表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

ヒール・ザ・ビギニング

今回バトル描写はありません

ヒロシはプロレス団体の社長業と

ギルマスの仕事にもおわれていた

ただ零細企業なのでギルマスの仕事は少ないが。

今注力すべきことは団体の旗揚げ(初興業)準備だ

そのためには色々必要だけど

まずはギルドのメンバーをレスラーとして育成、

プロレスする人がいないと興行できないもんね。

ギルマスのライセンスには

メンバーのステータスを見る機能がある

ヒロシはギルドメンバーのステータスを調べ、

それぞれから聞いたリクエストも踏まえ

基本的な技の他に一人ごとに技を5つ選び

その技のかけ方と

簡単なイラストをかいたリストを作っていた、

一方ギルドメンバーはルールの勉強

そして受け身の練習と首の筋肉の強化、

ギルドに入ってすぐのホールを練習場にして

トレーニングの日々

冒険者として鍛えられているので

今は首だけを鍛えさせることにした、

まずは安全第一、魔法で治療できると言っても

怪我はしない方がいいに決まってる、

さすがに首をやったら命に関わるしな。

「なあギルマス」

「プロレスの話なら出来れば

社長って呼んで欲しいんだけど」

「それよりさ、あの『受け身』ってやつ

本当に覚えなきゃダメか?」

「怪我を減らすためだって言っただろ?

反射的に出来るようにならないと」

『受けの美学』という言葉があるくらい

受け身は最重要、というかいくら強くても

これができなきゃデビューさせられない

プロレスラーの基本中の基本だ。

「あんな転び方の練習で怪我が減るのか?」

「じゃあ試しに背中から普通に倒れてみてよ

怪我しても治すから、首にだけ気をつけて」

「こうか?」

彼女は言われるまま床に倒れた

ダアン!

「アタタタッやっぱ痛てぇ!」

そりゃそうだ

「もう一度、今度は受け身でやってみて」

「えっと背中からの場合は

『へそを見ながら平手で床を叩く』だったか」

バアン!

「あっ!?」

「どうだ?」

「確かに受け身の方が比較的痛くないな」

接地面を増やし衝撃を逃がしなおかつ

ぶつけてはいけない箇所を守るのが受け身の役割だ

例えば、今彼女がやった『後ろ受け身』は

ヘソを見ることで頭を上げて

後頭部をぶつけないようにしている。

「いい音が出るとダメージが更に減るよ」

「なるほど!やってみるよ」

彼女は納得したみたいで練習に戻ると

周りの皆に何か説明していた、

どうやら受け身の効果について話してるみたいだ。




「ジルさんウチのギルドで性格のいい子って誰?」

「性格のいい子ですか?まさか彼女探し…?」

「違うよ、頼みたいことがあるんだ」

「性格がいいと言えば…あそこにいる

3人なんかはいいと思いますが」

そう言うとジルさんは窓際でおしゃべりしている

3人組を指さした。

「ロングヘアがヒーラーのリュミエール

短いツインテールがアーチャーのターナ

そしてショートヘアが盗賊のナーシャです

それぞれパーティーは別ですが

よく一緒にいますし仲も良いようですよ」

と言うので話してみる

「やあ」

「社長」答えたのはターナ

「君達今俺を殴れって言ったら殴るか?」

「え?ええっ?や・やりません!」とターナ

「やるわけないですよ」とリュミエール

「やらないよ」とナーシャ

「なら試合なら?」

「仕事なら仕方ないからやりますけど…」

とリュミエールが言うと他のふたりもうなづく

「社長…そんな趣味が?」

「違う!本当にいい子か確認したかっただけ!」

「何ですか一体?」

「頼みがあってね、君たちにプロレスで

ヒール、つまり悪役をやって欲しい」

善玉(ベビーフェイス)悪役(悪玉)(ヒール)

わかりやすい対立構造は

プロレスに欠かせない要素の1つ

中でも善VS悪は特にわかりやすい

「あ、悪役!?」

「私達が!?」

「ムリムリムリ!」

「社長、悪役なら性格が悪い子の方が適役では?」

「いや、いい子の方が向いてるんだよ

必要以上に反則で相手を傷つけたりしないからね

あくまで《悪者(わるもの)》ではなく《悪役(あくやく)

