64 魔力結晶をどう分けていくか
迷宮案内の為に他の旅団に同行する。
そんな事を何回か繰り返していく。
その間に新人教育も行っていく。
単独行動に戻ってから、ヨシユキはそんな日々を送っていた。
今日の旅団は推奨レベル20くらいのところを回っている。
それだけの実力を持った者達だ。
当然、危険もそれに合わせて大きくなる。
それでもヨシユキのレベルよりは低いところだ。
さすがに単独で巡れるほど安全ではないにしてもだ。
同行者がいれば、それほど難しいわけではない。
なので、安全に迷宮を巡っていける。
そうして案内をしながら。
同時に助っ人として活動しながら。
ヨシユキは魔力結晶を分け前としてもらっていく。
これが迷宮案内の報酬になる。
基本的に探索者の報酬は、魔力結晶の山分けだ。
手に入れた魔力結晶を可能な限り平等に分ける。
保有する魔力の量がそれぞれ違うので、完全に均等になる事はないが。
それでも、出来る限り偏りがないように分ける事になる。
この際、実力差が考慮される事はまずない。
下手に能力差を考えると、色々と面倒だから。
高レベルの者が余計に報酬を手に入れるとしたら、いったいどれくらい分けるのが妥当なのか?
その基準がはっきりしない。
もちろん、高レベルの探索者がいれば、その分楽にはなるのだが。
下手に計算するのも手間がかかる。
そんな手間をかけるくらいなら、いっそ平等に分けた方が楽だ。
そう考える探索者がほとんどである。
もちろん、例外もいる。
高レベルなのだから多めによこせ、という者もいる。
そういう場合はどういう比率で分けるのかを交渉する事になる。
ヨシユキはそういうのが面倒なので、山分けで納得していた。
それでも充分稼げるからだ。
今回の仕事でも、それなりの報酬を手に入れる事が出来た。
それで充分に満足出来た。
10日にわたる迷宮内での探索。
その間に稼いだ魔力結晶。
それを持って迷宮の外に出ていく。
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