表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/61

第五十二会「図書室でのお話②(日常①)」

初めて書いたので拙いと思いますが、これから成長していければと考えていますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。

今回から何話か日常回です。

 

 図書室にはいろんな人が来る。

 私、木本紡木は本を読むことが大好き。時間があれば本を借りて読む。

 もちろん自分で買うこともたくさんあるが、お金も限られているので無料で本を借りられる図書室は大好きな場所だ。

 って、なんかこの語り一回やった気がするんだけど…。まあいいかな。


 今回は前に借りた恋愛小説の続きを読み進める。

『あなたが見つけた私の気持ち』

 最後は女子生徒が友達になった男子生徒のことを気になり始めたところで終わったんだっけ…。


 入り口から離れていて本棚から隠れているお気に入りのこの場所。

 今日もここで読もうと思っていたんだけど、もう埋まっちゃっている。

 別の場所で読もう。そう思い周りを見回したけれど、ほとんどの席が埋まっていた。


 みんな一つ飛ばしで座っていて、空いている席は全部隣に人がいる。

 今日はやめようかな…。

「紡木」

 どこからか私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「?」

「こっちだよ」

 声の聞こえる方を向くと、そこには元風紀委員会委員長の国本夏都先輩がいた。

 手招きして私を呼んでくれている。


「夏都先輩…!」

 私は周りに迷惑をかけないよう小さい声で返しながら夏都先輩のもとへ向かった。

 夏都先輩が座っていたのは一番端の席。

 私が来たと同時に一つ隣の席にずれる。

「あ、ありがとうございます」

「さあ、早く座って。いつまでも立っていると余計目立つよ」

 夏都先輩に促され、私は夏都先輩が空けてくれた端の席に座った。


 さっきまで夏都先輩が座っていたから温かい。

「ここなら読めるだろう?」

「はい。夏都先輩、ありがとう!」

「しー」

 つい声が大きくなってしまった私の口元に、夏都先輩は指を立てた。


「ご、ごめんなさい…」

「ふふっ、紡木もだいぶ大きい声が出るようになったな…。これも彼のおかげかな」

「彼…?」

「本、読むんだろう?早く読みなよ」

 この先輩のすることは、ほんとにかっこいい。


 見た目もクールで、女子だけどイケメン。まるで漫画のキャラみたい。

 さっき私にしてくれたことも、普通こんな自然にできる?

 夏都先輩にはファンクラブなんかもある。会員はみんな女子。

 噂では、この学校の生徒以外にもいるらしい。


 もちろん、私はファンクラブに入るほどではない。夏都先輩とは中学から一緒だから。

 そして私は知っている。夏都先輩にも可愛い一面があるということを…。


 でも今は気になっているこの本の続きを読もう。

 私は夏都先輩に言われたように本を読み進めた。


 ―――――――――――――――――――――――


 時間が経つのも忘れて、読みふけってしまった。

『あなたが見つけた私の気持ち』二巻。

 今回は主人公の女の子が、前回友達になった男子生徒のことを好きだという気持ちに気づいて終わった。

 んー!いい!キュンキュンする!

