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第二十四会「迷子の子(夏休み⑧)」

初めて書いたので拙いと思いますが、これから成長していければと考えていますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。

 

「どうしようか…」

「とりあえず迷子の子を本部まで届けましょう。その間にこの子の親が見つかればそれはそれでいいですし…」

「そうだね。うん、そうしよう」

 こうして俺たちは本部を目指して歩き出した。


「僕、名前はなんていうの?」

「うぇぇぇん!パパ!ママ!」

「えーと…」

 俺は正直小さい子供は苦手な方だ。

 嫌いというわけではないが、どう対応すればいいのかわからなくなってしまうからだ。

 特に泣いている、そう、今のような状況が一番苦手だ。

「どうしよう…」

 俺はどうすればいいのか分からず困ってしまった。


 その時、紡木さんはポケットからさっき手に入れた射的の景品のお菓子を取り出した。

「ねぇ、僕。お菓子食べたくない?」

 紡木さんはそう言うと、両手に持っているお菓子を男の子に見せつけた。

「うぇぇぇ…、ん?」

 男の子は紡木さんの見せたお菓子を見ると泣き止んだ。


「どう?食べたい?」

「食べたい!」

「そっかー。どっちのお菓子がいいかな?」

「こっち!」

 男の子は紡木さんの右手に持っているチョコのお菓子を指さして答えた。

「よしよし。それじゃあはい、あげる」

「ありがとう!おねえちゃん!」


 男の子は紡木さんにお礼を言ってお菓子を食べ始めた。

「うんうん、いい食べっぷり!僕、お名前はなんていうのかな?」

「かずくん!ええと、ごさい!」

 かずくんと名乗った男の子は、左手にお菓子、右手で四を表しながら答えた。

「そっかかずくんか!何歳かもしっかり言えてえらいねー!」

 そして紡木さんはかずくんの頭を撫でながらそう言った。


「つ、紡木さん…」

 俺が名前を聞いても答えてくれなかったかずくんを泣き止ませていとも簡単に名前を聞き出すなんて…。

「あ、ええと…。私、弟がいて…。それで小さい子の相手をするのは慣れてるから…。その…。恥ずかしいです…///」

 紡木さんはそう言って顔を真っ赤にしていた。


「な、なんで恥ずかしがるのさ…」

「だって、こんな話し方している姿を見られたの初めてですし…」

「おねえちゃん、お顔あかいよ?お熱あるの?」

「う、ううん!これは何でもないの!気にしなくていいの!」

「ふーん、そっかー」

「それじゃあ、パパとママを探しにいこっか!」

「うん!」

 こうして俺たちは三人で本部に向かった。


 ―――――――――――――――――――――――


「かずくん、お姉ちゃんの手、離しちゃだめだよ?…はっ!」

「うん!わかった!」

 紡木さんはかずくんを気にして話しかけながら歩いているが、俺がいることを思い出したのか恥ずかしがっていた。

「そんなに気にしないでよ。俺、小さい子とあんまり関わったことなくて話し方とかよくわからないからさ。紡木さんすごいと思う」

「い、いえ、そんなことないです。私が慣れているだけですので、きっと誰でもできますよ」

「俺もお話とかしてみたいけどな…。ねえ、かずくん?」

「…」

 俺がかずくんに話しかけてもさっきからほとんど反応してくれない。


「こうなっちゃうんだもんな…」

「ふふっ」

「?」

「いえ、ごめんなさい。月くんにも苦手なことってあるんですね」

「そんなの、苦手なことだらけだよ」

「私は月くんが風紀委員に来て私が話せるようになるまで話し続けてくれて、私が困っているところを助けてくれた印象が強くて月くんに苦手なことはないって勝手に思っていました」