それが重要なんだよ」

「でも悪役ってどうすれば」

3人は困った顔でお互いを見ている

「じゃあお手本見て勉強するか?」

「「「「お手本?」」」」

ジルさん含め四人がハモった。



「今から西の町に配達に行ってきてくれ」

翌日、社長はいきなりそんな事を言ってきた

「配達?商人の護衛ではなくて?」

「確か西の峠って最近山賊が出るんだよね?」

「うん、だから『安くしますから』って言って

今回だけ配達させてもらうことになった」

「仕事取ってきてくれたのはいいけど」

「なんで?」

「山賊を観察してお手本にすれば

悪役の立ち振る舞いが学べると思ってね」

「言いたいことはわかりますけど」

「私達だけじゃ山賊を倒すのは難しいかと……」

確かにシーフとヒーラーとアーチャー

大勢を相手にするには少々心もとない

「ああ言い忘れてた、他のギルドが

討伐依頼受けたから山賊には手を出さないように」

下手に手を出すと仕事を横取りしたとか言われ

色々めんどうな事になる

「手を出すなって……」

「どうやって観察しろと」


2時間後

3人は配達の荷物を持って山道を歩いていた

「来た……索敵スキルに引っかかったよ」

「どこ?ナーシャ」

「10……いえ15人、周囲を取り囲んでる」

「多いですね……」

気付かないふりをして道を進むと

道を塞ぐように数人の男達が立っていた

「嬢ちゃん達その荷物と金目のものを

置いてって貰おうか」

「ファッションは参考になりそうにないね(小声)」

「おぅ!聞いてんのか!」

「社長の言った通りだな(小声)」


「後もう一つ、《弱い奴ほどよく吠える》」

「なんですかそれ?」

「大きい声で周りを威圧しようとするやつは

自分を大きく見せようとしてるだけ、

本当に強ければその必要は無いだろ?」


「あんな感じで大きい声出してみては?」

「じゃあターナ、やってみて」

「ええっ!わたし!?……んじゃちょっと低めの声で…」

ターナは息を吸い込み

「おぅ!おぅ!ナメてんじゃねえぞ!

……こんな感じ?」

「迫力が無いわね」

「てめぇら!無視すんじゃねえよ!」

山賊が斬りかかってくる

しかしナーシャがすかさずスキルを発動

範囲拡張・加速魔法(リアート・ウィーブ)

途端に周囲の動きがのろくなった、

いや、動きと共に思考も加速しているので

そう感じているだけなんだけど

「このぉ!なめんな!」

「他にセリフのバリエーション無いの?」

左右から攻撃してきた2人をあっさりかわすターナ

ナーシャも連続で襲いかかる山賊をかわす

「囲め!いくら素早くても囲めば逃げられねぇ!」

「ちゃんと頭使うんだ、でも出来なきゃ同じ」 

ナーシャは囲もうとする山賊の隙間を抜ける

「眉間にしわを寄せながらやっみたら?」

「え?またわたし?」

そんな感じで小一時間程たち

冒険者パーティーが通りかかった

「こ・これは一体………」

そこには倒れている山賊達と

ピンピンしている冒険者三名

「あ!ひょっとして山賊の討伐依頼受けた人達?」

「ああ、そうだがこれは……?」

「大丈夫、疲れてるだけだから」

「私達は一切手を出してませんので」

「じゃ後よろしく」

そう言うと三人はその場を後にした

「なんなんだ……あの小娘…共は……」

「ちょこまか…逃げるだけで……なにもしねぇし」

「本当に手は出してないみたいね」

「気の毒な……」

「なんだかこうなると討伐するの気が引けるな」


数日後

「はあっ!」

「あまい……」どごっ!

ナーシャはキックをかわし背後に回ると

その場でジャンプしてドロップキック!

「たたたっ…なんか動きがよくなったな」

「落ち着いて見ればかわせる」

あの山賊達との1件で

3人とも落ち着いて相手を見る余裕が出来たようだ。

あの日帰ってきてから熱心に

ヒールの研究にも打ち込んでいたし

そういえば決めないといけないことがあったんだ

「ターナ、リュミエール、ナーシャ」

「なんですか?社長」とリュミエール

「君達のチーム名を決めたいんだけど

なんかアイデアはある?」

「う~ん悪役だし黒とか闇とか

入ってた方が良いよね?」とターナ

「だったら『ノワール』は?」とナーシャ

「ノワールか悪くないな」

悪役(ヒール)なら悪くないとダメでしょ?」

一同(笑)

「よし、じゃあノワールに決定!

さて、後はベビーフェイスを決めないとな」

「なんですかそれ?」

悪役(ヒール)と对を成す存在、つまりヒーロー役、

君達のライバルだ」


悪役(ヒール):ノワールと善玉(ベビーフェイス):ブラウナイツ

彼女達は後に互いに人気ユニットとなる

範囲拡張(リアート)は単体対象の魔法を

複数対象に変更する拡張詩

上位の冒険者なら拡張詩を使わなくても

複数に対象を広げることが出来ます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