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第四十三会「選挙準備」

初めて書いたので拙いと思いますが、これから成長していければと考えていますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。

 

 風紀委員での見回りの仕事も終わり、いよいよ選挙がスタートする。

 いよいよだ。俺が生徒会長になるために通らなければならない道。

 早速今日、学校のあらゆるところで立候補者の名前と写真が貼りだされていた。


『新生徒会長候補:二年一組 英田英凛(あいだえり)(現生徒会副会長)


 新生徒会副会長候補:一年一組 月浦月(つきうらつき)(現生徒会仮役員)

 一年一組 日早片日奈(ひさかたひな)(現生徒会書記)         』


 いざ貼りだされると、ドキドキするな…。

 俺は高鳴る気持ちを落ち着けながら、生徒手帳に記載された校則の「生徒会役員選挙」の項目を眺めていた。



○生徒会役員選挙は毎年十一月末に行われ、そこで選ばれた者たちで新生徒会が発足する。

○選挙に立候補できるのは生徒会役員、あるいはあらかじめ決められたルールにのっとり資格を得たものだけである。

○生徒会長は必ず選挙を行って決定する。なお、立候補者が一名の場合は信任投票を行い、全校生徒の三分の二以上の票で当選となる。

○生徒会副会長は立候補者がいればその者たちによる選挙を、立候補者がいなければ新生徒会長による指名で決定する。なお、副会長に指名された者は、拒否権を持つ。

○書記は選挙を行わず、新生徒会長による指名で決定する。なお、副会長と同様拒否権を持つ。



 これが生徒会役員選挙の大まかなルール。

 俺はこのルールを改めて読み込んだ。

 今年の新生徒会長の立候補者は英田先輩だけだし、信任投票だな…。

 まあ、不信任になることはないだろう、うん。


「おーす、月」

「土門」

「早速、貼りだされてるな」

「ああ、今からドキドキだよ」


「だよな。いよいよだもんな」

「…」

「入学式の日、自己紹介でいきなり生徒会長になるとか言い出したときは変な奴だと思ったよ。理由もまあ単純だったけど、ちゃんとここまで来てるもんなー。俺、あの時声かけて友達になって良かった」

「な、なんだよ急に…」


「俺も美化委員の副委員長になるし、月が副会長になってくれれば俺の意見とかもそっちに通りやすくなるだろーし」

「それが狙いだな!?」

「ははは、冗談。まあ、頑張ってくれよ」

 なんだよ、ほんとに…。でも、そう思ってくれていたのは嬉しい…。


「お、もう一人お出ましだな」

 土門はそう言うと、入り口から日早片さんが歩いてくる。

「おはよ、日早片さん」

「…おはよう」

「おはよ」

 土門に続いて俺も挨拶を返す。


「日早片さん、早速貼られてるね」

「うん」

「日早片さんも、頑張ってね。俺、二人とも応援してるからさ」

 土門!俺だけを応援してくれよ!


「うん、ありがとう。私は負けないけど」

「おん?」

「なに?」

「ずいぶん余裕そうじゃない?」

「うん。負けないから」

 くわー!この人、本当に腹が立つぅ!


「な、何でそうと言い切れるのかなー?」

「なんでって言われても…。そうならないのがありえないから」

「…よし分かった。絶対負けない」

「早速バチバチだな…」

 俺と日早片さんのやり取りを見て、土門はそう呟いていた。


 ―――――――――――――――――――――――


「失礼します」

 その日の放課後、俺と日早片さんは生徒会室に呼ばれていた。

 おそらく、選挙のことだろう。


「入神会長、英田副会長、お疲れ様です」

「お疲れ様です」

「ああ、お疲れ様」


 そう言うと、会長は椅子に座り、俺たちにも座るよう促した。

「さて、早速今日からお前たち三人の写真が貼りだされたな」

「そうですね。いざ貼りだされるとドキドキします」

「今から落ち着けないなら、あなたに副会長は無理」

「まだ分からないだろ!」


「はは、まあ気持ちはわかるよ…。英凛も、緊張してるか?」

「いえ、私は一人ですので、特には…」

「そうだな…。というか、今回のケースの方が稀なんだ」

「そうなんですか?」

 選挙が稀?どういうことだ?


「ああ。そもそも、選挙は毎回生徒会長を選ぶだけ、しかも立候補者一人の信任投票の方が普通なんだ。この学校ではな。だって、立候補するには月みたいに入学してすぐ申請、そして委員長たちからサインをもらって、テストも上位を取って、これでやっと資格を得るんだから。入学してすぐにこれをやろうっていう人の方が珍しい。月とか去年の英凛みたいに初めから生徒会長になろうっていう気持ちがある人は別だがな」

「なるほど…」


「生徒会長は副会長が基本的にそのまま繰り上がるだろう?そして立候補者のいない副会長を生徒会長が指名して、その人がそのまま来年の生徒会長になる。この流れの方が一般的なんだ。俺の時もそうだったしな。去年は英凛が副会長に立候補してくれたから、俺は副会長を指名することもなかったが…」

 そう言って入神会長は英田先輩の方を見た。


「誰も会長になんてなりたくないのよ。成績も良くないといけないし仕事もたくさんあるし。みんなこの学校に入学している時点で優秀だから、行きたい大学も自力で行けるし、就職にしても困らないもの。必ずかなえたいものがない人は、会長になるより今しかない高校生活を楽しむ方を選ぶのよ…。まあ、私はなりたいから立候補したんだけど」

 英田先輩は腕を組みながらそう言った。


「はは。そうだな。やる気のある英凛が副会長になってくれて助かったよ」

「べ、別に…」

 英田先輩、照れてる?


「まあ、なんだ。信任投票じゃない選挙、勝敗が決まる選挙っていうのが久しぶりなんだ。多分今在籍している生徒は誰も経験したことが無いはずだな」

 入神会長のその言葉でさらに緊張してきた。


「…三人とも、頑張れよ」

 そう言った入神会長の顔はなんだか切なそうな顔をしていた。


 ―――――――――――――――――――――――


 次の日から俺はいろいろなことを行った。

 校門前で挨拶をしたり、昼休みに放送室を借りて俺のことを知ってもらおうとしたり…。

 なんなら、各教室を回って挨拶なんかもした。


 生徒会長になるのがゴールなんだ。そのために副会長になった方が良いのだから、副会長になるために必要なこと、した方が良いことはなんだってやる。

 日早片さんの方は、特に何をすることでもなく、ただ選挙当日を待っているようだ。

 よし、ここで差を広げてやろう。


 そう思っていたのだが、どれも周りからの反応が薄かった。


 もちろん、反応してくれている人は少しだがいた。紡木さん、火恋さん、金美さん、土門、結川先輩、金恵先輩、世理先輩、国本先輩、冬馬先輩、社先輩…。

 全員知ってる人じゃないか!


 まあ、初めはこんなものだろう。

 そう思って続けたが、あまり成果は得られなかった。

 何だろう、この感覚…。俺というより、そもそも選挙に興味がないような…。

 これで大丈夫なのだろうか。俺は日早片さんに勝つことができるのか…?


 そんな不安を抱えながら、とうとう選挙当日を迎えた。



最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

続きもぜひ、読んでいただければと思います。よろしくお願いします。

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