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第四十八会「新たな部活」

初めて書いたので拙いと思いますが、これから成長していければと考えていますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。

 

「月くん!聞いたよー、風邪ひいてたんでしょ?大丈夫だった!?」

「もう治ったのぉ?」

「うん、もう治ったよ」

「よかったー。お見舞いいけなくて、ごめんね?」

「大丈夫。心配してくれてありがと」

 完治して完全復活した日の朝、学校へ向かう途中火恋さんと金美さんに会った。


 どうやら心配してくれていたらしい。

「誰かお見舞いに来てくれた?」

「ああ、日早片さんが来てくれたよ」

「日奈ちゃんが!?」

「日奈がぁ?」

「うん」


「…もしかして日奈ちゃんも…」

「?どうしたの?」

「い、いや!何でもないよー、何でも…」

「日奈、あんまりそういうのしなさそうなのにねぇ」

「会長に行けって言われたんだって」

「そうなんだぁ」

「でも、来てくれて助かったし、感謝してるよ」


「何かしてもらったのかなぁ?」

「いろいろ買ってきてくれたり、仕事を手伝ってくれたりね。日早片さんが仕事を終わらせてくれて、気持ち的に楽になったからしっかり休めたのかも。日早片さんのおかげかもね」

「…ふーん」

「どうしたの?火恋さん」

「何でもないよー」


「火恋、すねてるのぉ?」

「そ、そんなことないよ!」

「だったら火恋も行けばよかったのにぃ」

「だ、だって急に行ったら迷惑かなっても思ったし、月くんのお家知らないし…」

「言い訳だぁ」

「〜!もう!早く学校行こ!」

 そう言って火恋さんは金美さんを引っ張って走っていった。


 ―――――――――――――――――――――――


「…もう治ったの」

 教室に着くと日早片さんが話しかけてきた。

「おかげさまでね。改めてありがとう」

「…別に」

 そう言うと日早片さんは自分の席に戻っていった。


「おう、月。ようやく登校か」

「ああ」

「日早片さんと何話してたんだ?」

「実は…」

 俺は土門にお見舞いの話をした。


「…へぇー。日早片さん、お見舞いとかするんだ」

「来てくれたね」

「あんまりイメージわかないけどな」

「頼まれたから仕方なくって言ってたよ。俺的にはすごく助かったけど。でもきっと頼まれてなかったら来てはくれないだろうね」

「…なんか失礼な会話が聞こえる」

「「!?」」

 振り返ると日早片さんがいた。


「いや、日早片さん?これは誤解なんだ」

「そうそう!日早片さんがお見舞いに来てくれて本当に助かったんだから」

「…」


「ちょっと冗談を言っただけなんだよ。本心じゃなくてさ!」

「月にのせられたんだよ。俺はみじんも思ってなくて、日早片さんがお見舞いに行くのは想像通りでやっぱり優しいんだなって…」

「は!?おい!土門?お前何言って…」

「…へぇ」

 日早片さんの目が怖い。


「…人がお見舞いに行ってあげたのに」

「まったくひどいな、月は」

 こいつ、簡単に寝返りやがった…。

「だーかーらー!違うんだー!」

「…今日放課後」

「…へ?」

 なんだ?決闘か?殴られるのか?


「…生徒会室、会長から」

「なんだ、そういうことか…」

「なんだと思ったの」

「てっきり呼び出されてタコ殴りに…」

「…」

 その直後、ゴッという鈍い音がした。


 日早片さんは自分の席に戻っていく。

「…いってぇーー!!」

「月、今のはアウトだ…」


 ―――――――――――――――――――――――


 放課後、俺は早速生徒会室に向かった。

「お疲れ様です」

「お疲れ様」

「英田会長、ご迷惑をおかけしました」

「いいえ、大丈夫。ちゃんと治したんでしょうね?」

「はい、もう全快です」

「それはよかったわ。それじゃあこれからまたたくさん仕事できるわね」

「が、頑張ります」


 そして日早片さんも生徒会室に来て、俺たちは仕事に取り掛かった。

「今日も仕事多いわね」

「ですね」

「会長、意見箱の紙、これです」

「ありがとう」


 日早片さんは英田先輩に意見箱の中身を渡した。

 ものすごい紙の数だ。

 意見箱は英田先輩が選挙のときに宣言した、生徒みんなの意見を取り入れるためのもの。

 まだ新生徒会が発足してから一カ月もたっていないのにこんなにくるなんて…。


「ええと……。『テストなくしてほしい』、『もっと始業時間を遅くして!』、『もっと休みを増やして』、『身だしなみの校則をもう少しゆるくしてほしいな♡』、『体育を消せ』…。みんな学校に何しに来てるのよ…」

