいていたようだ。


「あ…。ちょっと待ってて…」

 紡木さんはそう言うとドアの方に行き、出ていった。

「どうしたんだ?」

「多分、弟さんじゃないかな?紡木さん、五歳くらいの弟がいるって言ってたし」

「なるほどね」

 俺はおかわりした(何杯目なんだ?)ビーフシチューをすすりながら聞いてくる土門に答えながら、自分のコップに飲み物を注いだ。こいつの胃袋はどうなってるんだ…。


 少しすると紡木さんが戻ってきた。なんだか難しそうな顔をしている。

「お帰りー!どうしたの?」

「あの、実は…」

 紡木さんは気まずそうにしながら後ろの子を前に出した。


「弟の優木が混ざりたいって聞かなくて…」

 紡木さんの後ろに隠れて半分顔を出している男の子がじっとこちらを見つめている。

 デジャブだ。


「ほら、優木、あなたが混ざりたいって言ったんでしょ?挨拶しなさい」

「きもとゆうきです」

 紡木さんに言われた優木くんは淡々と挨拶を済ませる。


「…か、かっわいいぃぃぃぃ!!!!」

 火恋さんはすぐさま優木くんの前に近づいた。

「私、紗衣火火恋!よろしくね、優木くん!」

 優木くんは火恋さんの圧に少し引いている。


「ほらぁ、火恋。そんなに勢いすごいと優木くんもびっくりするよぉ」

「だってだってだってだって!こんなに可愛い!」

「それは分かるけどさぁ、もうちょっとゆっくりさぁ」

 そう言いながら金美さんはゆっくり優木くんに近づいた。


「金速金美だよぉ。優木くん、何歳なのぉ?」

「ごさい」

「五歳かぁ。大人びてるねぇ」

 金美さんがそう言った瞬間、優木くんの手が金美さんの頬に伸びた。


「ふぇ?」

「や、やわらかい…!」

 優木くんはそのまま金美さんの頬を揉みしだく。


「ひょ、ひょっとぉ、ひゃめてよぉ」

「優木!やめなさい!優木!」

 紡木さんに引っ張られて優木くんははがされた。


「ごめんなさい!ほんとにごめんなさい!」

「いいよぉ、気にしないでぇ。慣れてるからぁ」

「優木も!急にそんなことしたらダメ!」

「ご、ごめんなさい…」

「あはは、いいよぉ。急でびっくりしただけだからぁ」

「優木くん。かなちゃんのほっぺは渡さないよー?」

「火恋のでもないけどねぇ」


 その後、俺と土門も自己紹介をして最後は日早片さんの番になった。

「…」

「日早片さん?」

 日早片さんは優木くんをじっと見つめたまま動かない。


「…かわいい」

「え?」

「な、何でもない。日早片日奈です。よろしく」

 なんかつぶやいていたような…。気のせいか。


「それじゃあ、優木くん。こっちおいで。一緒にお菓子食べよう」

 土門がそう言うと、優木くんは満面の笑みで土門の方に走っていった。


 ―――――――――――――――――――――――


「どもん!つぎはこれみて!」

「おうおう、なんだなんだー?」

「かなみも見て!」

「すっかりなつかれちゃったねぇ」

 優木くんは土門と金美さんとずっと遊んでいる。


「ごめんなさい、土門くん、金美ちゃん。優木が迷惑を…」

「大丈夫だよ。俺、弟欲しかったんだよね」

「多分優木も男のお兄さんと遊びたかったんだと思うの。普段は一人か私とだから…」

「私はほっぺ枠かなぁ?」

「うぅ、優木くん…。火恋おねえさんとも遊ぼうよ…」

 優木くんは土門にぴったりくっついて離れない。


 日早片さんは二人を見ながら俺に話しかけてきた。

「それだと、どうしてあなたはなつかれないのかしら」

「それは…、わからない…」

「何か感じるのかしらね。例えば、つまらなそうとか」

「ひどくない!?」

「た、多分!お菓子をくれたからだと思います!!」

 紡木さんが必死にフォローしてくれた。


「そ、そうなのかな?」

「そうです!」

「俺もあげたんだけどな…」

「あっ…」

 紡木さんは何とか言葉を見つけようと考えてくれたが、頭から煙が出てきていた。


「どしたの、月くん。悲しそうな顔して」

「いや、俺がつまらないっていう話を…」

「違うんです!優木が月くんになつかないっていう話を…」

「それが俺がつまらないからっていうことに…」

「なるほどー…」

 火恋さんは少し考えた後、俺と同じ顔になっていた。


「ということは、私と遊んでくれないのも私がつまらない人間だから…」

「ち、違うんですよーーー!!!」

「あらあら」

「日早片さん?日早片さんだって今のところ俺らと同じだからね?」

「そんなことない」

「じゃあ、話してきなよ」

 俺がそう言うと、日早片さんは優木くんに近づいた。


「ゆ、優木、くん…」

「?」

「え、ええと…」

「?」

「本日はお日柄も良く…」

「室内だし、もう夜だよ!?」

「?」


「ほら、日早片さんだって同じだ」

「うるさい」

「日奈ちゃんの話、全部頭に?が浮かんでたね」

「初めてなのよ、小さい子との会話なんて…」

「日早片さん、『仲間』だね」

「〜〜〜!!!」


 俺たちがこんなに争っているのを知らない二人は優木くんと遊び続けていた。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

続きもぜひ、読んでいただければと思います。よろしくお願いします。

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