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第四十一会「片付けと委員会」

初めて書いたので拙いと思いますが、これから成長していければと考えていますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。

 

 色々とあった最皇祭も無事に終了し、休みをはさんでの登校日。

 最皇祭での売り上げの結果は、後夜祭で発表されたらしい。

 俺は参加しなかったので直接はっ聞いていないが、土門から教えてもらった。


 俺たち一年一組の『たこ焼き屋』は全体で五位だった。

 先輩たちも含めた中では健闘したのではないだろうか。

 ちなみに一位は、三年四組のメイド喫茶だそうだ。

 さすが三年生。さすがメイド喫茶。


 今日は、最皇祭の片づけが行われる。

 みんなはそれぞれのクラスの片づけを行うのだが、催事委員と美化委員は校内全体の片づけを行う。

 そのため、俺や火恋さん、催事委員のみんなは催事委員室に集合していた。


「Zzz…」

「委員長!起きてください!」

「…んぁ?ふぁあ…」

「委員長!みんな、集まりましたよ!」

 今日も副委員長に起こされている社先輩。

 副委員長、毎回社先輩を起こしたり寝ぼけた社先輩のサポートをしたり…。

 大変そうだな。


「んぇ?早いな…。ありがとう、副委員長」

「はい!」

 でも、毎回お礼を言われるとすごくうれしそうだ…。


「それじゃあ、校内の片づけします…。美化委員が入り口の看板とかをやってくれるから私たちは後夜祭の会場、体育館です…。ええと、うーん、どうしようかな…」

「会長!自分と何人かでフロアと機材の片づけします!」

「あ、そう?助かるよー。じゃあ、私たちは」

「それでは、行ってきます!」

「あ、ちょっと…」

 そう言うと副会長と他の人たちは颯爽と会場に向かってしまった。


「…みんな、行っちゃいましたね」

「そうだね…。それじゃあ、私と二人はステージの方片そうか」

「「分かりました」!」


 体育館に向かっている途中、社先輩が話しかけてきた。

「そういえば、記録係の方はどうなったの?」

「あっ、それは…」

 火恋さんが口を開いて、止まる。


「んー?」

「すみません、記録できた分はここにあります。でも、全部じゃないです…。すみません」

「そっかー」


 すると火恋さんが勢いよく

「私のせいなんです!本当に、すみませんでした!」

 と謝った。

「何かあったの?」

「私が、ちょっとふさぎ込んでしまって、それで月くんが助けてくれて。でもそれがあったから、当日はあまり回れなくて…」

「ふーん」


 少しの沈黙の後、社先輩が口を開いた。

「それで、今はもう、解決したの?」

「…はい!それは、もう!」

「…それなら良かったー」

 そう言って社先輩は俺の手からデータの入ったUSBを受け取った。


「取ってくれた分だけで大丈夫だよー。これでいろいろ作るからー」

「すみません。私、ほとんど月くんに任せっきりだったし、全然…」

「火恋ー。私は二人にお願いしたんだから。火恋がもしあまりできなかったんだとしても、彼がその分やってくれたでしょー?だから、いいんだよ。そんなに気負わなくても。ね?月くん?」

「そうだよ、火恋さん。大丈夫だよ」

「火恋は、もっと人を頼ることを覚えないとー。これから、催事委員を引っ張っていってもらうんだからさー。どんどん頼りなよー。私なんて、ほとんど頼ってばっかりなんだからー」

「社先輩は、寝すぎです」

「えー」

 俺と社先輩のやり取りを見て、火恋さんは笑っていた。


 そうこうしていると、後夜祭の会場だった体育館に到着した。

 すでに副委員長たちが、フロアの片づけに取り掛かっている。

「さあ、私たちも頑張ろー」

「「はい」」


 ―――――――――――――――――――――――


「副委員長、これはどうすればいいですか?」

「ああ、これはこっちに…」

「副委員長!こっちもお願いしますー!」

「今行くよ!」

 フロアの方からは副委員長に指示を仰ぐ声が聞こえる。

 副委員長も手早く指示を出して、みんなを動かしている。


「副委員長、なんだか張り切っていますね」

「そうだねー」

 俺と社先輩はステージ横の物を片付ける。

 火恋さんは掃除道具を取りに行ってくれている。


「まあ、もう少しで委員長になるからねー」

「え?」

「え?じゃないでしょー。あと少しで選挙だよー」

「それはそうなんですけど…」

「選挙が終わったら、今の会長と各委員会の委員長が退任。そこで選ばれた新生徒会長率いる新生徒会とそれぞれ新しい委員長が率いる各委員会で学校を運営していくんだから、気合も入るってー」

