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第五十六会「クリスマスパーティー!1(冬休み①)」

初めて書いたので拙いと思いますが、これから成長していければと考えていますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。

 

 カーテンの隙間から入り込んだ光で目を覚ます。時刻は七時半。

 ベッドから出ようと布団をはいだが、寒すぎてもう一度かけなおした。

 あまり朝早く起きる必要もないからな。


 今日はクリスマスイブ。数日前から冬休みに入り、バイトや課題をして過ごしていた。

 明日は冬休み前に土門が企画してくれたクリスマスパーティーがある。

 俺は布団の中でしばらく温まりながら、土門との話を思い出していた。


 土門がプレゼント交換をやろうと言い出したのだ。

 みんな賛成していたから俺も合わせたが、正直まだ何を選べばいいのか決まっていない。

 もうみんなはプレゼントを買っているんだろうな…。


 プレゼントをどうしようか考えていると母さんの呼ぶ声が聞こえた。俺は温かい布団を後にして、急いで台所に向かった。


 ―――――――――――――――――――――――


「さて、どうしようかな…」

 朝食を食べ終えたので、再び部屋に戻ってきた。

 クリスマスプレゼントについてスマホで調べる。


「手袋、マフラー、ぬいぐるみ、お菓子…。まあ、だいたいこんな感じだよな…って指輪!?そんなものもプレゼントにするのか!?…なんだ、プロポーズ用か…」

 無難なのは手袋やマフラーだろうけど、サイズとか好みもあるから安易に選ぶことができない。


「せっかく買っても誰にわたるかもわからないしな…。女性用のものを買って土門に当たったら可哀想だし……いや、面白そうだな」

 だけど、せっかくなら誰に当たっても喜ばれるというか、同等の価値のものをプレゼントしたい。


「何がいいんだ…」

 その時、下からまた一度母さんの声が聞こえた。

「月ー?ちょっと手伝ってほしいんだけど、来てくれない?」

「今行くー」

 何の手伝いだろか…。手伝い…、手伝い…、言うことを聞く…。


「そうか!」

 閃いてしまった。

 誰に当たっても同等の価値、しかもお金もかからない。


「この手があったな。ありがとう、母さん」

 俺は一枚の紙を同じサイズになるように三つに切り分け、ペンを走らせる。

「よし、できた。ラッピングは…」

 ラッピング用の袋を探していると、もう一度下から声が聞こえてきた。


「月ー?早く来てくれないかしらー?」

 そうだ。母さんの手伝いに行かないと。

 ラッピングに適していそうな袋は母さんに聞いてみよう。

 俺は机の上に三枚の紙を置いて、下に降りた。


 ―――――――――――――――――――――――


 クリスマス当日。

 会場は近くのカラオケ。現地集合だ。

 カラオケ店の前にみんなで集まって、一緒に入るということになっている。

 土門が十六時に予約してくれたらしい。

 幹事をしてくれて助かる…。

 俺はプレゼントの袋を抱えてカラオケ店に向かった。



「おう、月」

 カラオケ店に着くと、すでに土門がいた。

 他の四人はまだ来ていない。


「ありがとうな、幹事」

「ああ、いいってことよ。それより、プレゼント交換のもの、持ってきてるよな?」

「もちろん」


「二人ともー!」

 俺たちがみんなを待っていると、火恋さんと金美さんが道路の向こう側から手を振っていた。

 二人ともコートやマフラーをしていて、防寒対策ばっちりなようだ。

 火恋さんは相変わらず金美さんのほっぺを揉みしだいている。


「寒いね!」

 二人はこちらに着くと、それぞれ自分の手に息を吹きかけた。

 白い息がこぼれ、消えていく。

 そしてすかさず火恋さんは金美さんのほっぺを揉みしだく。


「あったかい?」

「冷たいよぉ」

「相変わらず仲いいなー、二人とも。そんなに金美ちゃんのほっぺってやわらかいの?」

「やわらかいよー!もちもちしてて、なんかずっと触りたくなっちゃうんだよね」

「冷たいよぉ」

「…嫌?」

「…嫌じゃないけどさぁ…」

 少し間を空けて、金美さんは目線をそらしながら答えた。満更でもなさそうだ。


「あと二人は…あ、一人来たな」

 右側を見て土門がつぶやく。

 そっちの方を見ると日早片さんが歩いてきた。


「あとは紡木さんだけか…」

 その時、スマホの通知がなった。全員のスマホからだ。

 確認すると、紡木さんからグループにだった。


『本当にごめんなさい。少し遅れます…』


「つむちゃん、遅れるってー」

「そうだな、それじゃあ先に中に入っちゃうか。寒いし」

「そうだねぇ」

 日早片さんも到着し、紡木さんを除いた五人がそろったところで俺たちは店の中に入った。



「すみません」

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

 店員さんの名札には初心者マークが付けられていた。新人さんらしい。


「六人で予約してた土門です。もう一人は遅れてきます」

「ああ、土門様ですね。少々お待ちください」

 店員さんはすでに知っているというような口ぶりだった。

 どうやら予約の電話をしたときに対応してくれた店員さんのみたいだ。


 土門が店員さんとやり取りしている間、俺たちはなぜか置いてあるクレーンゲームを見ていた。

「この人形、可愛いね!」

「そうかな?なんか顔変じゃない?」

「もう、月くんは分かってないなー。この変な顔が可愛いんだよ」

「そ、そっか…」

 火恋さんは鼻をフンスと鳴らしながら話した。


