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69 古巣の連中とのやりとり

「上手くいってるようだな」

 久しぶりにあったタケヒトからはそう言われた。

 そんなタケヒトも上手くやっている。

「この一年で随分進んだみたいじゃないか。

 そっちの方が凄いよ」

「ありがとうよ」

 素直に受け取るタケヒト。



 そんなタケヒトの率いる古巣は、相変わらず迷宮攻略の上位に食い込んでいる。

 さすがに頂点には立ってないが。

 それでも、順調にレベルを上げて、奥まで進んでいっている。



 迷宮まわりの様々な話にも名前が出て来る。

 もしかしたら、この迷宮を攻略するかもしれないと。

 そんなかつての仲間達がヨシユキにも誇らしい。

 一緒に活動してないのは寂しいが。



「でも、どうなんだ」

「なにが?」

 タケヒトは顔を合わせたヨシユキに尋ねる。

「もう迷宮の奥には挑まないのか?」

「いや、無理だよ」

 ヨシユキは今の自分をふりかえりながらそう答えた。



 残念ながら、ヨシユキのレベルは上がってない。

 迷宮案内と新人教育をしてれば、そんな余裕もなくなる。

 しなくても問題のない場所で活動している。

 あえてレベルを上げる必要はなかった。



 それが残念だとは思う。

 ヨシユキ自身は可能なら迷宮の奥へと挑みたいと思っている。

 それでどんな得があるのか、という事ではない。

 ただ、純粋に迷宮の奥まで行ってみたい。

 攻略してみたい。

 自分の手で成し遂げたい。

 そういう思いがあるだけだ。



 志と言ってもよいのかもしれない、大げさにいうなら。

 そんなものがヨシユキの中にはある。

 しかし、自分の実力を考えると、それも難しいのも分かっていた。



 タケヒト達に比べて能力が低い。

 レベルがほぼ同等でも、能力が低いのだ。

 こればかりはどうしようもない。



 もともと、レベル1の時点から差はあった。

 それがレベルがあがるごとに明確になっていった。

 それが仲間の足を引っ張ってると思い、ヨシユキは身を引いた。

 悲しいかな、それが事実だとその後のタケヒト達の躍進が証明している。



 ヨシユキがいる頃はある所までで足踏みをしていた。

 しかし、今はそうではない。

 少しずつではあるが、着実に先へと進んでる。

 その変化が訪れたのは、ヨシユキが旅団を離れてから。

 理由はあきらかだ。



 そんなヨシユキが再び迷宮の奥を目指せるのか?

 現実的に考えて無理だろう。

 無謀でしかない。

 だからヨシユキは、その事を諦めようとしていた。

 しかし、タケヒトがそれを止める。



「別に、迷宮攻略の上位に食い込む必要もないだろ」

 タケヒトの声が胸に突き刺さる。

「上位争いとかそういう事じゃなくて。

 行きたい、見てみたいってのが大事なんじゃないのか」

「そりゃあ……」

 言われてヨシユキも気付く。

 自分が何をしたかったのかを。

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