 俺と社先輩はお互い片付けながらなので、背を向けて会話する。


「それで、君も副会長に立候補するんでしょー?」

 俺は片付けの手を止めて、社先輩の方を向いた。

「はい…」

「相手は…あの子だよねー、えーっと、今書記だっけー?あのー…」

「日早片日奈です」

「そうそう、その子ー。すごいのー?」

「…はい」

「そっかー。まあ、頑張ってー」

 そう言うと、社先輩は片手をあげて手を振った。


「…ふふっ」

「?」

「緊張感が無くて、なんか、面白いです」

 社先輩の気の抜けた動きと激励に俺は思わず笑ってしまった。


「だってー、誰が何になろうと私にはもう関係ないしねー」

「…そうですよね」

「…」


 社先輩から返事がないので、俺は片付けに戻ろうとした。

「…まあでも」

「?」

 社先輩が口を開いたので、改めて社先輩の方を向く。

 社先輩も手を止めて話し続けた。

「私は、その子のことより、月くんのことのほう知っているから、まあ、月くんの方を応援してるよー」

「社先輩…」


「ていうか、私たち催事委員は進行役だしねー」

「そうなんですか?」

「説明して…ないかなー。まあ、その時はよろしくー」

「よろしくお願いします」

「んー」


「お待たせしました!」

 俺たちの話がちょうど終わったタイミングで、火恋さんが掃除道具を持って戻ってきた。

「ありがとー。ねえ火恋」

「はい?」

「もうすぐ私が退任して、副委員長が委員長に、まとめ役の火恋が副委員長になると思うけどさー」

 社先輩は火恋さんの方を向いて、しっかり目を合わせて続けた。

「さっきも言ったけど、何かあったらちゃんと周りに相談して、頼るんだよ。一人で抱え込まない、一人で全部何とかしようとしない。そして、火恋も、周りを助けてあげてね」

「…はい!」

 その時の社先輩は、テンションこそ低いが、体育祭や最皇祭中に見せてくれた頼りある委員長の顔をしていた。


「うん。あ、火恋は書記の、ひ、ひー。…彼女と月くん、どっち応援するのー?」

「あ、ええと…」

「社先輩、火恋さんは日早片さんとも仲いいんですから」

 火恋さんは少し考えた素振りをして、ゆっくり口を開いた。

「…月くんは、私に応援してほしい?」

「それは…」

「…もし、月くんが応援してほしいって言ってくれたら、私…。月くんだけを、応援するよ…」

「…え?」


「…な、なーんてね!あは、あはははは!」

「だ、だよね…。あははは…」

「もちろん、私は月くんと日奈ちゃん二人とも応援するよ!どっちが副会長になってくれても嬉しいし!」

「…うん、頑張るよ」

 そう答えた後、俺と火恋さんはそれぞれの片付けに戻った。


 火恋さんに質問した社先輩の方に目をやる。

「時間が流れるのって、早いねー…」

 社先輩はそう呟いて、俺たちを見た後、みんなに指示を出し続けている副委員長の方を見ていた。


 ―――――――――――――――――――――――


 片付けも終了し、午後からはいつも通りの授業を行われた。

 みんな片付けの疲れもあってか、眠っている人が多い。

 もちろん、俺は寝ていない。いや、ちょっと目をつむっただけで、これは長めのまばたきだから…。


 なんとか授業を乗り切り、放課後となった。

 俺は、今、風紀委員室の前にいる。

 もう少しで、生徒会役員選挙の準備期間に突入し、いよいよ選挙が始まっていく。

 その前の最後の手伝いだ。


「失礼します」

「久しぶりだね、月。今日は来てくれてありがとう」

「いえ、大丈夫です…。って、紡木さんもいたんだね」

「う、うん…」


 経理委員室には、俺、国本先輩、そして紡木さんの三人。

 一体、何をするのだろうか。

「あの…、それで、今日、というかこれから何をするんですか?」

「そのことなんだが…」

 国本先輩は、何やら深刻そうな表情で話を続けた。


「最近、近所で不審な人物を見かけたという報告があってな…」

「不審な人、ですか…」

「ああ。制服を着ていたそうだから学生だという話なんだが、その人が下校中のうちの生徒たちに話しかけているらしい。みんな名前と学年を聞かれているそうだ」

「それは、たしかに怪しいですね…」

「だろう?もう少しで私も退任、次へ託すときにきれいな状態で託したいんだ。だから、少し前から放課後、近所の見回りを強化して、数グループに分けて実施しているんだが…」

「?」

 国本先輩は額に手を当て、困ったような顔をした。


「私と紡木と一緒に見回りをしてくれている風紀委員の男子の一人がケガをしてしまってな。しばらく入院することになってしまったらしいんだ。不審な人物がいないかどうかという見回りをするのに、女子だけだと少し、な。もし遭遇してしまったら、女子だけだと心もとないし、私だけならいいんだが、紡木もいる…」

 紡木さんはものすごい速さで首を上下に振っている。


「そこでだ!ぜひ、不審な人物の話が聞こえてこなくなる、あるいは捕まえるまで、私たちと一緒に見回りをしてほしいんだ。まあ、おそらくそろそろ収まるんじゃないかとは思うんだが…」

 たしかに、女子二人で見回りは危ない。

 国本先輩は、何とかしそうだが、紡木さんの方は…、無理だよな。


「どうだろう。手伝ってくれないか?」

 国本先輩はそう言って俺に手を差し出してきた。

 まあ、月末には選挙があるが、支障はないだろう。


「わかりました。俺でよければ、お手伝いさせていただきます」

 俺はそう答えて、国本先輩の手を握り返した。

「ほんとうか!助かるよ。それじゃあ、早速これから見回りに向かおう」

「よろしく、紡木さん」

「よ、よろしく…」


 こうして俺の選挙前の最後の手伝い、風紀委員での見回りが開始した。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

続きもぜひ、読んでいただければと思います。よろしくお願いします。

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