「かなちゃんも可愛いと思うよね?」

「いやぁ、これは可愛くないよねぇ」

「えぇ!?」

「これは、変だよぉ」

「そんな…」

「だよね!これ、変だよね?」

「うん」

 良かった、そう思っていたのは俺だけじゃなかったんだ…。


「日奈ちゃんはどう思う?」

「これは…」

 日早片さんはクレーンゲームに手を当てて目をキラキラさせながら続けた。

「…可愛い…」


「えぇ!?」

「日奈ちゃん…!分かってくれて嬉しいよ!!!」

 火恋さんは日早片さんに抱き着いた。

「ちょ、ちょっと」

「二人とも、学年一位が可愛いって言ってるんだよ。だからこの人形は可愛いんだよ」

「なんだその暴論!?」


「うそぉ!?」

 俺たちが人形の可愛い可愛くない論争をしていると、レジ前で土門の驚く声が聞こえた。

「土門、どうしたんだ?」

 俺は心配になって土門の方へ行く。

「いや、あの、なんか…」

「?」

 他の三人もこっちにやってくる。


「なんか、予約出来てなかったって…」


 ―――――――――――――――――――――――


「申し訳ありません!」

 店員さんが俺たちに向かって深々と頭を下げた。

「予約出来てないっていうのはどういう…」

 俺は店員さんに質問した。どうして予約出来てなかったのか聞いてみないと何も言えない。


「土門様の予約を受け付けた日、私、一人でシフトだったんです。予約の電話を土門様からいただいたタイミングで別のお客様が来店して…。しかも団体のお客様三組だったのでてんぱってしまって…」

「なるほど…。それで予約の完了を忘れてしまったんですね」

「ほんとうに申し訳ございません!!!」

 店員さんは頭が地面につきそうなくらい頭を下げていた。


 俺もバイトをしているからわかる。一人でいるときに大勢のお客さんが来るとてんぱっちゃうんだよな…。しかも新人のときはなおさら。

 俺もスーパーのバイトを始めたてのとき、予約注文の商品取り置きするの忘れたな…。

 たまたま予備があったからセーフだったけど。


「大丈夫ですよ、頭をあげてください」

 土門は店員さんに優しく声をかけた。

「あの、どこか空いてる部屋とかはないんですか?」

「申し訳ございません。クリスマスということもあり、どの部屋も満室、フリータイムなのでいつ空くかというのは…」

 火恋さんの質問に、店員さんは鼻をすすりながら答えた。


「申し訳ございません。申し訳ございません」

「だ、大丈夫ですって!落ち着いてください。深呼吸しましょう」

 泣きながら謝る店員さんをなだめながら土門は俺たちの方を見た。


「みんな、ここは無理だから別のところにしよう」

「わかった」

「おっけい!仕方ないね!」

「はぁい」

「…うん」

 誰も怒っていないようだ。そもそも土門に幹事を任せているのだから、俺たちがなにか口出しできるわけでもない。


「ほんとうに申し訳ございません」

「大丈夫ですって!俺たち、どこか別のところに行きますから!店員さんも、泣かないでくださいよ。せっかくのクリスマスなんですし、楽しく行きましょう!これも思い出ですよ」

「ありがございます…」

 土門は笑顔で店員さんをフォローした。

 店員さん、土門に惚れちゃうんじゃないか?


「それじゃあ、お仕事頑張ってください!」

「はぅっっっ!!!」

 ああ、やっぱり…。

 店員さん、目がハートになってる。

 こいつ、こうやって今まで無自覚に何人も落としてきたんだろうな…。


「かっこいいじゃん、土門くん!」

「そうか?まあ、新人さんだったし仕方ないでしょ。これも思い出だな」

「それでぇ、どこにするのぉ?」

「そうなんだよな…。きっとどの店も今日は混んでるぞ…」

 俺はみんなの会話を聞きながら紡木さんに事情を説明した。


『…っていうわけだから、会場変わるかもしれない』

『そうなんだ…。仕方ないね…。それって、どこになりそうとかあるの?』

『まだ決まってない。というより、今から会場見つかるかどうか…』

『…それなら、うちでやる?家族みんないるけど…』

『え?』

『も、もちろんみんなが良ければだよ!』

『聞いてみるね』


 俺はスマホの画面を見せながらみんなに声をかけた。

「みんな、会場なんだけどさ…」


 ―――――――――――――――――――――――


「「「「おじゃまします」」」」「おじゃましまーす!!」

「ど、どうぞ…」

「いやー、つむちゃんがまだ家を出てなくてよかったね!」

「ほんとにちょうど出発するところで月くんから連絡が来たから…」

 玄関で話していると、小さい男の子がリビングのドアから顔を半分だしていた。

「…」

 俺と目が合うとすぐ、走り去っていく。


「みんな、いらっしゃ〜い」

「よく来たね、寒かっただろう。さ、上がって上がって」

 次にリビングから出てきたのは紡木さんのご両親だった。


「突然押しかけてしまってすみません。助かりました」

「いいのよ〜。毎年、たくさんご飯買ってきちゃうんだけど食べきれないから〜。じゃんじゃん食べてほしいわ〜」

 紡木さんのお母さんはお玉を持ちながらそう話した。


「そ、それじゃあみんな、こっちです…」

 紡木さんに案内されるとおりに着いていく。

 さあ、ここからはクリスマスパーティーだ。


「それでは、みなさんジュースの準備はいいですかー?クリスマスパーティー、スタート!!」


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

続きもぜひ、読んでいただければと思います。よろしくお願いします。

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