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第十七会「新しいバイト(夏休み①)」

初めて書いたので拙いと思いますが、これから成長していければと考えていますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。

今回から夏休みのお話になります。

 

 今日から夏休みに突入した。

 これは俺にとって大チャンスだ。

 現在俺が行っているアルバイトはスーパーでのアルバイトだけだが、夏休みに入ったことでほかのバイトも始められる。


 母さんにはあまり無理をするなと言われているが、それは俺が逆に母さんに言いたい。

 毎日朝早くから夜遅くまで働いて、俺をなるべく不自由なく学校へ通わせてくれている。

 そんな母さんを早く楽させてやりたい、母さんにも不自由なく生活してほしい。


 だから俺は絶対生徒会長にならないといけないのだ。

 しかし今すぐにというわけにはいかない。だからこそ休みの間だけでもバイトをしてお金を稼ぎ、家計の足しにする。


 実は夏休み前にすでにファミレスで採用が決定していて、今日からスタートするのだ。

 このファミレスはまかない料理も出るらしく、食費も浮かせることができる。

「じゃあ、いってきます」

 そう言って俺は自転車をこぎ、バイト先のファミレスへ向かった。


 ―――――――――――――――――――――――


「今日からお世話になります!月浦月です!よろしくお願いします!」

「はい、よろしくー」

 そう言って店長は俺に制服に着替えるように指示して、いろいろ説明してくれた。


「それじゃあもっと詳しいことは…。どうしようかな。誰かに頼みたいんだけど…」

 その時、扉が開いた。

「お疲れ様です」

「ああ、英凛ちゃん。お疲れ様」

 そこには現生徒会副会長の英田英凛(あいだえり)先輩がいた。


「ふ、副会長…」

「ど、どうしてあなたがここに…」

「あれ?もしかして二人とも知り合い?同じ高校だと思っていたけど知り合いだったんだねー。よし、英凛ちゃん。月くんにいろいろ教えてあげて」

「ええ!?なんで私が…」

「月くんも、英凛ちゃんここ長いから頼りになるよ。じゃあ、あとは頼んだよ」

「ちょっと、店長!」

 英田先輩は抗議していたが、店長は親指を立ててホールへ行ってしまった。


「はぁ、なんで私が…」

 そう呟きながら英田先輩は荷物を片付けて制服を着た。

「あ、あの…」

「まあ頼まれたからには仕方ないわね。じゃあ説明するわ」

 そう言って英田先輩は淡々とした説明をしてくれた。


「キッチンも入ってもらうことになると思うけどまずはホールね。とりあえず初日だし、元気よくしてれば問題ないわ」

「わかりました。具体的な流れっていうのは…」

「そんなの、聞いて打って運んでの繰り返しよ。あとは慣れなさい」

 そう言って英田先輩はホールに向かっていった。


(俺、初めてだけどできるかな…)

 英田先輩の端的かつ高速な説明を聞いただけなので不安ではあったが、やってみるしかないと俺もホールに向かった。


 ―――――――――――――――――――――――


「お疲れ様ー」

「お疲れ様でしたー!」

「月くん、初日なのによかったよー!元気もいいし、何より動けるね!若さの力か…」

 店長は自分で言ってショックを受けていた。


「うん、もう何回かはホールだけ担当してもらうけど、これならすぐキッチンの仕事もやってもらえそうだね」

「はい、頑張ります!」

「英凛ちゃんも、ありがとうね」

「いえ…」

「はい。今日のまかない」

 店長はそう言ってまかない料理を出してくれた。出されたまかない料理は、店のメニューにあったハンバーグ定食だった。


「今日は月くんの初出勤のお祝いもあるからね。いつもはここまでしっかり作らないけど、今日は特別」

 俺と英田先輩は店長にお礼を言って食べ始めた。

 まかない料理をしばらく食べ進めた時、店長が口を開いた。


「このまま月くんは英凛ちゃんに任せちゃおうかな。何回かしたらキッチンの仕事も教えちゃってよ」

「嫌です」

「即答ですか!?」

「まあまあ、そんな嫌そうな顔しないで。これも追加したからさ」

 そう言って店長が出したのはデザートのアイスだった。


 メニューにあるのは一つのアイスだけだが、これには上にもう一つ小さいアイスが乗っている。

「さ、デザートもどうぞ」

「「いただきます」」

 俺と英田先輩はすぐにデザートのアイスも完食した。

 それを見た店長は目を光らせ英田先輩を指さした。


「はっはっは。食べたね、英凛ちゃん!じゃ、月くんに指導、お願いね」

「…」

 英田先輩はやられたという表情をしていたように見えた。

「…はぁ。分かりました」

「よ、よろしくお願いします」

 こうして俺は今後キッチンでの仕事も英田先輩に教えてもらうこととなったのだった。


 ―――――――――――――――――――――――


 ファミレスでのバイトを始めてから一週間が経過していた。

 キッチンでの仕事させてもらえるようになり、英田先輩から教えてもらっている。

 母さんが夜遅くなってしまうときやスーパーのバイトがない日は俺が晩御飯を作っているので、案外すんなり覚えて調理することができた。


「…意外と器用なのね」

「家でたまに料理するので」

「そう」

 英田先輩はそう言いながらものすごい手さばきで料理を進めている。


「英田副委員長もすごいですね」

「その副委員長って言い方、やめてくれる。今は副委員長じゃないの」

「す、すみません。英田先輩って呼びますね」

「…」

「…」

「…私も家で料理するのよ」

「そうなんですか?だからそんなにすごいんですね」

「そんなことないわよ。それより、あなたはなんでそんなに生徒会長になりたいの?」

 まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったので少し驚いた。


「ああ、ええと。俺の家、貧乏なんですよ。母さんが女手一つで今まで育ててくれて。朝早くから夜遅くまで働いてくれてるんですけどやっぱり贅沢できるっていうわけじゃないんです。俺もここを含めてスーパーでもバイトしてるんですけどそれでもちょっとの足しにしかならなくて。だから生徒会長になってこの学校を卒業して、とにかく富豪というかお金を手に入れて母さんを楽させてあげたいんです」

 俺は別に隠すことでもないと思ったので素直に答えた。


「…」

 英田先輩は黙って俺の話を聞いてくれた。

 その後も黙り込んだままだ。もしかしたらデリケートな話題だと思って気まずくなっているのかもしれない。


「あ、別に今の生活が嫌で抜け出したいっていうわけじゃないんです。生活が嫌だというよりも母さんが心配で。特に聞かれたくないっていう話でもないので気にしないでくださいね」

 俺はフォローしたほうがいいと思ったので付け加えた。


「…きっと、素敵なお母さんなんでしょうね」

「自慢の母です!」

 俺は笑顔で英田先輩にそう答えた。


「それで生徒会長になりたかったのね。あなたがそう思ってくれているだけでお母さんも幸せだと思うわ」

「そうだといいんですけど」

 こんなやり取りをしていると店長から一人ホールに来てくれと言われたので俺が向かうことになった。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

続きもぜひ、読んでいただければと思います。よろしくお願いします。

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