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87 古巣と迷宮で会話

 周りの疑問をよそに、ヨシユキ達は奥へと向かっていく。

 迷宮街も新たに二つ目が出来上がる。

 推奨レベル30のところに一つ。

 あわせて二つの拠点が出来上がった。



 その迷宮街でヨシユキは古巣の者達と顔を合わせていく。

 他の旅団も補給拠点にしてるので、当然と言えば当然だ。

 以前より顔を合わす数は増えたくらいだ。



「おかげで助かってるよ」

 タケヒトが茶をすすりながら言う。

「しかし、迷宮でくつろげるようになるとは」

「すげえな」

 前衛のタクマとヒロシも驚いている。

 もう何度も迷宮街の世話になってるというのに。



「こっちも助かってるよ」

 ヨシユキも応じていく。

「金を落としてくれるし。

 いてくれると、怪物が来ても安心できる」

「おいおい」

 タケヒトは苦笑するしかない。

「まあ、金は定価とたいして変わらないけど。

 でも、客をこき使うか?」

「持ちつ持たれつだ」

「よく言うよ」

 そう言って互いに笑い合う。



「でも、探索もはかどるようになってるし。

 ここで店を広げてる意義もあるってもんだ」

「ああ、一々町に戻らなくて済むのは助かる。

 おまけに、寝床も用意してあるし」

 迷宮探索で問題になる部分。

 そこが解消されてるのはありがたい。



「それで、まだ奥にはたどり着けそうにない?」

 話を変えて探索状況を尋ねる。

 さすがに和やかな空気が幾分張り詰めた。

「まあな。

 先を行ってる連中も足留め食らってるし。

 簡単にはいかないだろう」

 落ち着く為なのか、タケヒトは茶を一口すすった。



 迷宮探索の最前線は試行錯誤の連続だ。

 どの通路がどこにつながってるのか。

 どこにどんな罠が設置されてるのか。

 構造的に人を死に至らしめる道になってないか。

 怪物はどれだけ強いのか。

 こういった事が全く分からないからだ。



 レベルが高ければそれをものともせずに突っ切っていけるかもしれないが。

 時にそんな強引さが我が身を滅ぼす事もある。



 なので、どうしても慎重に先に進んでいく事になる。

 生き残って最前線に到達する旅団は、たいていそういう風に動く。

 それが出来ない、あるいはやらない者達はとっくに死んでいる。



 タケヒト達はそういう状況と向かいあっていた。

 目の前には未知の空間が広がっている。

 そこに何が潜んでるのか分からない。

 それに注意をしながら進んでいくのだ。

 当然ながら、動きは鈍くなる。



「ここから先はさすがにな。

 簡単にはいかないよ」

「だろうな」

 最前線に身を置いていたヨシユキにはよく分かる。

 先に進むのがどれほど難しいのかを。

 レベル60になろうというタケヒト達であっても、簡単にこなせるものではない。

 むしろ、それだけのレベルがあるからどうにか先に進んでいられるのだ。



 ここに迷宮探索の難しさがある。

 追いかけるのは簡単だ。

 追いつくのも、不可能ではない。

 だが、未知の領域に踏み込むのはそれ以上に難しい。



 誰かが通った後ではない。

 全く何も分からない所なのだから。

 自然と慎重にもなる。

 無謀と勇気を間違えて進めば、即座に潰滅する事になる。



「でも」

 それでもだ」

「一応、進んではいるよ」

 タケヒトと古巣の者達は自信を浮かべながら言う。

 そんな彼らに、

「まったくだ」

 ヨシユキも頷く。

 少しずつでも進んでる。

 それだけでも大きな成果なのだから。

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