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45 ツバキとアヤメの相互作用

 ツバキの祝歌は、主に支援魔術のようなものだと聞いている。

 その効果はヨシユキも実際に確かめた。

 確かに歌を聴いた後は体の動きが良くなった気がする。

 直観や五感といったものも鋭敏になった気がした。

 効果はさほど高くはないが、それでも能力の上昇はしたようだった。



 ただ、支援魔術に比べればさほど劣る。

 無いよりマシだが、期待するほどではない。

 そう評価していた。

 しかし。



 今日、祝歌を聴いた後のアヤメの動きを見て違和感をおぼえた。

 アヤメの動きが良くなっていた。

 それも、少しどころではない。

 格段に、別物と思えたほどに良くなっていた。



 動きそのものは、何度か見せてもらった剣舞のものだ。

 剣を手にした舞踊の。

 基本的に踊りなので、見た目の美しさが優先される。

 上手く応用すれば戦いにも使えるだろうが。

 それでも、戦闘技術とは言いがたいものだった。

 そのはずだった。



 なのだが、祝歌を聴いて動いたアヤメの動きは違った。

 舞い踊るのは変わらないが、その動きは戦士に引けを取らないものだった。

 軽やかに繰り出される剣は、淡々と巨大虫を切っていく。

 その動きに無駄な力みや淀みは無い。



 それだけなら、単純にレベルが上がったためだと思えただろう。

 だが、そうでないのをヨシユキは分かってる。

 レベルが上がった時点でアヤメに剣舞を見せてもらっていたからだ。

 能力上昇がどれだけの影響をもたらしたのかを知るために。



 そのときの動きは、格別に良いものではなかった。

 多少良くなっていたとは思うが、目を見張るほどではなかった。

 なのだが、今は違う。



(歌……なんだろうな)

 原因はそれだと思った。

 他に明確な違いは無い。

 祝歌を聴いて、剣舞の動きが格段に良くなったのだ。



 考えてみれば当然かもしれない。

 剣舞は踊りだ。

 音楽に合わせるものでもあるのだろう。

 単独で行っても問題ないが、演奏に合わせた方が映える。

 それが祝歌だから更に効果が上がったのかもしれない。



 ツバキとアヤメは元々同じ旅芸人の中にいた。

 実際には遊牧民だったらしいが、その中で培われて来たものなのだろう。

 祝歌は剣舞を引き立て、剣舞で祝歌が彩りを増すのかもしれない。

 相乗効果というべきか。

 互いに相手を高め合うのかもしれない。



 だとすれば、祝歌は剣舞専用の支援魔術の可能性がある。

 剣舞を使えない者にも多少の効果はあるのだろうが。

 ただ、それは余録というかおまけにすぎないのだろう。

 最大の効果を発揮するのは、剣舞を使った場合だと考えられる。



 レベルが上がって、その効果がより強くあらわれた。

 レベル3の今の方が、以前よりも更に動きが良くなってるのはその為のはず。



(こりゃあ、凄いことになったな)

 単体ではそれほど強くもない二人。

 しかし、両者が揃えば凄まじい強さを発揮する。

 まだ検証段階だが、ヨシユキはそうなるような気がした。



 とにかく、ツバキとアヤメは戦力として申し分ない。

 このまま成長していくなら、とんでもない強さを発揮するだろう。

 確かに探索者として必要な能力が足りない部分はある。

 なのだが、それを祝歌と剣舞の組み合わせはそれを補ってあまりある。



 ただ、二人一緒でないと意味がないのも確かだ。

 どこかの旅団に紹介するにしても、これはしっかりと伝えておいた方が良いだろう。



 そこまで考えて、サクラの方にも意識を向ける。

 彼女の動きなどを振り返っていく。

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