63 少し遅くなった卒業
普段は別の探索者として活動をする。
必要な時は声をかけて、可能なら協力をする。
もちろん、都合がつかない時もある。
その時はしょうがないものとして諦める。
そんな緩い助け合いの関係を作っていく事にした。
とりあえずヨシユキは単独で行動する。
あちこちから迷宮の案内を頼まれているからだ。
他の探索者達と共に活動をしていく事になる。
5人も一時的な臨時編成の探索班として活動をしていく。
それで上手くやれるなら、長期的な活動を主とした旅団となるつもりでいく。
まだ5人とも知り合って日が浅い。
なので、ゆっくりと互いの事を知りながらどうするか決めていく。
無理して旅団を結成するよりも、その方が良いという結論になった。
「それじゃ、がんばれよ」
話がまとまったその日。
ヨシユキは5人を励ましていく。
5人も頷いてヨシユキに礼を言う。
「今までありがとうございました」
そう言って頭を下げる5人に、ヨシユキは再び「頑張れよ」と声をかけた。
そうしてようやく5人を見送ったあと。
ヨシユキは次の仕事の話をしにいく。
道案内を求めてる旅団との交渉だ。
どの旅団と一緒に行動するのか。
どこまで迷宮に潜る予定なのか。
その調整をしていかねばならない。
思ったより長くかかった新人教育が一段落をつけた。
その余韻にひたる間もない。
貧乏ではないが暇がなかなかとれない。
日銭はそれなりに稼いでいてもだ。
「もっと貯えておかないとなあ」
探索者として現役でいられる間に、生活の余裕を作っておきたかった。
働かないでも食っていける程度には。
体が動くうちしか稼げない商売だ。
老後を考えれば、まだ若いうちに貯蓄をしておきたかった。
その為にも、迷宮に入って怪物をたおさねばならない。
魔力結晶を少しでも多く稼がねばならない。
「忙しいなあ」
仲間についていけないと自ら身を引いた。
それで少しは余裕のある生活が出来ると思ったのだが。
なかなかそうもいかない。
今日も今日とて、するべき事をこなしていく事になる。
ため息が漏れていった。
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