「はは…、すごいですね…」


「『体育を消せ』って、どれだけ運動が嫌なの…。それにこっちは『学食のメニューをもっと増やして無料に!』って…。うちの学校はかなりメニュー多い方だし、比較的安い方よ?無料なんて、さすがに無理よ」

 実際に回収された意見は、私的なわがままのようなものがたくさんだった。


「かなえられそうにないものばかりですね…」

「匿名で意見をもらうとこうなるっていうのを考えられなかったこちらに落ち度があるわね。次からは名前を記入してもらおうかしら…」

 その時、日早片さんが一枚の紙を見つけた。


「会長、これ…」

「ん?あら、埋もれちゃってたのね。これは…」

 俺も二人に近づいてその紙を見た。

「これなら…」


 そこには『新しい部活を作りたいのじゃ!』とだけ書かれていた。


「これなら、話を聞いてみてからだけどかなえられるかもしれないわね」

「そうですね。でも名前が…」

「わからないのよね。こうなるのも匿名の悪いところだわ…。やっぱり次から名前も書かせるようにしましょう」

「日早片さん、心当たりない?」

 日早片さんに聞いてみたが、首を振る仕草をするだけだった。


「探すところから、ね」

「そうですね」

「…それじゃあ、月。ちょっと頼んでもいいかしら?」

「お、俺ですか!?」


「ごめんなさいね。日奈には別の仕事を頼もうと思ってて」

「全然いいんですけど、かなり大変そうですね…」

「そこは、ごめんなさい。見つかるまではそっちに集中してもらって大丈夫だから」

「わかりました」

「見つかったら、その場でどんな感じか聞いてもらってもいいわ。でも、最終的に私も話をしたいから連れてきてちょうだい」

「はい。わかりました」

「それじゃあ、頑張って」

 こうして俺は、匿名の意見、というか要望をかなえるため、それを書いた本人を探しに向かった。


 ―――――――――――――――――――――――


「とは言ったものの、そんなすぐに見つかるわけないよな…」

 俺は放課後の校舎を歩きながらその人を探していた。

 もう十二月なので、とても寒い。

 どの生徒も、マフラーやコートを羽織り、十分な防寒対策をしている。

 俺も何か着ながらでいいかな…。

 そんなことを考えていると、何か言い争いのようなものが聞こえてきた。


「ですから!校内でそれを使用するのはダメです!」

「何がダメなの!もう放課後なのだから、どうしようと勝手じゃ!」

「放課後でもここは学校です。ここにいる以上は、校則を守ってもらいます!」


 そこには小学生のように駄々をこねている女子生徒と、それを注意している風紀委員の姿があった。

 そしてその風紀委員は…。


「紡木さん!」

「つ、月くん…」

「どうしたの?」

「それが…」


 紡木さんから事情を聞くと、どうやらこの生徒がゲーム機を持ち込んでゲームをしていたので注意をしたがなかなかひかないらしい。

 その生徒は右手にしっかりゲーム機を抱えている。

 ゲーム機か…。金美さんみたいだな…。


「ゲームをしたければ家に帰ってすればいいじゃないですか!ここは学校です!ゲーム機はしまってください!」

「いーやーだー!」

「…」

 紡木さん、こんなに大きな声を出せるようになったんだ…。


「…いい加減にしないと、そのゲーム、没収しますよ?」

「「!!」」

 紡木さんから黒いオーラが出ている気がする。

 怒らせるとこんなに怖いのか…。俺は怒らせないようにしよう。


「わ、我は!ゲームをしないと死んでしまうんじゃ!お、おぬしは我に死ねというのか!?」

「ゲームをしないだけで死ぬ人がいるわけないでしょう!もう怒りました!没収です!」

「や、やめろー!!!」


 彼女は抵抗していたが、力が弱いのかあっさりゲーム機を持っていかれた。

「あ、ああ…」

「反省したら、返します」

 そう言って紡木さんは行ってしまった。


「…」

 ものすごく落ち込んでいる。俺は気になって聞いてみた。

「どうしてそこまで?ゲームなら紡木さんも言っていたように家出すればいいじゃないですか」

「…学校でやらないと意味がないのじゃ…」

「なんで……。ん?『じゃ』…?」

 この語尾、どこかで見たような…。


「やっぱり、部活を作るしかないのう…」

「あ!もしかして!」

「?」

 彼女は首をかしげてこちらを見ていた。


「もしかして、意見箱に新しく部活を作りたいって紙に書いた…」

「おお!おぬし、生徒会のものか!」

 なんてことだ。こんなあっさり見つかるなんて…。


「早速我を生徒会室に連れていけ!英田会長と話をしたいのじゃ!」

 こうして探していた人を見つけた俺は、生徒会室へと戻った。



最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

続きもぜひ、読んでいただければと思います。よろしくお願いします。

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