「そんなこと…。ん?」


 俺と紡木さんが話していると、かずくんが俺の方をじっーっと見つめていた。

「かずくん、どうしたの?」

「それ」

 そう言ってかずくんは俺が頭につけているお面を指さした。

「ああ、このお面ね。さっきゲットしたんだ」

 俺が説明してもかずくんはずっと見ている。


「…ほしい?」

 俺がそう聞いてみるとかずくんはものすごい笑顔で首を縦にふった。

「よし、じゃあこれ、かずくんにあげる」

 俺はつけていたお面をとってかずくんの頭につけた。

「うわぁぁ!」

「かずくん、よかったねぇ。すごい似合ってるよ!」

「おにいちゃん!ありがとう!」

「どういたしまして」

 かずくんはお面をつけてもらってとてもうれしそうだった。


 そこから少し歩いていると本部に到着した。

「すみませーん、迷子の子なんですが…」

 俺たちが訪ねるとそこには見覚えのある顔の人がいた。


「つ、月くん!」

「社先輩!?」

 そこには現催事委員会委員長の社春音(やしろはるね)先輩がいた。


「ど、どうして社先輩がここに?」

「どうしてって、夏祭りだよ?イベントだよ?私がいないわけ、ないよね?」

「ええと、そうなんですか」

 確かに社先輩は体育祭のときにイベントが大好きだと言っていた。

 でもまさか校内外問わずだとは…。


「それで、月くんたちはどうしたの?」

「あ!実は…」

 俺は社先輩に事情を説明した。

「そっかそっか。二人とも、ここまで連れてきてくれてありがとうね!後は私たちで見るから…」

「私たち…?」

 もちろんほかに大人の人たちもいたが、社先輩の言い方が何か友達のことを言っているような感じだった。

 そして社先輩はある人の名前を呼んだ。すると後ろからもう一人、見覚えのある顔の人が出てきた。


「はいはいどうしt…って、紡木と月じゃないか」

「く、国本先輩も!?」

「夏都先輩!?」

 後ろから出てきたは現風紀委員会委員長の国本夏都(くにもとなつ)先輩だった。

 紡木さんも国本先輩がいるということを知らなかったようで驚いていた。


「なっちゃん、この子迷子みたいで…」

「そっか。もしかして、かずくん、かな?」

 国本先輩にはまだ誰も名前を教えていないのに、先輩は名前を言い当てた。


「うん!そうだよ!でもどうして僕のなまえをしってるの?」

「それはね、こういうことだからさ」

 国本先輩はウインクをしてかずくんを後ろの方に連れて行った。


「パパ!ママ!」

「かず!心配したんだぞ!」

「かずくん!良かった、ほんとによかった…」

 どうやらかずくんの両親も本部まで来ていたようだ。


「なるほど、だから名前もわかったんですね」

「そういうことさ」

 後ろの方からはかずくんの声が聞こえる。

「ねえねえ、みて!パパ、ママ!このお面、おにいちゃんからもらったんだよ!あとねあとね!おねえちゃんがおかしくれたの!」

「ええ!本当に!?あの、良かったんですか?」

 かずくんのお母さんが俺たちの方に来て挨拶してくれた。


「いいんです。そのお面、俺が持ってても仕方ないんで」

「お菓子も、気にしないでください。かずくんの食べっぷり、とても可愛くて私が癒されました!」

「本当になんとお礼したらいいか…。何から何までありがとうございます」

 そしてかずくんたち家族はもう一度俺たちにお礼を言って帰っていった。


「ばいばい!おかしとおめん、ありがとうござました!」

「カップルのおにいちゃん、おねえちゃん!」

「はぁ!?」

「ふぇ!?」

 俺たちは変な誤解をされていたようだった。

(っていうか、カップルって言葉知ってんのかよ…!)

 俺は訂正しようと思ったが、すでにかずくんたちは人混みの方に行ってしまっていた。


「なんだ、お前たち付き合っていたのか」

「ええー、そうだったの!?それならそうと早く言ってくれればよかったのに…」

「ち、違いますよ!誤解です、誤解!」

「そそそそそ、そうですよ!付き合ってないです!友達です!」

「本当か?」

 俺たちはこの二人にも誤解されてしまったようだ。


「本当です、友達ですよ」

「まぁ、それはどっちでもいいんだがな。それより紡木」

「はい」

 国本先輩は顔を赤くしている紡木さんの名前を呼んだ。

「よかったな、友達ができて」

「…!はい!」

 こうして迷子の子、かずくんを無事に送り届け、俺たちはみんなと合流を目指した。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

続きもぜひ、読んでいただければと思います。よろしくお願いします。

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