97 断る事も出来ず、断る理由もない
「────というわけだ」
古巣の者達の話し合いで決まったこと。
ヨシユキのレベルを優先してあげていく。
この事はヨシユキにも伝えられていく。
「お前がいてくれると助かるからな」
「いや、ちょっと待ってくれ」
さすがにヨシユキも止めに入る。
「いくら何でもそこまでやる事ないだろ」
「いや、やらなきゃ駄目だ」
タケヒト達は譲らない。
「お前が考え無しに行動するバカなら別だが」
「やる事をしっかりやってくれるからな」
「いないと困る」
古巣の意見は一致している。
確かにその通りである。
ヨシユキは自分の役目を理解している。
だからそれをしっかりとこなしていく。
それが出来る者は多くはない。
「たいてい、ごり押ししようとする奴ばっかりだからな」
探索者によく見られる傾向だ。
レベルが上がり、能力値が高くなる。
その能力で怪物を押し切ろうとする。
連携や作戦など考えずに。
それが無いだけでもヨシユキという存在はありがたいものだった。
「出来ればこのまま一緒に行動したい。
その方が効率的に動くことが出来る」
「推奨レベルより高い所を巡れるし」
「レベルもその方が早く上がる」
ヨシユキのレベルを優先して上げるにしても、これだけの利点がある。
「だからお前のレベルを優先して上げる」
タケヒトは今後の方針としてはっきりと告げた。
「そういう事ならいいけど」
そこまで言うなら拒む理由もない。
ヨシユキも受け入れていく。
「なるべく頑張るよ」
気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を