 続きがとても気になる。早く読みたいな…。


 私は夏都先輩が何をしているのか気になって隣を見た。

 夏都先輩は教科書とノート、そして参考書を開いて勉強している。

 そっか、先輩は受験生だ。


 私の視線に気づいたのか、夏都先輩はこちらを見た。

「ん、どうかしたのか?」

 ほほ笑みながら私を見る夏都先輩から目が離せない。

 ファンクラブに入りたくなる気持ちが分かった。

 こんな美しい顔で、こんな優しい声色と表情で声をかけられたら、誰だって惚れてしまう。


「あ、いや、ええと…」

「…ずいぶんと集中して読んでいたんだな。時間を忘れるくらい」

「へ…?」

 私は時計を見た。時刻はすでに午後五時半を過ぎていた。


「もうこんな時間!?気づかなかった…」

「周りも、みんな帰ってしまったよ」

 周りを見ると、もう誰もいない。私と夏都先輩の二人だけだ。


「夏都先輩は、帰らないんですか?」

「紡木が残っていたからな」

「私のことなんて、気にしないでください。夏都先輩、受験生だし、時間が大切ですよ!」

「勉強は見てのとおりやっていたし、可愛い後輩を一人残して帰るなんてことはできないさ」

 夏都先輩は笑いながらそう答えた。


「それに、なにか話したいこともありそうだ」

「え…?」

 夏都先輩は私の向かいの席に移動すると、私の方をじっと見つめて続けた。


「さあ、話したいこと、話してごらん?」

「そ、そんな。私、話したいことなんて…」

「…」

 夏都先輩の瞳から目が離せない。吸い込まれるように目が行ってしまう。


「…」

「…」

 ほんとうは、話したいことがあった。さっきの本を読みながら、私もそうだって感じたこと。

 でも隣を見たら真剣な顔で勉強していて、今日はやめようと思ったのに。


「で、でも、夏都先輩、勉強しないといけないんじゃ…」

「なに、大丈夫。志望校の模試はA判定だ。それに、ずっと勉強ばかりだと疲れるからな。私の息抜きに付き合ってくれ」


「そ、それに!図書室では静かにしないと…」

「周りには誰もいないんだ。迷惑がかかるわけでもないんだし、大丈夫だろう?」

「うぅ…」

 それを言われるとどうしようもない…。


「じ、実は…」

「ああ…」

「実は私…」

 私は本を読んで考えていたことを口に出した。


「つ、月くんのことが、好き!みたいで…す…」

 私の言葉に夏都先輩は動揺しなかった。

 さっきの真剣な表情から、笑顔になる。

「ああ、やっぱりそういうことか」

「え…?」

 夏都先輩、そういうことって…。


「うん、話したいことっていうのはそれか。なるほど」

「そういうことかって?ど、どうしてわかったんですか!?」

「いや、完全に分かっていたわけではないさ。でも、二学期が始まってから少し紡木の様子がおかしかったからな。何かあると思っていたんだが…。文化祭が終わってからなんとなくそうじゃないかなって思っていたんだ」

「そ、そうなんですか…」

 どうやら夏都先輩にはばれていたらしい。


「そ、そんなにわかりやすかったですか!?」

「いや、そんなことはないさ。周りは気づいていないんじゃないかな?私は風紀委員として接する機会が多かったからな」

 それならよかった。もしいろんな人にばれていたら恥ずかしくて消えてしまう。


「それで、いつから好きになったんだ?」

 夏都先輩の質問に、自然と口が開いていた。

「…初めは、友達ができてうれしかったんです。しかも男子の友達。私には絶対できないと思っていましたから…。でも、月くんのおかげで少しずつ男子とも話せるようになって、風紀委員としてもしっかり仕事をできるようになってきて…」

「ああ。たしかに、今の紡木の仕事ぶりは私から見ても目覚ましいものを感じるよ」


「夏休みまでは友達だと思っていたんです。夏祭り、二人でみんなとはぐれてたまたま手をつないだ状態で一緒に花火を見るまでは…」

「ああ、あの時だな」

 夏都先輩には迷子の子を届けた先で見られている。


「その時からなんとなく意識し始めて、二学期が始まってから月くんと金美ちゃんがカップルのふりをすることになって。その時にはきっと、好きになっていたんだと思います」

 あの時の胸の痛みには自分でも気づいていた。

 でも、気づかないふりをしていたんだ。


「そして極めつけは最皇祭。ここではっきりそうだと確信しました」

 夏都先輩は私の話を頷きながら聞いてくれた。


「そうか…」

 誰にも話すことができずなんとなくモヤモヤしていた。

 心の中に留めておいたこの思いをようやく誰かに話すことができた。


「って、ごめんなさい!私、こんなに長く話してしまって…」

「はは、大丈夫さ。私から聞いたんだ」

 夏都先輩、笑ってる。

「そうか、紡木に好きな人ができたんだな。男が苦手だった紡木が…な…」

 夏都先輩は笑いながら私の頭を撫でた。


「夏都先輩!?」

「なんだか嬉しくてね。すまない」

 夏都先輩に撫でられるの、気持ちいい…。

「その恋、うまくいくといいな」

「は、はい…」

「どうしたんだ?自信がなさそうだが…」


「だって私、誰かを好きになるなんて初めてだし、もちろん本やアニメの世界ではいつも見ていたことだけどまさか自分がそうなるなんて思ってもいなかったし…。私なんかが…」

 その時、夏都先輩が私の頭にチョップをした。

「あいてっ!」


「紡木…。『私なんか』っていうのはやめなさい…」

「あっ…」

 気づいたら口に出してしまっていた。月くんにも同じようなこと、言われたな…。


「どうしてそんなに自分を下げるようなことを言うんだ?大丈夫だよ。紡木にはたくさん魅力があるんだ。この国本夏都が保証する。自信をもっていい」

「夏都先輩…」

 そう言って夏都先輩は私の背中を軽くたたいた。

「頑張れ…!」

「…はい!」


 ―――――――――――――――――――――――


「そういえば、夏都先輩の方はどうなったんですか?」

「私の方?」

「中駄高校の人ですよ。ええと、姫内さん?との方は…」

 私がそう聞くと、夏都先輩は急に机の勉強道具を片付け始めた。


「ああ、もうこんな時間だな。帰って勉強しないと…」

「夏都先輩、ずるいですよ!」

「仕方ないんだ。私は受験が控えているからな、勉強に力を入れないといけないんだ」

 そう言って顔を赤くしながら図書室を出ていく夏都先輩。


「もう、待ってくださいよー!」

 私は読んでいた小説を本棚に返し、急いで夏都先輩を追いかけた。


 かっこよくて、きれいで、頼りになって尊敬できて。

 でも可愛い一面もあって…。

 私はこんな夏都先輩が、大好きです。



最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

続きもぜひ、読んでいただければと思います。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