表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/132

86 全員で事にあたってる、しかし全員一丸となってるわけではない

 とりたてて高い能力を持ってるわけではないヨシユキ。

 そんなヨシユキが率いる、平凡な能力の者達。

 その集団が、最前線を支えている。

 上位の集団に追いつこうとしている。



 それは全員でやるべき事にあたってるからだ。

 迷宮探索という作業に。

 だが、一つにまとまってるかというと、そうではない。



 小さなところでは、探索班という小さな単位でまとまっている。

 おおむね5人から7人といった人数で活動している。

 これが迷宮探索における最小単位となっている。

 これより少ないと、戦力が足りない。

 しかし、これより多いと、迷宮内の通路での動きに支障をきたす。



 6人前後の最少人数。

 これが迷宮における最適解の一つになっている。



 さすがにこの中で分裂して行動してるという事は無い。

 それぞれの役目に応じて様々な行動をとる事はあってもだ。

 迷宮探索という大きな目的に沿って行動してる。

 また、一人が他の全員のために。

 全員は誰か一人のために行動している。

 まとまりはしっかりと取れている。



 だが、これが旅団全体となると話が違ってくる。

 レベルに応じた場所で活動するよう求められてはいる。

 そして、なるべく旅団が設置した中継地点や休息場所の周囲に限っている。

 これは無理して先に進まないように、という配慮もあってだ。

 だが、それだけだ。



 基本的にこれだけ守っていれば、あとはどのように動こうが勝手。

 せいぜい、獲物の取り合いにならないように、活動場所がかぶらないように注意するくらい。

 加えて、同士討ちを避けるために、なるべく別の場所で行動する事が求められる。

 これらを守るならば、どのくらい活動しようと自由にしている。



 これは管理しきれないからというのが大きい。

 全員の安全などを出来るだけ確保したいとは思う。

 だが、行動の一つ一つを管理できるわけもない。

 命令や指示が行き届くわけもない。

 だから、ある程度守るべき事だけを守らせて、それ以外は自由にするしかなかった。



 そんな守るべき事も、常に確実に厳守されるわけでもない。

 どうしても出来ない場合もある。

 なので、厳正に強制されてるわけではない。

 出来るなら守ってほしい、という目安になってるだけだ。



 だが、旅団員のほとんどは最低限の取り決めを守ってる。

 そうした方が面倒がなくて済むからだ。



 中継地点や休憩場所から離れすぎたら危険になる。

 他の者達との衝突も無駄な騒動を起こして、結局は損をする。

 言われた事を守った方が得なのだ。



 あとは個人や探索班ごとの裁量による。

 これも別に最低限の成績が求められてるわけではない。

 ただ、自分たち自身と相談となる。

 活動時間が少なすぎれば儲けが出ない。

 かといって、働き過ぎれば疲労でうごけなくなる。

 このあたりのさじ加減は自分でやっていくしかない。



 なので、生き残るために無理をしない範囲で。

 それでいて、出来るだけの収穫を確保出来るように動いていく。



 特に成果目標も何もない。

 だが、これで全体としての動きがそれなりに出来上がっていく。

 全員が事業主だから出来る事なのだろう。



 旅団員は、いわゆる社員といったものではない。

 探索者の一人一人が、独立した職人のようなものだ。

 稼ぎは自分で働いて稼ぐしかない。

 給料が自動的に振り込まれるわけではないのだ。



 働かないならそれでもいい、稼ぎが入らないだけだ。

 稼ぎが欲しいなら働くしかない、誰も助けてくれないのだ。



 探索班や旅団というのは、そういった者達の集まりである。

 ヨシユキは、そういった者達の便宜をはかってるだけと言える。

 ある意味、探索者相手に商売をしてるようなものだろう。



 そんな、組織とはいえないような集まり。

 それが旅団である。

 少なくとも、ヨシユキの所はそういう場所だ。



 そこに統制らしい統制はない。

 命令系統のようなものは見受けられない。

 ただ、指示や考えの伝達がなされており。

 それが無理のないものなので、各探索者は従ってるというくらいだ。



 もちろん、最悪の状況ならば、ヨシユキが陣頭指揮を執る事もある。

 そういう話もしている。

 これは、そうした方が無駄がないからだ。

 余計な事をして混乱を起こし、被害を拡大するよりは良い。

 そう誰もがわきまえてるからである。



 そんな事は非常事態にでもならなければ発生しない。

 一応、そうなった時に備えてはいるが。

 しかし、基本的に大きな旅団としての統率がとれてるわけではない。

 あくまで、小規模な探索班の寄り合い所帯。

 それがヨシユキの旅団だった。



 それが良いのか悪いのかは分からない。

 だが、今のところ、これが一番良い形になっている。

 誰もが無理せず活動し、しかも成果をあげてるのだから。



 旅団らしくない旅団である。

 ほとんどの旅団は軍隊のように統率がなされてる所がほとんどだ。

 そうでもしないとまともに動けないのだ。

 指示に従わない者がそれだけ多いからだ。

 だからこそ、多くの者達は思う。

「なんであれで上手くやれてんだ?」と。

 しかもそんな旅団が上位争いに追いつこうとしている。

 疑問を抱くのも当たり前だろう。

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


ファンティアで支援を随時受付中

【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/fanclubs/478732
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