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8 古巣の仲間が感じる問題点

「上手くやってるか?」

「まあね」

 タケヒトの声に適当に頷く。

「そっちも上手くやってるな」

「まあな」

 食卓を囲みながら、そんな話を続けていく。



 タケヒト達と分かれてから一ヶ月。

 迷宮から帰ってきた古巣の者達と一緒に食堂に来ている。

 せっかくだからとお誘いに乗る事にした。

 おごってくれるというし、近況も知りたい。

 それに、迷宮の奥地の情報も聞けるかもしれないと思って。



 タケヒト達は更に迷宮の奥へと向かってる。

 ヨシユキが脱退して弾みがついたようだった。

 かばう必要のある者がいないというのは大きいようだった。

 この事実にヨシユキは、少しばかり寂しさを感じた。



「けどな」

 そんなヨシユキに仲間だった者達は次々に声をかけていく。

「やっぱり簡単にはいかないんだよ」

 タケヒトのこの声に、他の者達も頷きながら続く。



「なんていうかな、手間が増えたっていうかな」

 前衛を務める戦士のタクマが最初に話す。

「まあ、負けるって事は無いけど。

 でも、妙に負担が大きくなってるっていうかな」

 それは前衛を務める他の二人も同じように思ってた事だった。



「勝てるは勝てるんですよね」

 戦士のヒロシも続く。

「でも、勝つまでに時間がかかるっていうか。

 妙に手間がかかるんですよ」



「こっちもだよ」

 斥候のユキナも違った点からの意見を口にする。

「罠の発見とか敵の警戒がね、前より大変ていうか。

 今まではヨシユキと一緒にやってたからだろうけど」



「それは私も感じてました」

 治療師のホナミが後列から見た感想を述べていく。

「前より負傷が増えてると。

 ほんの少しですけど。

 回復が間に合わない時があります」



「俺もだ」

 最後に魔術師のシンヤが言葉を添える。

「敵が沈まない。

 前より時間がかかる」

 言葉は少ないが、意味はしっかりと通る。



「つまり、お前が出ていってから攻略が難しくなった」

 タケヒトが意見をまとめた。

「やっぱり、お前が出て行った穴は大きいよ」

「いやいや」

 しんみりする古巣の者達に、ヨシユキは首を振る。



「奥へ進んだんだ。

 敵だって強くなってるだろ」

 怪物は迷宮は奥の方が強い。

 これは基本中の基本だ。

「俺がいた時より先に進んでるんだろ。

 だったら手こずるのも仕方ないよ」

 それが当然ではある。



 そんな怪物と渡り合うなら、効果的な戦い方を見つけねばならない。

 自身も強くならねばならない。

 怪物の能力を見抜かねばならない。

 これらを駆使して怪物退治の効率をあげていく。

 それが当たり前だ。

 しかし、タケヒト達の感想は違う。



「そうかもしれないけどな。

 でも、迷宮の奥だけの話じゃないんだ」

「奥まで行く途中もな。

 遭遇戦に手こずるようになってる」

「前はもう少し楽だったんですけど」

「警戒も大変だよ。

 前も後ろも気にしなくちゃいけないし」

「火力が足りない、明らかに」

 誰もが口々に思った事を言っていく。



「俺たちは落ちてるよ、前に比べて。

 お前が抜けてからな」

 全ての意見を総合するとこうなる。

 それを口にしてタケヒトはあらためて言う。

「なあ、本当に戻ってこないか?

 俺たちにはお前が必要なんだ」

 冗談ではなく本気でタケヒトはそう願っていた。

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