47 薬草師の能力
翌日。
本来なら一日で終わらせるはずだった3人による戦闘。
それを一日延長する事になった。
理由はサクラの提案を試すため。
「すいません、予定をくるわせて」
「気にするな。
俺もサクラの言ってる事を確かめてみたい」
「私も」
「面白そうだしねー」
恐縮するサクラに、ヨシユキ達は気にしたそぶりもない。
むしろ提案してきた事の結果が気になっていた。
「本当によく思いついたよ」
「凄い」
「上手くいくといいよね。
そうしたら楽出来るし」
この時点での評価は高い。
それについてはサクラも慌てるほどだ。
「まだ、上手くいったわけじゃありませんから」
サクラの言うとおりである。
まだ試してもいないのだ。
なのに期待だけが高まっている。
恐縮するというか、困ってしまうのも無理もない。
だが、それくらいこれからやる事への期待が大きかった。
それを試すために、入り口付近の怪物を探す。
狙いは前日と同じ巨大虫。
暫く歩いていると見つける事が出来た。
「それじゃ、やってみます」
サクラが薬草を採りだして作業をはじめる。
乾燥させた薬草を取り出し、魔力をかけていく。
サクラからのびたそれが薬草に絡む。
そうしてから、携帯型の炉壺を取り出す。
火種を入れて持ち運べる小さな竈のようなもので、たいていは着火の負担を減らしてくれる。
そこに入れた薬草は当然燃え上がる。
煙も出て来る。
普通ならそこで終わる。
薬草は少量ですぐ燃え上がるし、煙もほんの少し出るだけだ。
だが、この時は違った。
サクラの魔力によって増幅された薬草の効果が、煙の量を膨大なものにしていく。
それが意思を持ってるかのように動いていく。
巨大虫の居る方向へ。
それもまたサクラの魔力によるものだった。
巨大虫をおおっていく薬草の煙。
その瞬間に巨大虫の動きはおかしくなった。
その場でもだえ始める。
ジタバタと動き出す。
その場から逃げようと動き出す。
だが、すぐにその足が止まる。
這いつくばり、動けなくなる。
「上手くいったみたいです」
サクラの声が明るく響く。
「効いてるのか?」
尋ねるヨシユキにも笑顔で頷く。
「あの調子なら大丈夫です。
念のために、トドメは刺した方がいいと思いますが」
「わかった」
そう聞くとヨシユキは、巨大虫に近づいて短刀を突き刺した。
戦う事もなく巨大虫を撃退出来た。
「すごいな、これ」
あらためてサクラの方を向く。
「薬草師って、こういうのまで扱うんだ」
「ええ、色々と知ってると便利なので」
そういうサクラは照れくさそうではある。
だが、褒められて嬉しそうでもあった。
そんなサクラが使ったのは殺虫用の薬草。
この場合、毒草といったほうが正確だろうか。
それをサクラの持つ薬草師としての能力で増幅させて使った。
おかげで、戦う事もなく巨大虫を一掃できた。
気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を




